おなじみの青ピーマン 果実 生は、実はまだ熟し切っていない状態で食べられている。完熟すると赤くなるという性質があり、その完熟した姿が赤ピーマン 果実 生だ。同じ果実なのに、収穫のタイミングをずらすだけで中身の数字がまるで変わる。

色の濃さは数字に表れる

緑黄色野菜とは、色の濃い野菜の区分で、β-カロテンをはじめとするカロテノイドを豊富に含む野菜が該当する。β-カロテンは体内でビタミンAに変わる成分(プロビタミンA)だ。ピーマンの場合、赤ピーマンにはβ-クリプトキサンチンが100gあたり230µg含まれている。これも体内でビタミンAに変わる仲間の色素成分だ。青いピーマンではごくわずか(3µg)のこの成分が、完熟して赤くなる過程で大きく増えてくる。

ビタミンCの差はさらにはっきりしている。青ピーマンが100gあたり76mgなのに対し、赤ピーマンは170mgと2倍以上になる。エネルギーも青ピーマンの20kcalから赤ピーマンの28kcalへとほぼ1.4倍だ。青ピーマンは100g中93.4gが水分で、残り6.6gに食物繊維やビタミン・ミネラルが詰まっている一方、赤ピーマンは水分91.1gとやや少なく、ビタミンCなど個々の成分量が増えている。赤ピーマンは廃棄率10%で、1個(約150g)のうち口にする可食部はおよそ135g。これに換算するとビタミンCはおよそ230mgになる計算だ。ビタミンCは水に溶けやすく熱に弱いため、新鮮なうちに手早く調理するとよいとされる。

色の濃い野菜たちの実力

この「色が濃いほど成分が増える」という関係は、ピーマンに限った話ではない。同じ緑黄色野菜の仲間を見ると、色の主役はそれぞれ違っても、鮮やかな色が栄養の裏付けになっている点は共通している。緑黄色野菜の代表格がモロヘイヤ 茎葉 生だ。β-カロテンは100gあたり10000µgと、緑黄色野菜のなかでも際立って高い値を示す。加えてビタミンKが640µg、葉酸が250µg、ビタミンCも65mg含まれ、刻んで料理に加えるだけでまとまった量を摂れる。日々の献立の中の一品として捉えたい。

とうがらし 葉・果実 生は、プロビタミンAの一種であるα-カロテンを100gあたり190µg含み、ビタミンCも92mgと高い値を示す。ただし薬味程度に使うものなので、実際に口にする量はごくわずかだ。数字の大きさよりも「彩りと風味を添える存在」として捉えるのが実際的だ。ようさい 茎葉 生にもα-カロテンが78µg含まれ、ビタミンKも250µgとモロヘイヤに次ぐ値を示している。お浸しや炒め物に取り入れやすい野菜だ。

赤ピーマンが赤くなるほど成分を増やすのと同じく、はじめから鮮やかな色をまとうにんじん 根 皮つき 生も、色そのものが栄養の目印になる緑黄色野菜だ。成分表上は皮つきの状態での値で、季節による変動もわずかとされる。1本(約150g)を刻んで加えるだけで、色の薄い料理に彩りと共に緑黄色野菜の一品を足せる。

選び方・食べ方のコツ

ピーマンは色で選べる野菜だ。青いままなら軽い苦みとシャキッとした食感が持ち味だが、赤く熟したものを選べばビタミンCの量がぐっと増える。保存する場合はまるごとポリ袋に入れて冷凍すれば1カ月ほどもち、冷凍すると苦味を感じにくくなるという扱い方も知られている。解凍は水に30秒ほどつけてから切ると使いやすい。冷蔵なら10日ほどが目安だ。

買い物のときに「同じピーマンでも赤を選ぶ」「彩りにモロヘイヤやようさいを添える」という一手間で、食卓に緑黄色野菜を取り入れやすくなる。次に八百屋やスーパーの店先で赤ピーマンを見かけたら、それは青ピーマンが「もう少し待った」結果だと思い出してほしい。

※特定の食品の効果・効能を示すものではありません。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」(厚生労働省)