掲載誌:International Journal of Natural and Health Sciences

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

インドネシアでは、子どもの発育不良(年齢に比べて身長が低い状態)を防ぐため、地域の母子保健拠点「ポシャンドゥ(Posyandu)」で幼児に補助食が配られています。論文によると、補助食は緑豆のおかゆ、ゆで卵、プリン、果物といった簡単なものが中心です。たんぱく源の種類が限られ、子どもが喜んで食べる工夫も十分ではないと著者らは指摘しています。

研究チームが注目したのは、子どもに好まれやすいナゲットです。ナマズ、ニンジン、そしてインドネシアの伝統的な大豆発酵食品テンペを組み合わせた「LEWORTEM(レウォルテム)ナゲット」を試作しました。目的は三つあります。配合の異なるナゲットを作ること、その栄養成分を分析すること、そして試食による好みの評価を行うことです。そのうえで、たんぱく質が多く、味などの評価も保てる配合を探りました。

どのように調べたか

ナマズとニンジンは各100gで固定し、テンペの量だけを25g、50g、75g、100g、125g、150gの6段階に変えて、N1からN6の6種類を作りました。動物性のたんぱく源(ナマズ)と植物性のたんぱく源(テンペ)を組み合わせ、ニンジンで食物繊維などを補う狙いです。各配合は3回ずつ繰り返し作られました。

できたナゲットは実験室で分析されました。対象は、たんぱく質、脂質、炭水化物、水分、灰分(燃やした後に残るミネラル分)と、たんぱく質を構成するアミノ酸です。

味、香り、色、食感、総合的な好ましさは、補助食の配布経験があるポシャンドゥのボランティア職員(カドレ)30人が評価しました。評価は「とても嫌い」の1から「とても好き」の4までの4段階です。配合による差は統計的に検定されました。

主な結果

たんぱく質の割合が最も高かったのは、テンペ50gのN2で18.77%でした。以下、N1が16.25%、N4が16.06%、N5が15.66%、N6が15.23%、N3が11.80%と続きます。テンペを増やせば単純にたんぱく質が増えるわけではありませんでした。著者らは、材料同士の関係や水分、加熱などの加工条件が影響した可能性を挙げています。

アミノ酸分析では、どの配合からも、ロイシン、リシン、メチオニン、トリプトファンなど、著者らが必須アミノ酸として挙げた成分がおおむねそろって検出されました。アミノ酸の総量もN2が最も多かったと報告されています。一方、トリプトファンはすべての配合でごく少量でした。著者らはこれを、たんぱく質の質を左右する「制限アミノ酸」(最も不足しがちで、体での利用を頭打ちにする成分)と位置づけています。

試食評価の点数は、4段階のうち、味が2.7〜3.1、香りが3.0〜3.3、色が3.1〜3.4、食感が2.8〜3.0、総合評価が2.8〜3.1でした。配合による点数の違いはわずかで、統計的に意味のある差は見られなかったと報告されています。著者らは、テンペの量を増やしても受け入れられやすさが損なわれなかったと解釈しています。

研究が示すこと

著者らは、栄養と試食の結果を総合して、テンペ50gのN2を最もバランスのよい配合と結論づけています。地元で手に入る魚と大豆発酵食品と野菜を組み合わせれば、たんぱく質を多く含み、試食でも一定の評価を得られるナゲットを作れることが示されました。

ただし、トリプトファンが少ない点は課題として残りました。また、試食したのは保健ボランティアであり、実際に食べる幼児ではありません。この研究は、補助食の新しい選択肢となりうる配合を、栄養分析と試食評価の両面から具体的に示した段階の成果といえます。

原著論文の著者・所属:I Komang Agusjaya Mataram(Ministry of Health Polytechnic of Denpasar)、Ni Putu Agustini(Ministry of Health Polytechnic of Denpasar)、Anak Agung Nanak Antarini(Ministry of Health Polytechnic of Denpasar)、Yuli Laraeni(Ministry of Health Polytechnic of Mataram)、I Made Artha Widyantara Jaya(Bali Dwipa University)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):I Komang Agusjaya Mataram, Ni Putu Agustini, Anak Agung Nanak Antarini, et al. Lewortem Nuggets as a Variation in Supplementary Feeding at Integrated Health Post (POSYANDU). International Journal of Natural and Health Sciences 2026-07-30. DOI: 10.59890/ijnhs.v4i3.249. 原著ライセンス:CC BY.