著者の所属・活動拠点の国は、クロアチアです。

掲載誌:Nutrients

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

運動不足と偏った食事は、慢性の非感染性疾患の主な危険因子とされています。大学に入ると生活が大きく変わり、体重の増加、不健康な食事、運動不足が起こりやすいとも言われます。一方で、学生の身体活動と栄養状態の結びつきについては、データがまだ十分ではありません。

そこで研究チームは、生物医学系の学生を対象に、食品の摂取パターン、身体活動のレベル、体組成(体脂肪や筋肉量など、体が何でできているかの内訳)の関連を調べました。あわせて、身体活動のレベルによって食習慣や体組成が異なるかどうかも検討しました。

何をどのように調べたか

研究は、ある一時点の状態を調べる横断研究です。2024年3月から6月に、クロアチアのUniversity Northで理学療法学科の学部生187人を対象に行われました。参加者の74.3%が女性で、年齢の中央値は20歳、BMIの中央値は23.1でした。

食習慣は、食品摂取頻度調査票を用いて調べました。調査票は184品目から成り、乳・乳製品、肉・魚・卵、油脂、豆類・穀類、砂糖・はちみつ・菓子、野菜、果物、飲料、スナック・ケーキの9分類に分かれています。参加者は過去1か月に各品目をどのくらいの頻度で食べたかを答え、その回答を点数化して分類ごとの摂取頻度の指標としました。摂取量そのものを測ったわけではない点に注意が必要です。

身体活動は国際標準化身体活動質問票(長版)による自己申告で評価し、参加者を低・中・高の3段階に分けました。体組成は、朝の絶食状態で、電極付きの体組成計(Tanita MC-780)を使って測定しました。

主な結果

身体活動レベルは、低が40.6%、中が36.9%、高が22.5%でした。活動時間が最も長かったのは家事や家族の世話(1日中央値47分)で、次いで余暇の運動・スポーツ(同35分)でした。一方、座っている時間の中央値は1日300分で、座りがちな時間もかなり長いことが示されました。

9つの食品分類のいずれについても、摂取頻度は身体活動レベルの3グループ間で統計的に有意な差がありませんでした。体脂肪、筋肉量、骨量、体水分量などの体組成にも、身体活動レベルによる有意な差は見られませんでした。

食品と体組成の間には、いくつかの弱い正の相関が報告されました。乳・乳製品をよく食べる人ほど筋肉量が多い傾向(相関係数0.153)があり、肉・魚・卵の摂取頻度と筋肉量、飲料の摂取頻度と体水分量にも弱い正の相関がありました。また、砂糖・はちみつ・菓子の摂取頻度と体脂肪の間にも弱い正の相関が見られました。それ以外の組み合わせでは、有意な相関はありませんでした。

この研究が示すこと

著者らは、観察された相関はいずれも弱く、横断研究であるため因果関係を示すものではないと強調しています。たとえば、乳製品を多くとると筋肉が増えるという証拠にはなりません。比較の回数が多いため偶然の結果である可能性も否定できず、探索的な所見として慎重に解釈すべきだとしています。

また、参加者全員が何らかの身体活動を行っており、まったく活動しない比較グループがいなかったことが、グループ間で差が出にくかった一因かもしれないと著者らは述べています。ほかにも、食事を頻度で評価して量は測っていないこと、参加者の多くが女性であることなどの限界が挙げられています。

この研究は、特定の大学で学ぶ学生の食習慣、身体活動、体組成の現状を記述したものです。著者らは、この結果が大学での健康づくりの取り組みや、他の学生集団との比較研究で注目すべき点を見つける手がかりになりうると位置づけています。

原著論文の著者・所属:Manuela Filipec(Department of Physiotherapy, University North, 42000 Varaždin, Croatia)、Bojan Šarkanj(Department of Food Technology, University North, 42000 Varaždin, Croatia)、Natalija Uršulin-Trstenjak(Department of Food Technology, University North, 42000 Varaždin, Croatia; Department of Nursing, University North, 42000 Varaždin, Croatia; Department of Physiotherapy, University North, 42000 Varaždin, Croatia)、Ivana Živoder(Department of Nursing, University North, 42000 Varaždin, Croatia; Department of Physiotherapy, University North, 42000 Varaždin, Croatia)、Nikolina Zaplatić Degač(Department of Physiotherapy, University North, 42000 Varaždin, Croatia)、Mihaela Kranjčević-Ščurić(Department of Nursing, University North, 42000 Varaždin, Croatia)、Paulo Zekan(Department of Obstetrics and Gynecology, University Hospital Sveti Duh, 10000 Zagreb, Croatia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Manuela Filipec, Bojan Šarkanj, Natalija Uršulin-Trstenjak, et al. Nutritional Status in University Students: Links to Physical Activity and Body Composition. Nutrients 2026-10-29. DOI: 10.3390/nu18213577. 原著ライセンス:CC BY.