著者の所属・活動拠点の国は、イタリア、フィリピンです。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

「超加工食品」をひとまとめにしてよいのか

超加工食品とは、食品の分類法「NOVA(ノバ)」で最も加工度が高い第4群にあたる食品です。食品から抽出・精製した安価な原料に添加物を組み合わせ、複数の工程で工業的に作られた商品を指します。菓子類、加工肉、清涼飲料などがその例です。これまでの疫学研究では、超加工食品を全体として多くとる人ほど、肥満や生活習慣病などの非感染性疾患のリスクが高いという関連が繰り返し報告されてきました。

一方で近年は、超加工食品の種類によって健康との関連が異なるという報告も出ています。疾患リスクの上昇と関連する種類もあれば、リスクの低さと関連する種類や、はっきりした関連が報告されていない種類もあります。そうであれば、関連の違いは加工の度合いによるものなのか、それとも栄養の中身の違いによるものなのか、という疑問が生じます。

著者らはこの点に注目し、伝統的に地中海食で知られながら超加工食品の摂取が増えているイタリアを対象にしました。市場に出回る超加工食品の栄養上の特徴を、食品の種類ごと、また疾患リスクとの関連が報告されている方向ごとに比べることが研究の目的です。

どのように調べたか

研究チームは、誰でも利用できる世界規模の食品データベース「Open Food Facts」から、2026年1月時点でイタリアで販売されている商品を抽出しました。重複や情報が不完全な商品、NOVA第1〜3群の食品を除いた結果、分析対象は超加工食品1万3025品目になりました。

これらの商品は、スナック、穀類、乳製品、飲料など9つの食品群に分けられました。さらに、既存の系統的レビューにもとづき、下位分類ごとに3つのグループに振り分けられました。グループ1は疾患リスクの上昇との関連が報告されたもの、グループ2はリスクの低さとの関連が報告されたもの、グループ3は関連が報告されていないものです。

比較には5つの物差しが使われました。1つ目は100グラムあたりのエネルギーと栄養素の量です。2つ目はニュートリスコアで、栄養の質をAからEの5段階で示し、Aが最も好ましい評価です。3つ目は英国の信号機式表示の基準で、脂質、飽和脂肪、塩分、糖類を「多い」「中程度」「少ない」に区分します。4つ目はエネルギー密度で、1グラムあたりのカロリーの高さを表します。5つ目は「超嗜好性」で、脂質と塩分、脂質と糖、炭水化物と塩分といった、つい食べ過ぎやすいとされる栄養素の組み合わせの基準を満たすかどうかを判定しました。

主な結果

対象商品の41.4%をスナック類が占め、スナック、穀類、乳製品を合わせると全体の3分の2を超えました。ニュートリスコアは、最も低いEが34.9%、Dが29.4%、Cが22.6%でした。AとBはそれぞれ6.1%と7.0%にとどまり、多くの商品が栄養の質で低い評価を受けていました。食品群別では、スナックの約86.7%がDかEだったのに対し、植物性代替食品は約3割がAの評価を得ていました。

3つのグループを比べると、栄養評価の点数が最も好ましい方向に寄っていたのは、疾患との関連が報告されていないグループ3でした。グループ1とグループ2は、DやEにあたる範囲に商品が集中していました。エネルギー密度の高い商品の割合は、グループ2が68.9%、グループ1が29.5%、グループ3が14.2%でした。超嗜好性の基準では、グループ2で「脂質と糖」を満たす商品が約46%、「炭水化物と塩分」を満たす商品が約43%と最も多くなりました。

リスクの低さとの関連が報告されたグループ2で、栄養面の評価がむしろ好ましくない結果になった主な要因は、このグループに含まれるスナック類でした。いずれのグループにも幅広い評価の商品が含まれていました。文献にもとづくリスク区分は、商品の栄養の質を明確に分けるものではなかったと著者らは報告しています。

この研究が示すこと

著者らの主な結論は、同じ超加工食品という分類に入る商品でも、栄養の中身は一様ではないということです。観察研究である種類の超加工食品が低いリスクと関連していたとしても、その種類に含まれる商品がすべて栄養的に好ましいことを意味するわけではない、と論文は注意を促しています。

この研究は、市場の商品の栄養表示を記述的に比べたものであり、個々の食品が病気を引き起こすかどうかを確かめたものではありません。それでも、超加工食品を評価する際には、加工の度合いだけでなく、食品の種類や栄養の組み立てにも目を向ける必要があるという視点が、この研究から伝わってきます。

原著論文の著者・所属:Melvin Bernardino(Department of Life Science, University of Trieste, 34100 Trieste, Italy; Department of Science and Technology, Philippine Council for Health Research and Development, Taguig 1631, Philippines; Metabolic Liver Disease Unit, Fondazione Italiana Fegato, 34149 Trieste, Italy)、Julia Theresa Regalado(Department of Life Science, University of Trieste, 34100 Trieste, Italy; Department of Science and Technology, Philippine Council for Health Research and Development, Taguig 1631, Philippines; Liver-Brain Unit, Fondazione Italiana Fegato, 34149 Trieste, Italy)、Silvia Gazzin(Liver-Brain Unit, Fondazione Italiana Fegato, 34149 Trieste, Italy)、Claudio Tiribelli(Liver-Brain Unit, Fondazione Italiana Fegato, 34149 Trieste, Italy; Metabolic Liver Disease Unit, Fondazione Italiana Fegato, 34149 Trieste, Italy)、Natalia Rosso(Metabolic Liver Disease Unit, Fondazione Italiana Fegato, 34149 Trieste, Italy)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Melvin Bernardino, Julia Theresa Regalado, Silvia Gazzin, et al. Are All Ultra-Processed Foods Created Equal? Descriptive Analysis of Nutritional Composition, Nutritional Quality, Energy Density and Hyperpalatability in Relation to Non-Communicable Disease Risk. Foods 2026-07-28. DOI: 10.3390/foods15152651. 原著ライセンス:CC BY.