著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的:食後血糖が上がりにくい「米」をつくる

精白米は、食物繊維が多いぬかや胚芽を取り除いて精米したものです。主成分は消化されやすいでんぷんなので、食後の血糖値の上がりやすさを示すグリセミック指数(GI)が高くなります。著者らは、こうした食後の血糖変動は糖尿病のある人にとって好ましくないと指摘しています。

研究チームが注目したのは「再構成米」です。米を粉にして他の素材と混ぜ、押出成形機で加熱・加圧しながら米粒の形に成形し直したもので、配合を設計して栄養成分を調整できます。糖尿病や肥満向けの再構成米はこれまでにも開発されてきました。しかし論文によると、栄養・構造・食味の品質を体系的に評価した例は限られていました。

そこで研究チームは、こんにゃく粉、桑の葉エキス、葛(プエラリア)粉、レジスタントスターチ(小腸で消化・吸収されにくいでんぷん)を組み合わせた3種類の再構成米をつくりました。そして、ふだん食べられている精白米と比べて、成分、構造、炊飯特性、食味、消化のされ方を調べました。

何を調べたか

3種類の配合では、こんにゃく粉と葛粉の量をほぼ一定に保っています。そのうえでレジスタントスターチの量を段階的に変え、桑の葉エキスは加える配合と加えない配合を設けました。具体的には、レジスタントスターチが少なめで桑の葉エキス入りの配合、レジスタントスターチが多めで桑の葉エキスなしの配合、レジスタントスターチが多めで桑の葉エキス入りの配合の3つです。

研究チームは、たんぱく質・脂質・食物繊維・レジスタントスターチの含有量を測定しました。さらに、電子顕微鏡による米粒の断面観察、赤外分光法によるでんぷんの化学構造の確認も行いました。炊いたときの吸水率と膨張率、食感、アミノ酸組成、香り成分も分析しています。食味については、訓練を受けた15人のパネルによる官能評価を実施しました。

消化性は、胃腸での消化を試験管内で再現する「in vitro消化試験」で調べました。でんぷんが時間とともにどれだけ分解されるかを測り、白パンを基準にして推定GI(eGI)を算出しています。

主な結果

成分を見ると、再構成米は精白米よりたんぱく質と脂質が少なくなりました。一方で、食物繊維とレジスタントスターチは大きく増えています。食物繊維は精白米の0.93%に対し、レジスタントスターチ多め・桑の葉エキス入りの配合で7.98%と最も高い値でした。レジスタントスターチ多めの2配合では、レジスタントスターチ含有量が精白米の10倍を超えました。

米粒の形は精白米に近く保たれ、成形性は良好と報告されています。ただし、表面には加工に由来する粗さや細かな穴が見られました。赤外分光法では新しい吸収帯の出現や元の吸収帯の消失は見られず、論文は、でんぷんの基本的な化学構造は壊れていないと述べています。炊飯時の吸水率と膨張率は精白米より低く、炊いたご飯は精白米より柔らかく、弾力のある食感でした。

アミノ酸は、精白米と同じ17種類がすべての試料で検出されました。そのうち必須アミノ酸は7種類です。香り成分では、米らしい香りの代表的成分である2-アセチル-1-ピロリンがすべての試料で検出されました。ただし、香りの全体的な傾向は精白米とは異なっていました。官能評価の総合点は精白米が84.4で最も高く、再構成米3種はいずれも70を上回りました。外観や香りの評価は精白米より低かったものの、受け入れられない欠点は報告されていません。

消化試験では、白パンの最終的なでんぷん分解率が約70%、精白米が61.65%でした。再構成米3種はいずれも精白米より分解が遅く、最終的な分解率も低くなりました。その程度は機能性素材の配合量に応じて段階的に変わり、レジスタントスターチ多め・桑の葉エキス入りの配合で最も抑えられています。推定GIは、2つの配合が中GIの範囲、この配合が低GIの範囲に入りました。

この研究が示すこと

著者らは、物理的な障壁、消化酵素の働きの阻害、消化される基質の調整という複数の仕組みが組み合わさり、でんぷんの消化が抑えられたと考察しています。ただし、3つの配合はレジスタントスターチ量、桑の葉エキスの有無、こんにゃく粉の量が同時に異なります。そのため、どの素材がどれだけ効いたのかは切り分けられていないと論文自身が述べています。

また、今回の推定GIは試験管内の消化モデルから見積もった値で、人の体内での血糖値の変化を直接測ったものではありません。この研究は、米粒の形や食べやすさをある程度保ちながら、試験管内では精白米より消化されにくい再構成米を配合によってつくれることを示しました。

原著論文の著者・所属:Yongzheng Hu(School of Food and Bioengineering, Xihua University, Chengdu 610039, China)、Qiuxia Shen(College of Light Industry and Engineering, Sichuan Technology and Business College, Dujiangyan 611830, China)、Lin Yang(School of Food and Bioengineering, Xihua University, Chengdu 610039, China)、Mingyuan Li(School of Food and Bioengineering, Xihua University, Chengdu 610039, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yongzheng Hu, Qiuxia Shen, Lin Yang, et al. Reconstituted Rice with Low-Glycemic-Index Potential as an Alternative to Polished Rice: Structural, Cooking, Nutritional, and In Vitro Digestibility Attributes. Foods 2026-09-17. DOI: 10.3390/foods15183297. 原著ライセンス:CC BY.