おでんの具でおなじみのこんにゃくは、食物繊維が多い食品として知られています。その原料である「精粉(せいこ)」の数値を見ると、100gあたりの水溶性食物繊維は73.3g。2位以下を大きく引き離す値です。以下で比べる数値はいずれも100gあたりのもので、乾燥品と生では条件が異なる点にご留意ください。

食物繊維は人の消化酵素では分解されない成分の総称で、水に溶けない不溶性と、水に溶ける水溶性に分けられます。このうち水溶性食物繊維は、血中の総コレステロールやLDLコレステロールとの負の関連が報告されており、この関連は水溶性食物繊維に限られるとされています。日本人の食事摂取基準では、水溶性食物繊維そのものに定量的な基準は設定されていません。一方で、食品による含有量の差は数字にはっきり表れます。

上位5食品と、その差の大きさ

100gあたりの水溶性食物繊維量で並べると、こんにゃく精粉73.3g、しろきくらげ(乾)19.3g、らっきょう(生)18.6g、青汁(ケール)12.8g、わらび(干しわらび・乾)10.0gという順です。

100gあたりの水溶性食物繊維量
食品量(100gあたり)
こんにゃく精粉73.3g
しろきくらげ(乾)19.3g
らっきょう(生)18.6g
青汁(ケール)12.8g
わらび(干しわらび・乾)10.0g

順位だけでなく差を見ると、この5品の構図がわかります。2位のしろきくらげと3位のらっきょうの差はわずか0.7g、3位と4位の青汁との差は5.8g、4位と5位のわらびとの差は2.8gです。2位から5位までは、この程度の幅に収まっています。一方、1位のこんにゃくと2位のしろきくらげの差は54g、1位と5位のわらびとの差は63.3gにのぼります。上位5品は均等に並ぶ集団ではなく、こんにゃく1品だけが抜け出し、2位以下がそのすぐ下にまとまる形です。

精粉が突出する理由

精粉は、サトイモ科コンニャクの塊茎(生いも)を切り干し加工した荒粉を、さらに搗(とう)精したものです。食用こんにゃくの原料として用いるもので、直接食用とはしません。水分は100gあたり6.0gしかなく、いもから水分を抜いて成分を凝縮した粉であることが、数値の大きさにつながっています。エネルギーは100gあたり194kcalです。

この精粉に多く含まれるのが、水溶性食物繊維の一種であるグルコマンナンです。グルコマンナンはこんにゃくに多く含まれる水溶性食物繊維で、体内では消化されません。こんぶ、わかめ、こんにゃく、果物、熟した豆など、ぬるぬる・ねばねばした食品に水溶性食物繊維が多いとされていますが、こんにゃくはその原料の段階ですでに数値が大きくなっています。ただし精粉のまま100gを食べることはありません。私たちが口にするこんにゃく製品は、この粉を水で戻して固めたものですから、73.3gという数字はあくまで原料の姿として見てください。

2位以下の4品目、それぞれの事情

2位以下の4品目は、どれも「水分が少ない」か「一度に食べる量が少ない」という事情を抱えています。

しろきくらげは、キクラゲ属とは別のシロキクラゲ属に分類されるきのこで、不規則なとさか状で白色をしています。中国では薬用きのことされてきました。販売されている大半は菌床栽培品を乾燥したもので、水分が抜けているぶん、100gあたりの数値が高く出ます。

らっきょうは、おおにら・さとにらとも呼ばれ、主にりん茎を食用にします。5品の中では唯一の生の食品で、水分は100gあたり68.3gあります。1個は購入形態で約8g、根や膜状のりん片、両端を除いた食べる部分はおよそ6.8gです。この量で摂れる水溶性食物繊維は約1.26gです。

青汁はケールなど緑葉野菜を搾った汁を乾燥させた粉末製品です。100gあたりの数値は上位に来ますが、1回分の目安量は3gで、この量で摂れる水溶性食物繊維は約0.38gにとどまります。らっきょうやしろきくらげと違い、実際に使う量がごく少量である点が特徴です。

わらびは山野に自生するシダ(羊歯)植物の一種で、干しわらびは熱湯でゆで上げ、十分あく抜きし、乾燥させたものです。山菜の王様といわれ、食物繊維やミネラルなど高い栄養価を誇るとされます。生のわらびはアクが強く、あく抜きが欠かせません。

数字の見方を知って選ぶ

この5品の並びは、水溶性食物繊維が多い食品を探すというより、水分をどれだけ抜いた状態の数字かを読む練習になります。しろきくらげとわらびは乾燥品、青汁は少量ずつ使う粉末、らっきょうは生、こんにゃく精粉はそのままでは食べない原料です。日々の食卓では、こんにゃくは煮物やおでんに、らっきょうは薬味や漬物に、青汁は1回3gを目安に、しろきくらげやわらびは水で戻して和え物や煮物に使うのが現実的です。数字の大きさだけでなく、その食品がどんな形で食卓に上るかを合わせて見ると、この73.3gという値の意味がつかみやすくなります。

※本記事は特定の食品の効果・効能を示すものではありません。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準厚生労働省 e-ヘルスネット