この研究は、ナイジェリアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:International Journal of Biological and Healthcare Research
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的:鉄分の少ないヨーグルトをタイガーナッツで補う
ヨーグルトは、乳酸菌が牛乳などに含まれる乳糖を発酵させて作る食品で、たんぱく質やカルシウムの供給源として親しまれています。一方で、研究チームは、ヨーグルトには貧血の予防に重要な鉄分が乏しいことを課題に挙げています。
そこで著者らが注目したのが、タイガーナッツです。名前に「ナッツ」とありますが、カヤツリグサの仲間の植物が地下につくる小さな塊茎で、食物繊維やミネラル、脂質を豊富に含むとされます。熱帯地域で多く育つ一方、食品としてはあまり活用されていません。
著者らはさらに、乳糖をうまく消化できない「乳糖不耐症」の人が世界に多いことや、研究地のナイジェリアで消費されるヨーグルトが主に輸入の牛乳から作られていることにも触れています。こうした背景から、研究チームはタイガーナッツを使ったヨーグルトを作り、その栄養成分と、食べたときの評価を調べることを目的としました。
どのように作り、何を調べたか
研究チームは、タイガーナッツから石や傷んだ粒を取り除き、洗って24時間水に浸けた後、ミキサーで細かく砕き、布でこして液状の「タイガーナッツミルク」を取り出しました。これを7分間加熱殺菌して冷まし、発酵のもとになる菌(スターター)を加えて24時間発酵させ、ヨーグルトにしました。
できあがった3種類の試料(A、B、C)について、水分、たんぱく質、脂質、灰分(ミネラルの総量の目安)、炭水化物といった基本的な成分を測定しました。あわせて、カルシウムと鉄の量、ビタミンB12の量も分析しました。
さらに、栄養学科の教職員と学生からなる評価者が、味、香り、色、なめらかさ(コンシステンシー)、総合的な好ましさを、「非常に嫌い」から「非常に好き」までの9段階で採点しました。
主な結果:栄養面で優れた試料と、好まれた試料は別だった
基本成分を見ると、3種類とも水分は約83.4〜83.6%と、ほぼ同じでした。試料Bはたんぱく質が8.10%で最も多く、炭水化物は3.39%で最も少ない結果でした。試料Cは脂質が4.81%で最も多く、エネルギーも89.09キロカロリーで最も高い値でした。
ミネラルでは、試料Bがカルシウム(1.350 mg/l)と鉄(0.571 mg/l)の両方で最も高い値を示しました。ビタミンB12は試料Cが2.10 mg/lで最も高かったものの、論文では試料間の差は比較的小さいと述べています。
一方、食べたときの評価では、論文の要旨によると試料Aがほとんどの項目で最も高い点数を得ました。総合的な好ましさの平均点は9点満点中8.1点でした。栄養面で目立った試料Bは評価が低めで、著者らは、炭水化物や脂質が少ないことが風味や食感に影響した可能性を挙げています。統計的な検定では、味、香り、色、総合的な好ましさで試料間にはっきりした差が見られました。なめらかさについては、明確な差は確認されませんでした。
この研究が示すこと
著者らは、タイガーナッツを用いたヨーグルトは、特に鉄の面で栄養価を高めつつ、消費者に受け入れられる味を保てると結論づけています。そのうえで、鉄不足や乳糖不耐症が多い地域での機能性食品になりうると述べています。
ただし、今回の結果では、鉄やたんぱく質が多かった試料と、味の評価が高かった試料は一致しませんでした。研究チーム自身も、栄養を高めることと、おいしさを両立させるための調整が大切だと指摘しています。身近な未活用作物をヨーグルトに生かす試みとして、栄養と食べやすさの両方を見る必要性を示した研究といえます。
著者:HAMISU, M.(Department of Food Science and Technology, Federal Polytechnic, Bauchi, Bachi State-Nigeria)、LAWAL, R. A.(Department of Food Science and Technology, Federal Polytechnic, Bauchi, Bachi State-Nigeria)、EDUZOR, E.(Department of Food Science and Technology, Federal Polytechnic, Bauchi, Bachi State-Nigeria)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):HAMISU, M., LAWAL, R. A., EDUZOR, E.. IMPACT OF TIGERNUT ON THE NUTRITIONAL VALUE AND SENSORY QUALITY OF YOGHURT. International Journal of Biological and Healthcare Research 2026-10-08. DOI: 10.70382/caijbhr.v13i3.020. 原著ライセンス:CC BY.