著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Journal of Applied Agricultural Science and Technology

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

インドネシアでは、パーム油が食用油市場の約9割を占め、家庭で揚げ物などに使われる主要な油です。油の栄養的な性質や、加熱したときの酸化しにくさ(酸化安定性)を考えるうえで重要なのが、油を構成する脂肪酸の種類と割合、つまり脂肪酸組成です。

市販のパーム食用油は、原料となる果実の産地や熟度、精製や分別(固まりやすい成分を取り除く工程)の違いによって、脂肪酸組成に差が生じる可能性があります。著者らによると、これまでのパーム食用油の品質研究は、遊離脂肪酸や過酸化物価といった劣化の指標を調べたものが中心で、市場に出回る複数製品の脂肪酸組成を比べたデータは限られていました。そこで研究チームは、市販のパーム食用油について、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、シス型・トランス型、オメガ系の脂肪酸を分析し、製品間で比較することを目的としました。

何をどう調べたか

分析対象は、地元の市場で入手した5種類のパーム食用油です。このうち4種類は包装された銘柄品(MG1〜MG4)、1種類は量り売りの油(MG5)でした。

研究チームは、油に含まれる脂肪酸を、分析しやすい「脂肪酸メチルエステル」という形に化学的に変換したうえで、ガスクロマトグラフィー(成分を分離する装置)と水素炎イオン化検出器を組み合わせたGC–FIDという方法で測定しました。各成分は標準物質と比べて特定し、検出されたすべての脂肪酸の合計を100%として、それぞれの割合を求めています。分析は各試料について2回ずつ行われました。

主な結果

飽和脂肪酸(炭素どうしの二重結合をもたない脂肪酸)は、全脂肪酸のうち39.96〜43.76%でした。その大部分はパルミチン酸で、34.27〜37.65%を占め、次いでステアリン酸が平均で約4%含まれていました。

不飽和脂肪酸(二重結合をもつ脂肪酸)は56.18〜59.98%で、主な成分はオレイン酸(44.50〜46.16%)とリノール酸(11.18〜13.14%)でした。オメガ系の分類で見ると、オレイン酸を中心とするオメガ9が最も多く(44.50〜46.16%)、リノール酸を中心とするオメガ6が続き(11.21〜13.27%)、オメガ3は0.12〜0.21%とごくわずかでした。

調べたすべての試料で、トランス脂肪酸は検出されませんでした。製品間の違いは比較的小さく、不飽和脂肪酸が最も多かったのはMG3、少ない傾向にあったのは量り売りのMG5でした。著者らは、こうした差の要因として精製工程や原料果実の違いが考えられるとしています。また、パルミチン酸とステアリン酸の比率に大きな偏りがなかったことから、使用済み油や他の植物油が混入した形跡は見られないと解釈しています。

研究が示すこと

著者らは、分析した5種類のパーム食用油の脂肪酸組成はいずれもおおむね均一で、精製された市販パーム油として知られる特徴と一致していたと結論づけています。その特徴とは、オレイン酸が多いこと、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の割合が比較的釣り合っていること、トランス脂肪酸が検出されないことです。

論文はこれらの特徴について、酸化安定性の良さを支えるものであり、包装品・量り売りのいずれも業界基準に沿った脂肪酸組成をもつことを示すと報告しています。市販のパーム食用油が、銘柄や販売形態が違っても似た脂肪酸組成をもっていたことが、この研究から伝わる主な知見です。

原著論文の著者・所属:Susi Desminarti(Politeknik Pertanian Negeri Payakumbuh)、Nela Eska Putri(Politeknik Pertanian Negeri Payakumbuh)、Prima Yaumil Fajri(Politeknik Pertanian Negeri Payakumbuh)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Susi Desminarti, Nela Eska Putri, Prima Yaumil Fajri Fatty Acid Profile Comparison of Several Palm Cooking Oils Using Gas Chromatography–Flame Ionization Detection (GC–FID). Journal of Applied Agricultural Science and Technology 2026-08-21. DOI: 10.55043/jaast.v10i3.546. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。