著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。
掲載誌:Food Research International
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
赤米は色素を含む米の一種で、栄養面に加え、調理・加工に関わる性質や体の働きに関わる成分にも特徴があります。こうした特徴は、米を発芽させる工程によって変わる可能性があります。
研究チームは、ブラジル北東部パライバ州で栽培された赤米について、発芽させていない赤米と発芽赤米を比べました。栄養組成、物理的・化学的な性質、ミネラルとポリフェノール類の構成、加熱したときのふるまい、抗酸化能、そしてヒトの腸内細菌への影響を調べています。
何をどのように調べたか
抄録によると、成分の分析に加えて、試験管内で大腸での発酵を再現する実験を行いました。この実験で、ヒトの腸内細菌叢(腸に住む多様な細菌の集まり)を構成する細菌グループが赤米によってどう変化するかを調べています。人を対象にした試験ではなく、実験室で大腸の環境を模した条件での評価です。
主な結果
著者らは、どちらの赤米も食物繊維、ミネラル、腸内細菌が発酵に利用できる成分、生理活性成分の供給源になると報告しています。
発芽させていない赤米は、たんぱく質(100グラムあたり7.21グラム)と水溶性食物繊維(同6.35グラム)が多く、抗酸化能も高い値でした。抗酸化能は2種類の測定法で評価され、ABTS法で1グラムあたり6.01マイクロモル(トロロックス相当)、FRAP法で1グラムあたり4.54マイクロモル(硫酸鉄相当)でした。加熱に対する安定性も、発芽赤米より高かったとされています。
一方、発芽赤米では発酵されやすい糖が多くなっていました。100グラムあたりブドウ糖7.87グラム、果糖4.85グラム、麦芽糖3.55グラムです。不溶性食物繊維も多く(同5.85グラム)、ミネラルの構成は未発芽の赤米と異なっていました。有機酸ではリンゴ酸、クエン酸、乳酸が中心でした。ポリフェノール類はより豊富な構成で、特にフェルラ酸、p-クマル酸、プロシアニジンが目立ったと報告されています。
試験管内の大腸発酵実験では、どちらの赤米も有益とされる細菌グループの増加を促しました。また、腸内細菌が作る代謝物の産生も高まりました。具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸といった短鎖脂肪酸と、γ-アミノ酪酸(GABA)です。著者らはこの結果について、赤米が腸内細菌によって発酵されやすく、腸内細菌の代謝に影響を与えうることを示すものとしています。
研究が示すこと
この研究は、ブラジル北東部で栽培された赤米について、発芽の有無による成分や性質の違いと、腸内細菌への作用を幅広く示しました。
発芽によって、増える成分と減る成分の両方があることも分かりました。著者らは、これらの結果が、赤米を腸の健康に役立つ機能性食品の素材として利用できる可能性を支持すると述べています。ただし、腸内細菌への作用は試験管内の実験で示されたものです。
著者:Adolfo Pinheiro de Oliveira、Thatyane Mariano Rodrigues de Albuquerque、Jordana Nunes de Oliveira、Deborah Gomes de Oliveira、Jociano da Silva Lins、Yuri Mangueira do Nascimento、Josean Fechine Tavares(Institute for Research in Drugs and Medicines - IPeFarM, Federal University of Paraíba, João Pessoa, Paraíba, Brazil)、Marcelo Felipe Rodrigues da Silva、Marcos dos Santos Lima、Francisco Humberto Xavier Júnior(Institute for Research in Drugs and Medicines - IPeFarM, Federal University of Paraíba, João Pessoa, Paraíba, Brazil)、Andrezza Ferreira de Almeida、Mariana Costa Monteiro(Josué de Castro Nutrition Institute, Federal University of Rio de Janeiro, Rio de Janeiro, Brazil)、Desirée Lopes Reis(Josué de Castro Nutrition Institute, Federal University of Rio de Janeiro, Rio de Janeiro, Brazil)、Tatiana El‐Bacha(Josué de Castro Nutrition Institute, Federal University of Rio de Janeiro, Rio de Janeiro, Brazil)、Evandro Leite de Souza
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Adolfo Pinheiro de Oliveira, Thatyane Mariano Rodrigues de Albuquerque, Jordana Nunes de Oliveira, et al. Unveiling the technofunctional properties and impacts on the human intestinal microbiota of raw and germinated red rice (Oryza sativa L.) from Northeast Brazil. Food Research International 2026-10-06. DOI: 10.1016/j.foodres.2026.120968. 原著ライセンス:CC BY.