著者の所属・活動拠点の国は、インド、サウジアラビアです。

掲載誌:International Journal of Food Science & Technology

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

生で食べる葉の表面には乳酸菌がおり、私たちは日常的にそれを口にしています。乳酸菌は、プロバイオティクス(体に役立つ働きが期待される生きた微生物)の候補としてよく調べられています。しかし研究チームによると、葉の表面(葉面)はその供給源としてほとんど調べられていませんでした。これまでに報告された数少ない菌株も、検証できる基準なしに順位付けされていたといいます。

そこで著者らは、食用・料理用植物の葉面から乳酸菌を分離しました。そのうえで性質を試験管内で調べ、検証可能な方法で候補株を順位付けすることを目指しました。

何を調べたか

研究チームは、8種類の食用・料理用植物の葉面から15株の乳酸菌を分離しました。このうち、見た目の形が異なる5株(LA、LAB-3、LAB-5、LAB-10、LAB-15)を詳しく調べています。

評価は試験管内で行われました。まず、酸・胆汁・食塩・フェノール・温度への耐性を調べました。胆汁は消化液の一つで、腸内での生き残りやすさの目安になります。次に、赤血球を壊す性質(溶血性)と、抗生物質への感受性を調べました。さらに、菌同士が集まる性質(自己凝集性)と、表面が水をはじく性質(疎水性)も調べています。この二つは、腸の表面への付きやすさの手がかりとされる性質です。

著者らは、得られた性質の一覧を複数の統計手法で分析しました。データ全体の傾向をまとめる主成分分析、似た株をまとめる分類、総合点による順位付けなどです。総合点の順位付けでは、項目の重み付けを3通りに固定した場合に加え、1万通りの無作為な重み付けでも順位を確かめました。また、胃と腸を2段階で通過する際の生存率を見積もる簡単なモデルも用いています。

主な結果

5株はいずれも溶血性を示しませんでした。LAと呼ばれる株は、形や性質から暫定的に乳酸桿菌(ラクトバチルス)とされています。LAとLAB-15は、強い酸性のpH2.0でも基準条件の73〜75%の増殖を保ちました。また、2.0%の胆汁でも増殖は妨げられませんでした。

疎水性と自己凝集性が最も高かったのはLAで、それぞれ72%と42%でした。LAB-10(60%)とLAB-15(57%)も、目安とされる50%を上回りました。すべての株が6%の食塩下で増殖しました。一方、0.4%のフェノールでは、菌液の濁り(増殖の指標)が50〜84%低下しました。

主成分分析では、第1の成分だけでデータのばらつきの84.7%を説明できました。これは、偶然に期待される水準(上位5%の境界で68.7%)を上回っていました。総合順位では、どの固定の重み付けでもLAが1位、LAB-15が2位でした。この順位は無作為な重み付けの86〜95%でも保たれました。さらに、要素を一つずつ除いて解析をやり直す検証(リーブ・ワン・アウト再解析)の後でも同様だったと報告されています。通過モデルで見積もった生存率は、LAB-15が79.0%、LAが68.4%で、最も高い2株でした。

一方で、LAとLAB-10はアンピシリン、クロラムフェニコール、アジスロマイシンに耐性を示しました。著者らは、これが菌にもともと備わった性質ではない耐性だと指摘しています。そのため、どちらかの株を次の段階に進める前に、最小発育阻止濃度の測定と耐性遺伝子の解析が必要だとしています。

この研究が示すこと

この研究は、葉面から得た乳酸菌について、重み付けを変えても揺らぎにくい候補株の絞り込みを示しました。あわせて、他の研究にも応用できる順位付けの枠組みも提示しています。

ただし著者らは、プロバイオティクスとしての効果をうたえる段階ではないと述べています。そのためには、遺伝子による菌種の確定、安全性や付着性の試験、生体での評価が前提として欠かせないとしています。

原著論文の著者・所属:Shashank S(Department of Agricultural Microbiology, University of Agricultural Sciences, Bangalore (UAS-B) , Bengaluru, Karnataka 560065 ,, India)、Uday Kumar B V(School of Agricultural Biotechnology, College of Agriculture, Punjab Agricultural University (PAU) , Ludhiana, Punjab 141044 ,)、Jalal Uddin(Department of Pharmaceutical Chemistry, College of Pharmacy, King Khalid University , Asir 61441 ,)、Eman S Allahyani(Department of Pharmaceutical Sciences, College of Pharmacy, Umm Al-Qura University , Makkah 24381 ,)、Huda A Alqahtani(Department of Zoology, College of Science, King Saud University , Riyadh 11495 ,)、Doaa Sayed Abdelrahman(Department of Internal medicine, College of Medicine, Princess Nourah Bint Abdulrahman University , Riyadh 11671 ,)、Asmaa Saleh(Department of Pharmaceutical Sciences, College of Pharmacy, Princess Nourah bint Abdulrahman University , Riyadh 11671 ,)、Uddalak Das(Indian Council of Agricultural Research – National Institute of Plant Biotechnology (ICAR – NIPB), Indian Agricultural Research Institute (IARI) , New Delhi 110012 ,)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Shashank S, Uday Kumar B V, Jalal Uddin, et al. In vitro Probiotic Characterization of Lactic Acid Bacteria Isolated from the Phylloplane of Selected Edible and Culinary Plants: Multivariate Trait Profiling and Composite Ranking of Candidate Strains. International Journal of Food Science & Technology 2026-11-02. DOI: 10.1093/ijfood/vvag226. 原著ライセンス:CC BY.