著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Multidisciplinary Indonesian Center Journal

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

活動のねらい

インドネシアでは、子どもの身長が年齢相応に伸びない「スタンティング(発育阻害)」が今も深刻な栄養問題です。著者らは、体の成長や認知の発達、さらには将来の人材の質にまで長く影響する問題だと位置づけています。原因の一つとして挙げているのが、子どもの動物性たんぱく質の摂取不足です。

論文で紹介されているのは、リアウ大学の学生による地域貢献活動(KKN)チームが、リアウ州シアク県ダユン郡のバンジャル・セミナイ村で行った取り組みです。インドネシアで進められている「魚を好んで食べよう」運動(ゲマリカン)の一環として、住民が魚、特にこの村で多く獲れる淡水魚パティン(ナマズの仲間)を食べる利点について知識を深めることを目的としました。

著者らは、魚は良質なたんぱく質やオメガ3脂肪酸、ビタミン、ミネラルを含む一方で、子どもが魚を好まないことや料理の種類が少ないことが課題になっていると述べています。そこで、子どもにも食べやすいパティンのナゲットを地元食材の新しい活用法として紹介することにしました。

どのように行われたか

活動は2026年7月14日、村の住民向け保健拠点「ポシャンドゥ・メラティ」で、定例の健診活動に合わせて実施されました。ポシャンドゥはインドネシアの地域に根ざした母子保健の場で、子どもの成長の確認などが行われます。対象は妊婦、授乳中の母親、乳幼児を育てる母親、ポシャンドゥの保健ボランティア(カデル)、そして地域住民でした。

事前に村の担当者や保健ボランティア、保健医療職と調整し、住民のスタンティングに関する認識や家庭での魚の食べ方を把握したうえで、教材を地域の実情に合わせました。保健ボランティアには本番前に短い指導者研修を行い、活動後も地域で栄養について助言できるよう準備したと報告されています。

当日は、スタンティングの意味や原因、短期・長期の影響、そして妊娠から2歳ごろまでの「最初の1000日」に十分な栄養をとることの大切さについて講義し、魚を食べることが子どもの成長にどう役立つかを説明しました。質疑応答を交えた話し合いの後、パティンのナゲット作りの実演を行い、材料の選び方、衛生的な調理、子どもが食べたくなる盛り付けまでを紹介しました。知識の変化をみるため、参加者には活動の前後で質問票に答えてもらったとされています。

報告された結果

著者らによると、参加者は講義や話し合いに熱心に参加し、スタンティングの予防、魚の栄養、調理法について活発に質問しました。活動後の評価では、魚が良質な動物性たんぱく質源であること、「最初の1000日」の栄養が重要であること、パティンを子ども向けの料理にする方法について、参加者の知識がはっきりと高まったと報告されています。ただし論文中には、前後の質問票の具体的な点数は示されていません。

試食では、ナゲットに対して子どもと保護者の双方からとても好意的な反応が得られたとされています。参加者からは、内容が分かりやすかったこと、ナゲットが子どもに魚を食べてもらうための魅力的な方法だと感じたことが聞かれました。

また著者らは、この活動を通じて、地元の淡水漁業の資源を家庭の栄養源として生かそうという住民の意識が高まったと述べています。定例の健診に組み込んだことで対象者に直接届けられ、保健ボランティアが今後の活動に使える教材を得た点も成果として挙げられています。

この取り組みが示すこと

著者らは、栄養教育とパティンのナゲットという食品の工夫を組み合わせたゲマリカンの取り組みが、住民の知識を高め、村でのスタンティング予防を後押しする有効な方法だったと結論づけています。この報告が示しているのは、子どもの発育に関わる身近な課題に対し、地元で手に入る魚と、日頃から住民が集まる保健の場を生かして、知識と調理の技術を一緒に伝える形の活動が住民に受け入れられたということです。

原著論文の著者・所属:Syofiatul Safitri(Universitas Riau)、Dwi Rahman Syahputra(Universitas Riau)、Tasya Tasya(Universitas Riau)、Siti Hanifah(Universitas Riau)、Zazkia Azzahra(Universitas Riau)、Devita Azzahra(Universitas Riau)、Jovita Nasution(Universitas Riau)、Citra Rahmah Ramadhani(Universitas Riau)、Dwi Aryanti(Universitas Riau)、Amanah Hanum Tri Winarni(Universitas Riau)、Nafaza Daffadila Febriyeni(Universitas Riau)、Ekmal Mursyid(Universitas Riau)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Syofiatul Safitri, Dwi Rahman Syahputra, Tasya Tasya, Siti Hanifah, Zazkia Azzahra, Devita Azzahra, Jovita Nasution, Citra Rahmah Ramadhani, Dwi Aryanti, Amanah Hanum Tri Winarni, Nafaza Daffadila Febriyeni, Ekmal Mursyid ENHANCING COMMUNITY KNOWLEDGE IN BANJAR SEMINAI VILLAGE REGARDING SILVER CATFISH NUGGET CONSUMPTION THROUGH THE GEMARIKAN (LOVE EATING FISH) MOVEMENT AS AN EFFORT TO PREVENT STUNTING. Multidisciplinary Indonesian Center Journal 2026-10-18. DOI: 10.62567/micjo.v3i4.3194. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。