みそ汁に使うみそを変えるだけで、1杯あたりの食塩相当量が倍近く変わる──そう言われても、ぴんとこないかもしれない。食品の色が薄ければ塩気もマイルドに感じるのは自然な直感だ。ところがみその場合、この直感は当てにならない。
「淡色辛みそ」は、薄い色で塩分を隠す
米みそ(淡色辛みそ)の食塩相当量は100gあたり12.4g。名前に「淡色」とあるが、これは色調による分類であって塩分の低さを意味しない。白みそと赤みその中間的な色合いのみそを「淡色」と呼ぶだけで、塩分濃度はむしろ高い。
一方、米みそ(甘みそ)の食塩相当量は100gあたり6.1g。淡色辛みそは甘みその約2倍の食塩相当量がある(12.4gに対して6.1g)。甘みそは米麹の比率が高く、麹の糖の甘みで風味がまとまるため、塩を多くしなくてもバランスが取れる。見た目の白っぽさと穏やかな印象の通り、食塩相当量は確かに控えめだ。
みそ汁1杯に使うみそを約15gとすると、淡色辛みそでは食塩相当量が約1.9g、甘みそでは約0.9gになる(100gあたりの値からの換算、あくまで一般的な目安)。日本人の食事摂取基準で女性(30〜49歳)の食塩相当量の目標量(上限)は1日6.5gと設定されており、みそ汁1杯の約1g差が毎日積み重なると、総摂取量にじわじわとした差が生まれてくる。みそを選ぶとき、名前の印象ではなく食塩相当量の数字を一度確かめる価値がある理由はここにある。
ラーメンスープ、高い塩分密度と向き合う
ラーメンスープ(しょうゆ味・濃縮/ストレート)の食塩相当量は100gあたり17.1g。成分表ではしょうゆ味の濃縮タイプとストレートタイプを一区分としてまとめて収載しており、17.1gはその代表値だ。一度に使う量はこれよりずっと少ないが、少量でも食塩密度が高い製品であることは変わらない。ラーメンを食べるとき、スープを全部飲み干すかどうかで食塩摂取量はかなり変わる。具材を多めにして満足感を補う、スープを少し残すといった工夫が、現実的なアプローチになる。
酸味と食塩ゼロ──二つの底力
塩を減らすだけが減塩ではない。「ほかの味でカバーする」発想も役に立つ。らっきょうの甘酢漬の食塩相当量は100gあたり1.9g。5〜6粒(約30g程度)を食べたときの食塩相当量は約0.6gほどの概算になる(100gあたりの値から換算した目安)。甘酢漬に含まれる有機酸は酢酸が主体(100gあたり0.4g)で、クエン酸(0.2g)・乳酸(0.1g)も含まれており、酸味が味覚にメリハリをつける。塩だけに頼らずとも、酸味と甘みが組み合わさることで食べ応えを感じやすくなる。漬物の中で食塩が比較的控えめな選択肢として活用できる食材だ。
そして塩分ゼロの頼もしい存在が豆苗(ゆで)だ。食塩相当量は0g。みそ汁の具に足しても、炒め物に混ぜても、ラーメンのトッピングにしても、塩分への影響はない。かさまし食材として使えば、食事の量や食べ応えを保ちながら食塩摂取を増やさない食べ方ができる。
名前より数字を信じる
「淡色」という名前や薄い色が、塩分の低さを保証するわけではない。淡色辛みそ(12.4g)と甘みそ(6.1g)の食塩相当量には約2倍の開きがある。名前の印象と実際の数値が食い違う場面は、調味料や加工食品では珍しくない。
みその種類を一つ変える、ラーメンスープを飲む量を意識する、らっきょうや豆苗のような食材を食卓に加える。どれも地味な変化だが、数値を確認したうえで選ぶ習慣が、毎日の積み重ねを変える出発点になる。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。