「海藻はミネラル豊富」とひとくくりに語られます。ところが、こんぶ・わかめ・のり・ひじきを並べてみると、含まれるヨウ素の量は桁そのものが違います。同じ「ひとつまみ」でも、選ぶ海藻によって体に入る量の重みはまったく別物です。

海藻4種のヨウ素(可食部100gあたり)と、一食の目安量
海藻ヨウ素一食の目安量
まこんぶ 素干し200000µg5cm角 約2g
ほしひじき ステンレス釜 乾45000µg大さじ1杯 約3g
乾燥わかめ 素干し10000µg1人分 約2g
焼きのり2100µg1枚(全型)3g

いちばん多いまこんぶといちばん少ない焼きのりで、約95倍の開きがあります。右端の目安量を見ると、どれも「ほんの少し」に見えるはずです。けれど密度がこれだけ違えば、同じ2gでも体に入る量はまるで変わります。感覚だけに頼っていては使い分けにならない、というのがこの表の言いたいことです。

ヨウ素は甲状腺ホルモンを構成し、成長・発達やエネルギー代謝に関わる栄養素です。推奨量(成人30〜49歳)は男性140μg・女性140μg、耐容上限量は男女とも1日3000μgとされています。こんぶやひじきのように含有量が突出する食品を、まとめて多量に食べ続けることは避けたいところです。

ヨウ素以外は、また別の並び

ヨウ素以外の顔ぶれ(可食部100gあたり)
海藻カリウムカルシウムマグネシウム食物繊維総量
ひじき6400mg1000mg640mg51.8g
まこんぶ6100mg780mg530mg32.1g
わかめ6000mg830mg1000mg29.8g
焼きのり2400mg280mg300mg36.0g

カリウムはひじき・まこんぶ・わかめがほぼ横並びで多く、ナトリウムの排出を促し血圧の調整に関わる栄養素とされています。目安量(成人30〜49歳)は男性2500mg・女性2000mgです。水溶性なので、みそ汁のようにスープ仕立てにして汁ごと食べると溶け出した分も摂れます。

カルシウムはひじきが最も多く、推奨量(成人30〜49歳)は男性750mg・女性650mg。マグネシウムだけはわかめが頭ひとつ抜けていて、推奨量は男性380mg・女性290mgです。食物繊維総量は4種ともよく含み、目標量(成人30〜49歳)は男性22g以上・女性18g以上とされています。

表のいちばん下、焼きのりだけが毛色の違う顔をしています。葉酸が1900µg、ビタミンB12が56.7µg。葉酸の推奨量(成人30〜49歳)は男性240μg・女性240μg、ビタミンB12の目安量は男女とも4μgですから、この2つはのりの独壇場です。焼きのりは干しのりを高温で30〜60秒ほど焼いたもので、ヨウ素の量そのものは他の3種より控えめでした。

毎日の食事への取り入れ方

みそ汁の実にわかめを少量浮かべる、ごはんにのりを巻く、ひじきの煮物を副菜にする——それぞれ目安量程度であれば、ヨウ素の量を気にしすぎる必要はありません。気をつけたいのは重ねがけのほうです。こんぶだしを日常的にとりつつ、こんぶの佃煮やとろろこんぶも食べる——同じ突出食品を一日に何度も重ねる食べ方は避けたほうが安心です。

なお、ひじきには無機ヒ素が含まれますが、水戻しやゆで戻しで大きく減らせるとされ、通常の摂取範囲で健康影響が生じたという報告はないとされています。ここでも、極端に多い量を続けて摂らないことが基本になります。

まとめ

「海藻=ミネラル豊富」の一言でくくると、この4種のあいだにある大きな差が見えなくなります。ヨウ素はこんぶが突出し、葉酸とビタミンB12はのりが際立ちます。強みを持つ成分が種類ごとに違うのです。だからこそ「どれだけ食べるか」より先に、「今日はどの海藻を選ぶか」を考えるほうが近道になります。

※特定の食品の効果・効能を示すものではありません。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準e-ヘルスネット「カリウム」(厚生労働省)e-ヘルスネット「マグネシウム」(厚生労働省)e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」(厚生労働省)