著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Mitra Mahajana Jurnal Pengabdian Masyarakat

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

活動の目的:身近な葉野菜を授乳期の食事に生かす

生後6か月間、母乳だけで赤ちゃんを育てる「完全母乳育児」は、母子の健康を守る重要な方法とされています。しかしインドネシアでは、その実施率が国の目標にまだ届いていません。著者らは、母親の知識不足や、地域の食材が十分に活用されていないことが課題の一つだと指摘しています。

著者らが注目したのは、カトゥック(学名 Sauropus androgynus)という葉野菜です。地域では昔から母乳の出を助ける食べ物(ガラクタゴーグ)として知られてきましたが、沿岸部の家庭では、おもに普通の野菜料理として食べられているだけでした。

そこで研究チームは、インドネシア・南東スラウェシ州クンダリ市の沿岸地域で、授乳中の母親を対象に健康教育と調理実習を組み合わせた地域貢献活動を行いました。目的は、カトゥックの葉を、手軽に食べられる加工食品にする知識と技能を母親たちに身につけてもらうことです。

何を行い、どう評価したか

活動は2026年7月1日、マタ地域保健センター(プスケスマス・マタ)の管轄にあるクンダリ・チャッディ地区で行われ、授乳中の母親25人が参加しました。事前に保健センターや地域の保健ボランティアと話し合い、「カトゥックの葉の利点についての知識が限られている」「葉を加工食品にする技能が不足している」という二つの課題を確認しました。

当日はまず、完全母乳育児の大切さ、カトゥックの葉の栄養と期待される働き、地域の食材の生かし方について、対話型の講義と質疑応答を行いました。続いて、カトゥックの葉と鶏肉、卵、小麦粉、パン粉などを使ったナゲットづくりを実演しました。参加者はグループに分かれ、材料の下ごしらえ、生地の混ぜ合わせ、成形、蒸し、パン粉付け、揚げまでの全工程を、チームの指導を受けながら実際に体験しました。

効果は、活動の前後で比べて評価しました。知識は10問の質問票、調理技能は12項目の観察チェックリストで測定しています。データが正規分布(平均を中心に左右対称に広がる典型的な分布)に従っていなかったため、前後の差の検定には、そのようなデータにも使える「ウィルコクソンの符号付順位検定」が用いられました。

主な結果:知識も技能も向上

知識の得点の中央値は、活動前の6から活動後には8に上がりました。統計的にも意味のある差(p<0.05)と報告されています。活動前、多くの参加者はカトゥックを普通の野菜としてしか知らず、母乳を助ける食材とされていることや、そのもとになる成分については知らなかったといいます。

調理技能の得点の中央値は、6から11に上がり、こちらも統計的に意味のある向上でした。技能の区分で見ると、活動前は参加者全員が「技能なし」に分類されていました。活動後は25人中24人(96%)が「技能あり」に達し、「技能なし」にとどまったのは1人でした。

著者らは、これらの向上の背景として、実演と実習を組み合わせた「やってみて学ぶ」方法と、各工程でのきめ細かな指導を挙げています。また、参加者が自分の授乳経験や食生活の悩みを話し合えたことで、内容を身近に感じて理解しやすくなったと述べています。活動の終わりには、家庭での復習や、地域の母子保健活動での共有に使えるよう、教材、レシピ、リーフレット、試作品、包装ラベルが全員に配られました。

この活動が示すこと

この報告で評価されたのは、母親たちの知識と調理技能の変化です。母乳の量そのものを測ったわけではありません。そのうえで著者らは、身近な地域の食材を使い、健康教育と実践的な調理訓練を組み合わせることで、完全母乳育児を支える地域の力を高められると結論づけています。また、この方法は日常的な母子保健の活動に取り入れられる可能性があると述べています。昔から親しまれてきた食材を新しい形で生かすこの試みは、地域の知恵を健康づくりにつなげる一つの例といえます。

原著論文の著者・所属:Mien Mien(STIKES Karya Kesehatan, Southeast Sulawesi, Indonesia)、Hasrima Hasrima(STIKES Karya Kesehatan, Southeast Sulawesi, Indonesia)、Risnawati Risnawati(STIKES Karya Kesehatan, Southeast Sulawesi, Indonesia)、Nanda Nanda(STIKES Karya Kesehatan, Southeast Sulawesi, Indonesia)、Adeliya Adeliya(STIKES Karya Kesehatan, Southeast Sulawesi, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mien Mien, Hasrima Hasrima, Risnawati Risnawati, Nanda Nanda, Adeliya Adeliya INNOVATION IN KATUK LEAF-BASED PRODUCTS ROOTED IN COASTAL LOCAL WISDOM TO SUPPORT BREAST MILK PRODUCTION AND HEALTH SELF-SUFFICIENCY AMONG BREASTFEEDING MOTHERS. Mitra Mahajana Jurnal Pengabdian Masyarakat 2026-07-31. DOI: 10.37478/mahajana.v7i2.8518. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。