著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Food, Nutrition and Health.

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

米はアジアを中心に世界の多くの人々が主食とする穀物です。近年は主食にも手軽さ、栄養、味、安全性が求められるようになり、その一つとして「再構成米」が注目されています。再構成米とは、砕いた米の粉と雑穀などの粉を決まった割合で混ぜ、押出機と呼ばれる装置で加熱・加圧しながら成形し、米粒のような形に仕上げた食品です。

これまでの再構成米の研究は、ハダカムギ(青稞)、キヌア、オーツ麦などを使ったものが中心でした。著者らによると、アワ(粟)を使った再構成米の研究は少なく、その多くは製造条件の調整にとどまっていました。アワを混ぜる割合を段階的に変えたとき、食感や栄養成分がどう変わるのかは体系的に明らかになっていませんでした。そこで研究チームは、アワの配合割合が再構成米の食べる品質と栄養面の性質に与える影響を調べました。

どのように調べたか

研究チームは、米の粉にアワの粉を0%、20%、40%、60%、80%、100%の割合で混ぜ、二軸押出機で6種類の再構成米を作りました。0%は米だけ、100%はアワだけで作った試料です。

作った再構成米について、水分・脂質・たんぱく質・でんぷんなどの基本成分、色、炊いたときに溶け出す成分の量(炊飯損失)、吸水性や膨らみやすさを測りました。加えて、脂肪酸とアミノ酸の組成、粒の中の水の状態、でんぷんの結晶構造、断面の微細構造、炊いた後の硬さや弾力などの食感も調べました。試験管内で消化酵素を働かせ、でんぷんの消化されやすさも評価しました。

主な結果

アワの割合が増えるほど、再構成米の脂質は0.16%から0.47%へ、たんぱく質は6.69%から10.28%へ増えました。ただし、いずれも原料の米やアワより低い値でした。著者らは、加熱や圧力によって成分が変化したり、他の成分と結びついたりしたためと説明しています。色はアワが増えるにつれて明るさが下がり、赤みと黄みが強くなりました。

炊飯損失はアワの割合を増やすといったん減り、その後再び増えました。最も少なかったのはアワ80%の試料で、3.54%でした。炊飯損失が少ないことは、炊いたときに粒が崩れにくいことを意味します。吸水性と膨らみやすさは、アワを加えたすべての試料で米だけの試料を上回りました。

脂肪酸では、どの試料でもリノール酸が最も多く含まれていました。アワの割合が増えるとリノール酸とリノレン酸がはっきり増えました。アミノ酸では、グルタミン酸やアスパラギン酸など多くの種類がアワの増加とともに増えた一方、グリシン、リシン、アルギニンは減りました。著者らは、加熱中に糖と反応して失われやすい性質がこの減少に関わったと考えています。

でんぷんが脂質と結びついてできる特定の結晶構造(V型結晶)の割合は、アワ80%の試料で最も高く7.08%でした。アワ100%では5.05%に下がりました。断面の観察では、アワ80%の試料は小さな孔が均一に分布した整った構造をしていました。一方、100%の試料には大きな空洞が多く、もろい構造になっていました。著者らは、アワ80%の試料がでんぷんを最も消化されにくい性質を示し、これは試験管内の消化試験とも一致したと報告しています。

食感の面では、アワを加えると米だけの場合より硬さ、弾力、噛みごたえなどが下がり、柔らかい仕上がりになりました。

研究が示すこと

この研究は、アワを混ぜる割合によって、再構成米の栄養成分、炊いたときの崩れにくさ、食感、でんぷんの消化されにくさが大きく変わることを示しました。アワを増やせば増やすほど良くなるわけではない点も明らかになりました。今回の条件では、アワ80%の配合が複数の指標で最もよい結果となり、配合割合を適切に選ぶことが品質を左右することがうかがえます。

原著論文の著者・所属:Jiali Zhang(Institute of Biotechnology and Food Science, Hebei Academy of Agriculture and Forestry Sciences, No. 598, Heping West Road, Shijiazhuang, Hebei, 050051, China)、Yingying Liu(Institute of Biotechnology and Food Science, Hebei Academy of Agriculture and Forestry Sciences, No. 598, Heping West Road, Shijiazhuang, Hebei, 050051, China)、Changyu Zhang(Institute of Biotechnology and Food Science, Hebei Academy of Agriculture and Forestry Sciences, No. 598, Heping West Road, Shijiazhuang, Hebei, 050051, China)、Xiaodi Zhang(Institute of Biotechnology and Food Science, Hebei Academy of Agriculture and Forestry Sciences, No. 598, Heping West Road, Shijiazhuang, Hebei, 050051, China)、Aixia Zhang(Institute of Biotechnology and Food Science, Hebei Academy of Agriculture and Forestry Sciences, No. 598, Heping West Road, Shijiazhuang, Hebei, 050051, China)、Jingke Liu(Institute of Biotechnology and Food Science, Hebei Academy of Agriculture and Forestry Sciences, No. 598, Heping West Road, Shijiazhuang, Hebei, 050051, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jiali Zhang, Yingying Liu, Changyu Zhang, et al. Analysis of eating quality and nutritional properties of millet reconstituted rice. Food, Nutrition and Health. 2026-10-19. DOI: 10.1007/s44403-026-00078-9. 原著ライセンス:CC BY.