著者の所属・活動拠点の国は、サウジアラビア、エジプトです。

掲載誌:PLoS ONE

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究のねらい

食生活の変化を背景に、肥満や高血圧などの心臓や代謝に関わる健康リスク(心血管代謝リスク)が世界的に注目されています。論文によると、湾岸諸国でもこうしたリスク要因の広がりが報告されていますが、サウジアラビアの若い女性を対象とした研究は限られていました。とくに、食事の内容、水分摂取、体格、血圧、尿のpH(酸性かアルカリ性かを示す値)をひとつの枠組みでまとめて調べた研究は少ないとされています。

そこで研究チームは、19〜30歳のサウジアラビア人女性を対象に、これらの要素が互いにどのように関連しているかを調べました。

どのように調べたか

研究はある一時点でのデータを集めて関連を調べる「横断研究」として行われました。参加者は、ソーシャルメディアを通じた電子的な招待で集められた135人です。妊娠中・授乳中の人、糖尿病や高血圧、腎臓病などの持病がある人、血圧や代謝に影響する薬を使っている人は対象から除かれました。

参加者は、書面での標準的な手順に従って、自宅で体重、身長、腰回り、お尻回りを測りました。血圧は家庭用の血圧計で3〜4回測り、その平均値を用いました。尿pHは、配布された試験紙で朝の中間尿を調べて記録してもらいました。食事内容は、週末1日を含む連続しない3日間について、訓練を受けた研究者が前日24時間に食べたものを聞き取る方法で調べ、栄養計算ソフトで分析しました。1日の水の摂取量は自己申告です。

分析では、エネルギーや各種栄養素の摂取量が血圧や尿pHとどのように関連するかを、複数の要因を同時に考慮する統計手法(重回帰分析)と、2つの値の関係の強さを見る相関分析で調べました。

主な結果

参加者の体格は多様で、体格指数(BMI)で見ると33.3%が低体重、40.7%が過体重または肥満でした。腹部への脂肪のつき方を示すウエスト・身長比が0.50以上の人は35.5%でした。血圧では、拡張期血圧(下の血圧)が80〜89mmHgの人が59.3%、90mmHg以上の人が13.3%でした。収縮期血圧(上の血圧)が130mmHg以上の人は11.8%でした。

食事面では、摂取エネルギーに占める炭水化物の割合が平均73.7%と高く、98.5%の人が推奨範囲(45〜65%)を超えていました。食物繊維やオメガ3脂肪酸の摂取量は少なく、水の摂取量が1日2〜5杯の人が44.4%で、8杯以上の人は8.9%にとどまりました。尿pHは、約半数(49.6%)が7.0〜8.0のアルカリ性寄りの範囲でした。

重回帰分析では、エネルギー摂取量が多いほど収縮期・拡張期の両方の血圧が高い関連が見られました。収縮期血圧はナトリウム(塩分の成分)やオメガ6脂肪酸の摂取量とも正の関連を示しました。一方、炭水化物の摂取量は両方の血圧と逆向きの関連を示しました。尿pHについては、エネルギー摂取量が多いほど尿がより酸性寄りになる関連があり、マグネシウムの摂取量も尿pHと逆向きの関連を示しました。炭水化物とオメガ6脂肪酸の摂取量は、尿pHがアルカリ性寄りになる方向と関連していました。

相関分析では、カフェイン摂取量はエネルギー摂取量と正の相関を示しましたが、血圧や体格とは有意な相関が見られませんでした。尿pHと各栄養素との関連は全体に弱く、水溶性食物繊維とビタミンB1の摂取量だけが弱い正の相関を示しました。

この研究が示すこと

著者らは、この集団で食事の構成と血圧などの指標との間に中程度の関連が見られたとまとめています。炭水化物とナトリウムの摂取が多く、食物繊維や不飽和脂肪の摂取が少ないという食事の傾向は、若い時期の栄養面で改善の余地がある点として示されています。

ただし、一時点の調査であるため因果関係は判断できません。また、参加者はオンラインで集められた人に限られ、測定の多くは自宅での自己測定や自己申告によるものです。このため著者らは、今回の結果を因果の証拠ではなく、仮説を立てるための探索的な関連として受け止めるべきだとしています。

原著論文の著者・所属:Jozaa Z. ALTamimi(Department of Sports Health, College of Sports Sciences & Physical Activity, Princess Nourah bint Abdulrahman University, Riyadh, Saudi Arabia)、Dalal H. Aljabryn(Department of Sports Health, College of Sports Sciences & Physical Activity, Princess Nourah bint Abdulrahman University, Riyadh, Saudi Arabia)、Ghadah Saud Alnooh(Department of Health Sciences, College of Health and Rehabilitation Sciences, Princess Nourah bint Abdulrahman University, Riyadh, Saudi Arabia)、Jwaher Haji Alhaji(Department of Health Sciences, College of Applied Studies, King Saud University, Riyadh, Saudi Arabia)、Eman Alamri(Department of Food Science and Nutrition, University of Tabuk, Tabuk, Saudi Arabia)、Abdelaziz Hendy(Department of Maternal and Child Health Nursing, College of Nursing, Qassim University, Buraydah, Saudi Arabia; Nursing Services Department, Qassim University Medical City, Buraydah, Saudi Arabia; Pediatric Nursing, Faculty of Nursing, Ain Shams University, Cairo, Egypt)、Nora A. AlFaris(Department of Sports Health, College of Sports Sciences & Physical Activity, Princess Nourah bint Abdulrahman University, Riyadh, Saudi Arabia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jozaa Z. ALTamimi, Dalal H. Aljabryn, Ghadah Saud Alnooh, et al. Associations between dietary composition, water intake, urine pH, and cardiometabolic indicators among young Saudi women. PLoS ONE 2026-08-13. DOI: 10.1371/journal.pone.0355378. 原著ライセンス:CC BY.