著者の所属・活動拠点の国は、パキスタン、中国、サウジアラビアです。

掲載誌:International Journal of Food Science & Technology

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

研究チームは、リンゴの皮から得た抽出物を天然由来の保存料として利用できるか、アンズの果肉や果汁に糖、水、酸などを加えた飲料「アプリコット・スカッシュ」で調べました。抽出物の添加が、栄養成分、抗酸化作用、微生物数、味や香りの評価に及ぼす影響を確かめることが目的です。

背景には、傷みやすいアンズを加工して活用するとともに、リンゴの皮という副産物を食品の原料として役立てたいという狙いがあります。

何を、どのように調べたか

研究チームは、リンゴの皮を加熱、乾燥して粉末にし、20%エタノールと超音波を使って成分を抽出しました。その後、エタノールを除いた抽出物を、アンズの果肉、糖液、クエン酸で作った飲料に加えました。

抽出物の添加量を変えた3条件を、抽出物を加えない対照や、保存料の安息香酸ナトリウムを加えた条件と比較しました。抽出物を最も多く加えた条件は4.5%でした。栄養成分、色、糖などの可溶性成分、pH、酸度に加え、フェノール類やフラボノイドの総量、抗酸化作用、微生物数を測定しました。抗酸化作用は、反応性の高い分子であるラジカルを抑える能力などを試験する方法で評価しました。

味や香り、口当たり、総合的な好ましさは、食品科学などを専門とする、ある程度訓練を受けた60人が9段階で評価しました。試料の提供順は入れ替え、各測定や官能評価は繰り返して平均を求めました。

主な報告結果

著者らは、抽出物の添加量が多いほど、飲料の抗酸化作用とフェノール類・フラボノイドの総量が高くなったと報告しました。DPPHというラジカルを抑える試験での抑制率は、無添加の対照で23.52%、安息香酸ナトリウムを加えた条件で28.07%だったのに対し、抽出物4.5%の条件では43.55%でした。これは飲料試料を使った試験での抗酸化作用を示す値です。

抽出物を加えた飲料では、カビ・酵母の数が対照より有意に少なく、添加量の増加に伴って微生物数が減少したと報告されています。また、味や香りなどの官能評価も向上し、研究チームは、抗酸化作用、微生物数、官能評価を合わせると4.5%の添加条件が最も良好だったとしています。

栄養成分では、無添加の対照から抽出物4.5%の条件にかけて、ビタミンCが100 mL当たり5.84 mgから8.55 mgに、カリウムが146.2 mgから169.4 mgに増加しました。カルシウムとマグネシウムも増えました。一方、糖などの可溶性成分やpHには有意な影響がなく、色の変化も小さいと報告されました。

この報告が示すこと

研究チームは、リンゴの皮の抽出物を、アンズ飲料の品質を高める成分であり、合成保存料の代替候補にもなり得ると位置づけています。食品加工で生じる皮を、飲料に利用できる成分の供給源として活用する可能性を示した報告です。

ただし、著者らは、カロテノイドなど個々の成分の詳しい分析と、長期間保存した際の保存性は調べていないと述べています。この結果だけで、長期保存における品質や安全性まで確かめられたわけではありません。

原著論文の著者・所属:Zeeshan Akbar(Department of Food Science and Technology, Faculty of Food Science and Nutrition, Bahauddin Zakariya University , Multan 60800 ,)、Raheel Suleman(Department of Food Science and Technology, Faculty of Food Science and Nutrition, Bahauddin Zakariya University , Multan 60800 ,)、Muhammad Muzamil(Institute of Food Science and Technology, Chinese Academy of Agricultural Sciences , Beijing 100193 ,)、Muhammad Asad Ali Khan(Department of Food Science and Technology, Faculty of Food Science and Nutrition, Bahauddin Zakariya University , Multan 60800 ,)、Muhammad Aftab Zahoor(Department of Food Science and Technology, Faculty of Food Science and Nutrition, Bahauddin Zakariya University , Multan 60800 ,)、Isam A Mohamed Ahmed(Department of Food Science and Nutrition, College of Food and Agricultural Sciences, King Saud University , Riyadh ,)、Moneera O Aljobair(Department of Sports Health, College of Sports Sciences and Physical Activity, Princess Nourah bint Abdulrahman University , Riyadh ,)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Zeeshan Akbar, Raheel Suleman, Muhammad Muzamil, et al. Apple Peel Extract as a Sustainable Clean-Label Preservative: Improving the Nutritional Quality, Oxidative Stability, Microbial Safety, and Sensory Acceptance of Apricot Squash. International Journal of Food Science & Technology 2026-10-31. DOI: 10.1093/ijfood/vvag231. 原著ライセンス:CC BY.