この研究は、メキシコの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Revista Bio Ciencias

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ビート(テーブルビート、学名 Beta vulgaris L.)は、ビタミンや食物繊維、ミネラルといった栄養素に加え、体内ではたらきを持つとされる成分(生体活性成分)を含むことから、「スーパーフード」と呼ばれることがあります。しかし論文の著者らは、メキシコで栽培されたこの根菜については研究がごく少ないと指摘しています。

そこで研究チームは、メキシコのサカテカス州で栽培されたビートについて、含まれる成分と機能性を調べることを目的としました。具体的には、総フェノール化合物、フラボノイド、タンニン、クマリンといった成分の含有量と、カルシウム、リン、マグネシウム、鉄、ナトリウム、カリウム、モリブデンの各ミネラルの含有量を測定しました。

調べ方

著者らはビートからメタノールを使った抽出液(メタノール抽出物)を作り、これを用いて抗酸化能を評価しました。抗酸化能とは、体内で細胞を傷つけうる反応性の高い物質のはたらきを抑える力を指す指標です。評価にはDPPH法、ABTS法、ORAC法という三つの異なる方法を用いています。一つの方法だけでは測りきれない側面があるため、複数の手法で確かめるやり方です。

あわせて、血圧に関わる機能性も検討されました。指標として用いられたのは、アンジオテンシンI変換酵素(ACE)を阻害する割合です。ACEは血圧を上げる方向にはたらく体内の酵素で、その活性がどれだけ抑えられるかを調べることで、血圧に対する作用の可能性を評価する方法です。ここで測られているのは試験系での酵素阻害の程度であり、人の血圧が下がったかどうかを調べたものではありません。

報告された主な結果

論文によると、サカテカス州産ビートに含まれるフェノール化合物とミネラルの量は、他の根菜類や、他国で栽培されたビートの品種について報告されている値と同等か、それを上回っていました。

抗酸化能については、三つの測定方法のいずれにおいても、他の品種と比較して高い値を示したと報告されています。また、ACEの阻害率は53%でした。

著者らはこれらの結果から、サカテカス州で栽培されているビートはこれまで十分に評価されてこなかったものの、健康に役立つ可能性を持っており、生のまま食べるほか、機能性食品の材料として使う道もあると結論づけています。

この研究が示すこと

同じ作物でも、栽培された土地や品種によって成分の内容は変わりえます。この研究は、これまで調査の対象になりにくかった地域の農産物を実際に測ってみることで、その価値を数値として示した例だといえます。身近にありながら注目されてこなかった作物にも、成分の面から見直す余地があることを伝える報告です。

著者:Dr. Jesús Aguayo Rojas(Universidad Autónoma de Zacatecas, Zacatecas)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Dr. Jesús Aguayo Rojas. Compuestos fenólicos, minerales y propiedades nutraceúticas de betabel (Beta vulgaris L.) cultivado en Zacatecas. Revista Bio Ciencias 2026-09-24. DOI: 10.15741/revbio.13.e2135. 原著ライセンス:CC BY.