著者の所属・活動拠点の国は、台湾です。
掲載誌:Plant Science Today
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究のねらい
近年の農業では、化学肥料に頼りすぎない持続可能な方法として、有機資材を土に加える取り組みが広がっています。有機資材は農地の生態系を健全に保ち、作物の生産性を長く支える助けになると考えられています。
その一つが「バイオ炭」です。バイオ炭は、もみ殻などの植物素材を酸素の少ない状態で加熱して作る炭状の資材で、土壌改良材として使われます。しかし研究チームによると、台湾・屏東(ピントン)の酸性土壌で果菜類を育てる場合に、バイオ炭と有機肥料がどのような効果を持つかを調べた研究は限られていました。そこで研究チームは、もみ殻バイオ炭と有機肥料が土壌の性質、オクラの収量、果実に含まれるミネラルに与える影響を調べました。
どのように調べたか
実験は2024〜25年に、温室内でポットを使って行われました。有機肥料には、豚・牛・鶏のふんを混ぜて作ったものが使われました。研究チームは、バイオ炭と有機肥料の量(グラム単位)をさまざまに組み合わせた6種類の処理を用意しました。具体的には、バイオ炭50gのみ、有機肥料75gのみ、バイオ炭25gと有機肥料25g、バイオ炭50gと有機肥料25g、バイオ炭50gと有機肥料50g、バイオ炭50gと有機肥料75gの6通りです。これに、どちらも加えない対照区を設けて比較しました。
各処理は3回ずつ繰り返され、場所などによる偏りが出にくいように配置する実験計画が用いられました。研究チームは、資材を加えてから90日後の土壌の酸性度、有機物量、養分、微生物の量を測り、あわせてオクラの収量や果実のミネラル含量も調べました。
主な結果
土壌では、バイオ炭50gと有機肥料75gを組み合わせた処理で、対照区に比べてpHが有意に上がり、5.93に達しました。pHが上がることは、酸性が和らいだことを意味します。一方、土壌中の有機物が最も多かったのは有機肥料75gのみの処理で、3.95%でした。
植物が利用できる養分も、処理によって増え方が異なりました。対照区と比べて、リンはバイオ炭25gと有機肥料25gの処理(253.82 mg/kg)、カルシウムは有機肥料75gのみの処理(1047.48 mg/kg)、マグネシウムはバイオ炭50gと有機肥料25gの処理(97.96 mg/kg)でそれぞれ有意に増えました。また、バイオ炭50gと有機肥料75gの処理では、土壌とオクラ果実の両方でカリウムが対照区より有意に増えました。
土の中の微生物も活発になりました。細菌はバイオ炭50gと有機肥料25gの処理で、カビなどの菌類はバイオ炭50gと有機肥料50gの処理で、それぞれ最も多くなりました。
収量では、1株あたりの果実の重さが最も大きかったのはバイオ炭50gと有機肥料50gの処理(156.13g)で、果実の数が最も多かったのはバイオ炭50gと有機肥料25gの処理(1株あたり9個)でした。一方で、果実の鉄の含量は、資材を加えなかった対照区の方が高く、100gあたり12.47mgでした。
研究が示すこと
研究チームは、バイオ炭と有機肥料を組み合わせて使うことで土壌の状態が良くなり、オクラの生産性が高まったとまとめています。ただし、どの組み合わせが最もよいかは、注目する項目によって異なりました。また、鉄のように資材を加えない方が多かった成分もありました。著者らは、これらの資材にはやせた土壌を回復させる大きな可能性があると述べています。
原著論文の著者・所属:E N Marianus(Department of Tropical Agriculture and International Cooperation, National Pingtung University of Science and Technology, Pingtung County 912, Taiwan; Soil and Fertiliser Laboratory, Department of Plant Industry, National Pingtung University of Science and Technology, Pingtung County, 912, Taiwan)、Yong-Hong Lin(Soil and Fertiliser Laboratory, Department of Plant Industry, National Pingtung University of Science and Technology, Pingtung County, 912, Taiwan)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):E N Marianus, Yong-Hong Lin. Enhancing barren agricultural soil, autumn-grown okra (Abelmoschus esculentus (L.) Moench) yield and mineral content using rice husk biochar and organic fertilisers. Plant Science Today 2026-08-24. DOI: 10.14719/pst.14636. 原著ライセンス:CC BY.