著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。

掲載誌:Journal of Human Nutrition and Dietetics

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ここ数十年で食をめぐる環境は大きく変わり、野菜や果物、豆、肉や魚といった「未加工・最小限の加工の食品」に代わって、加工度の高い工業製品、とくに「超加工食品」が食卓に増えてきました。超加工食品とは、清涼飲料、袋菓子、加工肉、インスタント食品などのように、工業的な加工を重ねて作られる食品を指します。ブラジルでもこうした変化が進んでいることが知られています。

研究チームは、食べるものの選び方が、生まれ育った時代の社会的・歴史的な経験によって世代ごとに異なるのではないかという点に着目しました。ブラジルでは人口を代表する大規模データで世代差を調べた研究が少ないことから、著者らは2023年の全国調査データを使い、未加工・最小限の加工の食品と超加工食品の摂取が世代によってどう違うかを分析しました。

どのように調べたか

分析に使われたのは、慢性疾患の危険因子と予防因子を電話調査で監視する仕組み「Vigitel」の2023年版です。これはある一時点の状況を調べる横断調査で、各州都と連邦区に住む18歳以上の成人を無作為に選んで標準化された質問票に答えてもらっています。今回の分析対象は2万1690人でした。

調査では、インタビュー前日に24種類の食品群を食べたかどうかを「はい・いいえ」で尋ねています。そのうち12種類は葉物野菜、果物、米などの穀類、豆類、肉や魚、卵、牛乳、ナッツといった未加工・最小限の加工の食品、残りの12種類はソーダ、パック入りジュース、袋菓子、ビスケットや包装ケーキ、加工肉、食パン類、マーガリン、インスタント麺や冷凍調理食品などの超加工食品です。

著者らは、未加工・最小限の加工の食品を「食べなかった」場合と、超加工食品を「食べた」場合にそれぞれ1点を与える簡易な得点を作りました。点数が高いほど、新鮮な食品が少なく超加工食品が多い食べ方を示します。量や頻度の情報がないため、論文はこの得点を検証済みの食事の質の指標ではなく、食べ方の傾向を相対的に比べるための探索的な目安だと位置づけています。得点の中央値は7点、範囲は0〜19点で、上位4分の1に入る人を「質の低い食事」のグループとしました。

参加者は生年によって、伝統主義世代(1934〜1945年生まれ)、ベビーブーマー(1946〜1964年)、X世代(1965〜1980年)、Y世代(1981〜1998年)、Z世代(1999年以降)に分けられ、最も年長の伝統主義世代と比較されました。比較の際には、学歴、配偶者の有無、居住地域の違いも考慮されています。

主な結果

分析の結果、若い世代ほど「質の低い食事」のグループに入りやすい傾向が報告されました。伝統主義世代と比べたオッズ(起こりやすさを比べる統計上の尺度)は、X世代で1.78倍、Y世代で3.24倍、Z世代で3.45倍と、いずれも統計的に意味のある差でした。

著者らはこの違いの背景として、若い世代では料理の技術や食に関する知識の差、仕事や学業、家庭の両立による時間の制約などから手軽な食品に頼りやすい可能性を挙げています。また高齢の人は健康への関心が高い傾向があることも指摘しています。ただし、これらの要因は今回の調査で直接測られたものではなく、論文でも推測として述べられています。

この研究が示すこと

この研究は、ブラジルの大規模な人口調査を用いて、世代によって食べ方に違いがあり、若い世代ほど超加工食品が多く新鮮な食品が少ない傾向にあることを示しました。一方で、前日1日分の自己申告による「はい・いいえ」の回答にもとづく分析であること、ある一時点の調査のため因果関係ではなく関連を示すにとどまること、電話を持つ人しか参加できないことなどの限界も著者ら自身が挙げています。

著者らは、こうした世代間の違いを踏まえ、より健康的な食環境づくりや、早い時期からの食に関する知識・調理技術の育成が重要だとまとめています。

原著論文の著者・所属:João Paulo Lima de Oliveira(Department of Nutrition, Faculty of Health Sciences Federal University of Lavras Lavras Minas Gerais Brazil)、Laudicéia Ferreira Fróis(School of Nutrition Federal University of Ouro Preto Ouro Preto Minas Gerais Brazil)、Bianca Aparecida de Sousa(Department of Nutrition, Faculty of Health Sciences Federal University of Lavras Lavras Minas Gerais Brazil)、Hemily Lopes Menezes Silvério(Department of Medicine, School of Health Sciences Federal University of Lavras Lavras Minas Gerais Brazil)、Giovana Oliveira Mendonça(Department of Nutrition, Faculty of Health Sciences Federal University of Lavras Lavras Minas Gerais Brazil)、Leticia Ohara de Paiva(Department of Nutrition, Faculty of Health Sciences Federal University of Lavras Lavras Minas Gerais Brazil)、Nathalia Luiza Ferreira(Department of Nutrition, Faculty of Health Sciences Federal University of Lavras Lavras Minas Gerais Brazil)、Lílian Gonçalves Teixeira(Department of Nutrition, Faculty of Health Sciences Federal University of Lavras Lavras Minas Gerais Brazil)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):João Paulo Lima de Oliveira, Laudicéia Ferreira Fróis, Bianca Aparecida de Sousa, et al. Generational Influence on Diet Quality: An Analysis Based on Vigitel 2023. Journal of Human Nutrition and Dietetics 2026-07-29. DOI: 10.1111/jhn.70320. 原著ライセンス:CC BY.