水溶性食物繊維と聞くと、こんぶやわかめのぬめり、熟した果物のとろみを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。ところが100gあたりの数値を並べてみると、ぬるぬるとは無縁な香味野菜が上位に並びます。らっきょう りん茎 生は水溶性食物繊維18.6g、エシャレット りん茎 生は9.1g。どちらも、水に溶けて粘性を持つ食物繊維の一種です。見た目や名前のイメージだけでは、食物繊維の多さは分からないという話から始めます。

※水溶性食物繊維については、血中コレステロールへの影響との関連が研究で報告されています。ただし、食品そのものの効果を示すものではなく、通常の食事における個別食品の摂取で特定の効果が得られることを意味するものではありません。

らっきょうは生と甘酢漬で成分構成が大きく変わる

食物繊維総量で見ると、生の20.7gに対しらっきょう 甘酢漬は2.9g、水溶性だけを取り出せば18.6gから1.3gへと、加工・漬け込みの過程で大きく目減りしていることが分かります。甘酢漬は塩漬け・脱水・調味液への漬け込みという工程を経るため、生のりん茎とは成分構成が変わった、いわば別物と捉えたほうが実態に近いといえます。

ちなみに甘酢漬の有機酸酢酸0.4g・クエン酸0.2g・乳酸0.1gの順で、酢酸が最も多く含まれています。エネルギーも生の83kcalから甘酢漬の117kcalへと上がっており、漬け込みで加わる糖分や調味液の影響がうかがえます。

エシャレットも同じ並びの主役の一員

エシャレット りん茎 生の水溶性食物繊維9.1gも、香味野菜という見た目からは想像しにくい数値です。らっきょうとエシャレットは同じらっきょう類に属し、どちらも辛味や香りが立つ野菜でありながら、水溶性食物繊維の並びでは上位に位置しています。この意外性が示すのは、水溶性食物繊維の多さは「ぬるぬる・ねばねば」という見た目の質感だけで判断できるものではなく、野菜の種類や状態によって決まるという点です。

ごぼう・ライ麦パン・アボカドは控えめな水溶性食物繊維源

香味野菜以外にも水溶性食物繊維を含む食品はあります。ごぼう 根 生は2.3g、ライ麦パンは2.0g、アボカド 生は1.7gです。らっきょう生の18.6gと比べると数値としては控えめですが、いずれも水溶性食物繊維を含む食品として並べられます。アボカドの甘みはぶどう糖0.4g・果糖0.1g・ガラクトース0.1g・しょ糖0.1g(いずれも推定値)の構成で、ぶどう糖が最も多くなっています。

毎日の食事にどう取り入れるか

らっきょうは1個約8gが目安量です。生のりん茎をそのまま食べる機会は多くありませんが、甘酢漬は少量でも独特の食感と酸味を楽しめる副菜として扱いやすい食品です。ただし甘酢漬は食塩相当量が1.9gとなっており、食塩相当量の目標量(成人30〜49歳)は男性7.5g未満・女性6.5g未満も踏まえながら、一度に多くは食べずに数個程度を目安にするとよいでしょう。

エシャレットは1本約15gが目安量で、生のまま味噌などをつけて食べる薬味的な使い方が一般的です。ごぼうやライ麦パン、アボカドは主菜・副菜・パン食のどこかに一品加える形で、水溶性食物繊維を含む食品の選択肢を広げられます。食物繊維の目標量(成人30〜49歳)は男性22g以上・女性18g以上も参考に、食品ごとの数値の違いを意識してみてください。

まとめ

同じらっきょうでも、生のりん茎18.6gに対し甘酢漬は1.3gと、14倍以上の開きがあります。漬物として味わうなら数個で十分、繊維をあてにするなら生を刻んで薬味に。手に取る前に、どちらの顔のらっきょうかを思い出してみてください。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準