著者の所属・活動拠点の国は、タイです。
掲載誌:LWT
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ドリアンは果肉を揚げて乾燥させたチップスとしても加工されます。研究チームは、果実をいつ収穫するかという「収穫時の熟度」によって、チップスへの加工のしやすさ、香りのもとになる揮発性有機化合物の構成、栄養面の特徴がどう変わるかを調べました。
対象はドリアンの品種「モントン」です。どの収穫時期の果実が、どのような品質のチップスに向くのかを明らかにすることを目指しています。
調べた方法
著者らは、開花から105日、110日、115日、118日たった時点でそれぞれ収穫した果実を用意しました。これらを油で揚げた後に熱風で乾燥させてチップスにし、収穫時期ごとに比べています。
比較した項目は、加工で得られるチップスの量(歩留まり)、色、測定機器で測った硬さなどの食感、揮発性有機化合物の構成、基本的な栄養成分の組成、抗酸化活性です。揮発性有機化合物とは、常温で気体になりやすく、香りに関わる化合物のことです。研究チームは、成分を分離して調べるガスクロマトグラフィーという手法で、2種類の分離カラムを使ってこれらを分析しました。抗酸化活性は、DPPHと呼ばれる試薬を用いた評価法などで調べています。
主な結果
論文の要旨によると、収穫時期の違いは、歩留まり、色、食感、揮発性有機化合物の構成、成分組成、抗酸化活性のいずれにも統計的に有意な差をもたらしました。
乾燥チップスの歩留まりは、開花105日後の果実では原料100グラムあたり12.82グラムでしたが、115日後の果実では17.68グラムまで増えました。機器で測った硬さは118日後の果実で最も高く、37.22ニュートンでした。115〜118日後の果実から作ったチップスは、歩留まりが高く、黄色みが強く、機器で測った割れ方の特性も高い値を示しました。
香りの成分については、2種類のカラムを合わせて64種類の揮発性有機化合物が確認されました。その中で一貫して最も多かったのは、柑橘類の香り成分として知られるL-リモネンでした。
抗酸化活性は110日後の果実のチップスで最も強いと報告されています。DPPHは抗酸化力の評価に使われる不安定な分子(ラジカル)で、抗酸化作用をもつ成分があると消去されます。このチップスでは、DPPHラジカルに対する阻害率が97.53%でした。また、DPPHラジカルの50%を消去するのに必要な試料の濃度(IC50、値が小さいほど抗酸化活性が強いことを示す)は1デシリットルあたり0.398グラムでした。一方、抗酸化性に関わるフェノール類の総量(総フェノール含量)は118日後の果実で最も多くなりました。エネルギー値は100グラムあたり2,339.32キロジュールに達したと報告されています。
結果が示すこと
研究チームは、収穫時期によって、加工のしやすさや機器で測った品質と、抗酸化活性とのあいだに「どちらかを取ればもう一方が下がる」関係があると結論づけています。
著者らは重視する特性に応じた収穫時期の目安も示しました。見た目、割れ方に関わる食感、揮発性有機化合物、エネルギー密度を重視するなら開花118日後、全体のバランスを重視するなら115日後、抗酸化活性を重視するなら110日後が望ましいとしています。収穫のタイミングひとつで、同じ品種から作るチップスの性質が変わることを示した研究です。
原著論文の著者・所属:Bancha Wiangsamut(Department of Liberal Arts, Faculty of Social Technology, Rajamangala University of Technology Tawan-Ok at Chanthaburi Campus, Chanthaburi 22210, Thailand)、Kannikar Charoensuk(Department of Food Innovation and Business, Faculty of Agro-industrial Technology, Rajamangala University of Technology Tawan-Ok at Chanthaburi Campus, Chanthaburi 22210, Thailand)、Nipaporn Kangkawisut(Department of Food Innovation and Business, Faculty of Agro-industrial Technology, Rajamangala University of Technology Tawan-Ok at Chanthaburi Campus, Chanthaburi 22210, Thailand)、Maria Evangeline Loyola Wiangsamut(Department of Liberal Arts, Faculty of Social Technology, Rajamangala University of Technology Tawan-Ok at Chanthaburi Campus, Chanthaburi 22210, Thailand)、Naruemon Mongkontanawat(Department of Food Innovation and Business, Faculty of Agro-industrial Technology, Rajamangala University of Technology Tawan-Ok at Chanthaburi Campus, Chanthaburi 22210, Thailand)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Bancha Wiangsamut, Kannikar Charoensuk, Nipaporn Kangkawisut, et al. Volatile organic compounds, quality, and nutritional characteristics of crispy durian chips (Durio zibethinus var. ‘Monthong’) as influenced by harvest maturity. LWT 2026-10-01. DOI: 10.1016/j.lwt.2026.120032. 原著ライセンス:CC BY.