著者の所属・活動拠点の国は、エクアドルです。

掲載誌:Ibero Ciencias - Revista Científica y Académica

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的:食物繊維を加えたチア飲料をどう作るか

健康志向の食品への関心の高まりを背景に、栄養面に特徴をもたせた飲料の開発が進められています。研究チームは、チアシードを主原料とする飲料に食物繊維の一種であるイヌリンを加え、甘味料として砂糖(ショ糖)またはステビアを使った飲料を試作しました。そのうえで、味や香りなどの官能的な受け入れられやすさと、酸度や糖分などの理化学的・栄養的な特徴を調べています。

チアシードは食物繊維、たんぱく質、オメガ3系脂肪酸のα-リノレン酸を含む脂質をもつ種子です。水を吸うと粘りのある物質(ムシレージ)を作ってゲル状になる性質があり、飲み物の物性や口当たりにも影響しえます。イヌリンは、人の消化酵素では分解されない炭水化物(フルクタンと呼ばれる糖の仲間)で、食品業界では食物繊維源として使われ、とろみや食感の調整にも役立つとされています。ステビアは少量で強い甘みを出せる甘味料ですが、苦みや後に残る味が出ることがあります。著者らは、イヌリンの濃度と甘味料の種類が飲料の評価にどう関わるかを確かめることを目指しました。

6種類の飲料を作り、試飲と分析を実施

基本となる飲料には1.5%のチアシードを使い、イヌリンを3%、5%、7%の3段階で加えました。それぞれに砂糖7.5%またはステビア粉末0.56%を組み合わせ、合計6種類の試作品(T1〜T6)を用意しました。チアシードは水に浸してゲル状にしてから加え、混合液は80℃で10分間加熱したうえで瓶詰めし、冷蔵保存しました。

試飲評価には、大学の食品関連学科の学生と教員からなる、ある程度訓練を受けた42人のパネリストが参加しました。味、香り、食感、見た目、そして全体的な好ましさについて、「まったく好きではない」から「とても好き」までの5段階で評価しました。最も評価の高かった試作品については、pH、酸度、溶けている固形分の量(糖度計で測るBrix値)、ナトリウム、総糖量、食物繊維を分析しました。なお脂肪量は実測ではなく、加えたチアシードの量から理論的に見積もった値です。

イヌリン7%の2種類が最も高い評価に

全体的な好ましさの平均点は、6種類の間で2.83から4.64まで開きがありました。最も高かったのはイヌリン7%と砂糖を組み合わせたT5(4.64点)、次いでイヌリン7%とステビアを組み合わせたT6(4.50点)でした。イヌリン3%と5%の4種類は3.21点以下にとどまりました。統計解析の結果、T5とT6はほかの4種類より高く評価され、T5とT6の間には有意な差は見られなかったと報告されています。個別の項目では、T5は味と食感、T6は香りと見た目で最も高い平均点でした。

また、42人中40人(95.24%)が「この飲料を飲みたい」と回答しました。ただし著者らは、これは試飲の場で示された意向であり、実際の購入や日常的な消費の見込みを示すものではないと注意しています。さらに、イヌリンの量と甘味料の種類はどちらも試作品ごとに変わっているため、評価の差をどちらか一方の要因だけに帰することはできないとしています。イヌリンとチアシードのゲルが食感に影響した可能性にも触れていますが、粘度などを機器で測定していないため、これは仮説的な解釈にとどまると述べています。

甘味料の違いは組成に表れた

分析では、T5とT6はともにpH 4.36、クエン酸換算の酸度0.95 g/100 mLで同じ値でした。一方、Brix値は砂糖を使ったT5が12.83、ステビアを使ったT6が7.96で、有意な差がありました。総糖量もT5が7.77%、T6が1.32%と大きく異なりました。食物繊維量は両方とも7.18%、ナトリウムは34.50 mg/100 mL、見積もりの脂肪量は0.46 g/100 mLと報告されています。

著者らは、イヌリン7%の配合が今回試した中で最も好まれ、食物繊維を含む飲料づくりの有望な選択肢になると結論づけています。同時に、7%がほかの飲料にとっても最適な濃度とは限らないこと、そして栄養成分の特徴を確かなものとするには完成した飲料での分析結果の確認が必要であることも明記しています。好まれやすさが同程度だった2種類のうち、ステビア版は糖分がはっきり少なかったという点は、味の評価と組成のバランスを考えるうえでの一つの材料を示しています。

原著論文の著者・所属:Angélica Estefanía Chérrez Neacato(Universidad Técnica de Machala)、Alan Sneyder Reyes Toapanta(Universidad Técnica de Machala)、Angie Karina Nieves Vacacela(Universidad Técnica de Machala)、Nahomi Brigitte Chica Veliz(Universidad Técnica de Machala)、Ronny Davie Astudillo Santacruz(Universidad Técnica de Machala)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Angélica Estefanía Chérrez Neacato, Alan Sneyder Reyes Toapanta, Angie Karina Nieves Vacacela, et al. Formulación, evaluación sensorial y fisicoquímica de una bebida a base de chía (Salvia hispanica L.) enriquecida con inulina y edulcorada con estevia o sacarosa. Ibero Ciencias - Revista Científica y Académica 2026-10-26. DOI: 10.63371/ic.v5.n4.a1770. 原著ライセンス:CC BY.