この研究は、バングラデシュの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Health Science Reports
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
抜け毛や薄毛、ふけといった髪の悩みは、見た目の問題にとどまらず、心理面や社会生活にも影響します。論文によると、バングラデシュでは特に都市部で髪の問題が公衆衛生上の課題として認識されつつあります。一方で、人々が髪の問題についてどの程度の知識を持ち、どのような食習慣があり、どんな考え方で向き合っているのかを地域レベルで調べたデータは、南アジアではまだ少ないとされています。
そこで研究チームは、バングラデシュ南東部のチョットグラム管区に住む成人を対象に、髪の問題に関する知識、食習慣、態度の三つを調べ、それらが性別、年齢、居住地などの属性とどう関連するかを明らかにすることを目指しました。
どのように調べたか
調査は2023年6月から2024年2月にかけて行われました。管区内の5つの県を無作為に選び、さらに都市部と農村部の地域を選んだうえで、各世帯から18歳以上の住民1人に協力を依頼する多段階の無作為抽出法を用いています。最終的な参加者は1316人で、66.4%が女性、80.9%が都市部の住民でした。
訓練を受けた調査員が、参加者の母語であるベンガル語の質問票を用いて対面で聞き取りを行いました。知識は抜け毛の原因、症状、治療法に関する11問の正答数で、食習慣は砂糖入り飲料の摂取頻度などを含む8項目で、態度は髪の問題に対する考え方や治療への前向きさを尋ねる項目で評価し、それぞれを「良い」「中程度」「低い」の三段階に分けました。そのうえで、属性との関連を統計的に分析しています。
主な結果
抜け毛やふけ、薄毛といった目に見える症状は多くの人に髪の問題として認識されていました。抜け毛を問題の兆候と答えた人は78.4%にのぼります。一方で、男性型・女性型の脱毛症として知られる「男性ホルモン型脱毛症(AGA)」を知らない人は81.2%でした。治療法として広く知られていたのはヘアオイル(76.1%)やシャンプー・石けん(73.3%)、ハーブ療法(52.4%)で、ミノキシジルや外用エストロゲンといった医学的な治療を知っていた人は35.7%にとどまりました。また、抜け毛に対して特に何も対策をしていないと答えた人は59.0%でした。
属性別にみると、知識の水準は居住地、家族の抜け毛歴、ヘアオイルの使用と関連していました。都市部の住民や家族に抜け毛の経験がある人、ヘアオイルを使う人ほど知識が多い傾向が報告されています。著者らは結論で、女性と都市部住民の知識水準が高かったとまとめています。
食習慣については、女性の方が良好な食習慣を報告する傾向があり、持病の経験がある人も食習慣が良好な傾向にあったと報告されています。砂糖入り飲料を多く飲むと答えた人は8.7%で、著者らはこの点を懸念すべきものとして挙げています。態度については、都市部の住民が農村部の住民よりも髪の健康に前向きな考え方を持つ傾向が強く、ヘアオイルの使用とも関連がみられました。
研究が示すこと
この研究は、チョットグラム管区の成人の間で、目に見える症状は広く知られている一方、脱毛症の医学的な原因や治療法についての理解は限られていることを示しました。著者らは、農村部の住民や男性への啓発に加えて、ヘアオイルのように生活に根づいた習慣を健康教育の入り口として活用する可能性を指摘しています。
ただし、これは一時点の調査であり、示されたのは関連であって因果関係ではありません。抜け毛の程度などはすべて参加者の自己申告で、医師による診断で確かめたものではないことも、著者ら自身が限界として明記しています。それでも、地域の人々が髪の問題をどう捉えているかを具体的に示した点に、この研究の意義があります。
著者:Rakibur Rahman(Department of Pharmacy International Islamic University Chittagong Chittagong Bangladesh)、Yasin Arafat(Department of Statistics Noakhali Science and Technology University Noakhali Bangladesh)、Md. Meherajul Kabir(Department of Pharmacy International Islamic University Chittagong Chittagong Bangladesh)、Samiha Siddique(Department of Pharmacy International Islamic University Chittagong Chittagong Bangladesh)、Tasnim Rahman(Department of Pharmacy International Islamic University Chittagong Chittagong Bangladesh)、Nur e Shyma Fatema(Department of Pharmacy International Islamic University Chittagong Chittagong Bangladesh)、Sakib Bin Nour(Department of Pharmacy International Islamic University Chittagong Chittagong Bangladesh)、Md. Rashedur Rahman(Department of Pharmacy International Islamic University Chittagong Chittagong Bangladesh)、Shuchana das(Department of Pharmaceutical Technology Faculty of Pharmaceutical Sciences, University of Sciences & Technology Chittagong (USTC) Chittagong Bangladesh)、Fatema Tuz Zohura(Department of Pharmacy International Islamic University Chittagong Chittagong Bangladesh)、Cinmoy Barua(Department of Pharmacy BGC Trust University Bangladesh Chittagong Bangladesh)、Md. Masudur Rahman(Department of Pharmacy International Islamic University Chittagong Chittagong Bangladesh)、Md. Sohel Rana(Department of Pharmacy Jahangirnagar University Dhaka Bangladesh)、Mohammad Nazmul Islam(Department of Pharmacy International Islamic University Chittagong Chittagong Bangladesh)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Rakibur Rahman, Yasin Arafat, Md. Meherajul Kabir, et al. Association of Knowledge, Dietary Behaviors, and Attitudes Toward Hair Problems Among the Population in the Chattogram Division, Bangladesh: A Cross‐Sectional Study. Health Science Reports 2026-09-30. DOI: 10.1002/hsr2.73301. 原著ライセンス:CC BY.