著者の所属・活動拠点の国は、韓国です。
掲載誌:Foods
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
研究のねらい
豚の頭部には食べられる肉が含まれています。しかし、ロースやバラ、もも肉といった一般的な部位と比べると、頭部の肉を部位ごとに細かく調べた研究は限られていました。食肉産業の持続可能性という観点からは、食べられるのに十分に活用されていない部分を減らし、効率よく利用することが重要になっています。
頭部の肉は解剖学的に異なる場所から切り分けられるため、部位によって成分や品質が違う可能性があります。また、と畜時の体重(と畜体重)が頭部や各部位の取れる量にどう影響するかについても、情報はほとんどありませんでした。そこで研究チームは、と畜体重によって頭部と6つの部位の取れる量がどう変わるかを調べ、あわせて6部位の品質特性を比較しました。
どのように調べたか
研究には、ランドレース、ヨークシャー、デュロックの3品種をかけ合わせた一般的な交雑種の豚150頭(去勢雄96頭、雌54頭)が使われました。豚はと畜体重によって80〜89kgから190〜225kgまでの6グループに分けられました。最も重い190〜225kgのグループは、通常の出荷体重を大きく超えるため、すべて繁殖用を引退した雌豚で構成されています。
と畜後に冷却した頭部の重さを量り、商業的な加工施設で一般的に行われている手順に沿って、後頭部、頬、鼻部、側頭部、ジョウル(韓国で「ハンジョンサル」と呼ばれる部位と同じ)、舌下部の6部位に切り分けました。各部位の重さに加え、水分・脂肪・たんぱく質・コラーゲンの量、エネルギー量、pH、保水性(肉が水分を保つ力)、保存中や加熱時に失われる水分の割合、肉の赤みのもとになる色素たんぱく質ミオグロビンの量、肉の色、脂肪酸の組成を部位ごとに測定しました。
主な結果
頭部の重さは、と畜体重が増えるにつれて大きくなりました。190〜225kgのグループの頭部は80〜89kgのグループの約2.4倍で、6部位の肉の合計量は約2186gと、約765gだった80〜89kgのグループの約2.9倍に達しました。一方、比率で表した相対的な収率は、どの体重グループの間でも有意な差がありませんでした。どのグループでも、取れる量が最も多かったのはジョウルで、側頭部と鼻部は少ない傾向でした。
成分には部位ごとの違いがはっきり見られました。脂肪は後頭部で約12%と最も多く、ジョウルも約10%でしたが、そのほかの部位は3〜5%程度でした。エネルギー量も後頭部が最も高く、100gあたり約200kcalでした。たんぱく質は約20%で、部位間に有意な差はありませんでした。コラーゲンは後頭部とジョウルで多く含まれていました。
品質面では、鼻部のpHが最も高くなりました。保水性はジョウルと後頭部で高く、真空包装して冷蔵保存した7日間にしみ出す肉汁の割合は、側頭部で最も多く、ジョウルで最も少なくなりました。加熱による損失には、部位間で有意な差はありませんでした。ミオグロビンは鼻部、頬、舌下部で多く、これらは赤みの強い色を示しました。一方、ジョウルは最も明るく、赤みの弱い色でした。
脂肪酸の構成も部位によって異なりました。ジョウルでは一価不飽和脂肪酸(オレイン酸など)の割合が高く、多価不飽和脂肪酸の割合は低くなりました。鼻部、舌下部、後頭部では、飽和脂肪酸に対する多価不飽和脂肪酸の比率が高めでした。なお、n-6系とn-3系脂肪酸の比率は、すべての部位で望ましいとされる4未満を大きく上回りました。著者らは、この点は主に豚に与えられた穀物中心の飼料の脂肪酸組成を反映している可能性があると述べています。
研究が示すこと
著者らは、体重の重い豚で頭部の肉が多く取れるのは、特定の組織が選択的に発達したからではなく、頭部全体が大きくなったためだと解釈しています。そのうえで、豚の頭部の6部位は、脂肪の量や色、水分の保ちやすさ、脂肪酸の構成などがそれぞれ異なることが示されました。
論文はこれらの結果を、頭部の肉を食用資源として活用するための基礎情報と位置づけています。体重帯ごとの収量データは、加工業者が原料の見込み量を見積もる助けになり得ます。また、頭部の肉を混ぜた原料として一括で扱うのではなく、部位ごとの特性に応じて分けて選ぶことも考えられる、と著者らは述べています。
原著論文の著者・所属:Kyung Jo(Animal Resources Food Tech Division, National Institute of Animal Science, Rural Development Administration, 1500 Kongjwipatjwi-ro, Iseo-myeon, Wanju-gun 55365, Jeonbuk State, Republic of Korea)、Van Ba Hoa(Animal Resources Food Tech Division, National Institute of Animal Science, Rural Development Administration, 1500 Kongjwipatjwi-ro, Iseo-myeon, Wanju-gun 55365, Jeonbuk State, Republic of Korea)、Suk Han Jung(Animal Resources Food Tech Division, National Institute of Animal Science, Rural Development Administration, 1500 Kongjwipatjwi-ro, Iseo-myeon, Wanju-gun 55365, Jeonbuk State, Republic of Korea)、Dong-Gyun Kim(Animal Resources Food Tech Division, National Institute of Animal Science, Rural Development Administration, 1500 Kongjwipatjwi-ro, Iseo-myeon, Wanju-gun 55365, Jeonbuk State, Republic of Korea)、Sun Moon Kang(Animal Resources Food Tech Division, National Institute of Animal Science, Rural Development Administration, 1500 Kongjwipatjwi-ro, Iseo-myeon, Wanju-gun 55365, Jeonbuk State, Republic of Korea)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Kyung Jo, Van Ba Hoa, Suk Han Jung, et al. Production Yield and Meat Quality Characteristics of Six Pork Head Cuts from Commercial Crossbred Pigs. Foods 2026-09-22. DOI: 10.3390/foods15193367. 原著ライセンス:CC BY.