かき揚げに散らす干しえび、おせちの田作り、煮物に沈める凍り豆腐。どれも乾物ですが、成分表でカルシウムの多い順に並べると、上位に来るのは前の2つで、凍り豆腐はずっと下にいます。ところが献立で「1個」と数えられて日々積み上がるのは、凍り豆腐のほうです。なぜ順位と献立の実感がずれるのでしょうか。

物差しは、成人女性(30〜49歳)の1日の推奨量650mgです。カルシウムは骨や歯をつくる主要な成分で、体のカルシウムのほとんどは骨や歯にあります。

この650mgを頭に置いて成分表を多い順に見ていくと、上位には見慣れない顔ぶれが出てきます。1位のえび(加工品・干しえび)は7100mg、5位のかたくちいわし(田作り)でも2500mgです。成分表の値は可食部100gあたりの濃さで、1日に食べる量ではありません。650mgと並べる前に、実際に使う量へ直す必要があります。

カルシウムが多い上位5食品(可食部100gあたり)
順位食品カルシウム
1位えび(加工品・干しえび)7100mg
2位かに(加工品・がん漬)4000mg
3位とびうお(焼き干し)3200mg
4位バジル(粉)2800mg
5位かたくちいわし(田作り)2500mg

干しえび、がん漬、田作りはどれも乾物か塩蔵品です

干しえびは国内各地に生息するサルエビを殻ごと乾燥させたもの、がん漬はシオマネキというカニを丸ごと塩蔵して熟成させた塩辛で、九州の有明地方で作られています。田作りは小型のかたくちいわしの素干しで、とびうおの焼き干しは頭などを除いたとびうおを焼いてから乾燥させたものです。バジルの粉も、開花直前の全草を乾かして粉にしたものです。ここに並んでいるのは、水分を飛ばして凝縮した状態の値です。

濃さの順位は、だしや香りづけに使う量の話ではありません

この5品はいずれも一度に100g使う食品ではありません。干しえびはかき揚げやお好み焼きの具に、あるいはだしに、田作りはおせちの祝い肴に、バジルの粉は香辛料として、それぞれ少しずつ使います。100gあたりの7100mgが、そのままかき揚げ一枚に乗ることはありません。がん漬にいたっては、可食部100gあたりで食塩相当量が19.1gにもなりますから、そもそも一度にまとめて食べる食品ではありません。

一回に使う量で見る、凍り豆腐とひじき

では、ふだんの食卓でカルシウムを実際に運んでいるのはどんな食品でしょうか。身近な乾物を同じ物差しで見ると、だいず(凍り豆腐・乾)は630mg、ほしひじき(乾)は1000mgです。これを一回に使う量に直します。凍り豆腐は1個(乾燥で20g)でおよそ126mg、成人女性の推奨量650mgの約19%にあたります。ひじきは大さじ1(乾燥で3g)でおよそ30mg、推奨量の約5%です。

凍り豆腐1個の126mgは、干しえびの数字と並べれば小さく見えます。しかし煮物や含め煮に1個をそのまま使える食品ですから、献立で数えられるのはこちらです。同じ乾物でも、ひじきは大さじ1で30mgと、数える単位としては小さめです。

かき揚げにひとつまみ散らした干しえびが、成分表の7100mgをそのまま届けることはありません。煮物に沈めた凍り豆腐1個の126mgは、明日もまた1個と数えられます。

【摂取量の目安】えび(加工品・干しえび)は、カルシウムが可食部およそ35gで耐容上限量2500mgに達します。 かに(加工品・がん漬)は、カルシウムが可食部およそ62gで耐容上限量2500mgに達します。 とびうお(焼き干し)は、カルシウムが可食部およそ78gで耐容上限量2500mgに達します。 バジル(粉)は、カルシウムが可食部およそ89gで耐容上限量2500mgに達します。 かたくちいわし(田作り)は、カルシウムが可食部およそ100gで耐容上限量2500mgに達します。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 日本人の食事摂取基準e-ヘルスネット「カルシウム」(厚生労働省)