著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:INSOLOGI Jurnal Sains dan Teknologi
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的:手軽で食物繊維の多い朝食を地元の食材で
研究チームは、朝食として手軽に食べられるシリアルフレークを、国内で手に入る食材でつくる研究を報告しました。著者らは背景として、インドネシアでは朝食を抜く成人が少なくないこと、そして市販のフレークの多くが輸入に頼る小麦を原料としていることを挙げています。
材料に選ばれたのは、ポラン芋の粉と赤米の粉です。ポラン芋はサトイモ科の芋で、グルコマンナンと呼ばれる食物繊維を多く含みます。赤米は表面を磨かずに籾殻だけを取り除いた米で、ぬかの層が残っています。研究チームは、この二つを組み合わせて食物繊維の多いフレークをつくり、味や見た目が受け入れられるか、どれだけの栄養を含むかを調べることを目的としました。
何を調べたか:3種類の配合で試作し、試食評価と成分分析
研究チームは、ポラン芋粉と赤米粉の割合を変えた3種類のフレークを試作しました。F1は60対40、F2は50対50、F3は40対60です。タピオカ粉、砂糖、マーガリンなどその他の材料は共通とし、生地を薄く伸ばして型で抜き、150℃のオーブンで約15分焼き上げました。
試食評価には、官能評価の授業を受けた大学生63人が参加しました。官能評価とは、人の感覚で食品の好ましさなどを判定する方法です。参加者は見た目、色、香り、味、食感のそれぞれを「好きではない」から「とても好き」までの5段階で採点しました。著者らは、配合の違いによって評価に差があるかを統計的に検定しました。さらに、項目ごとの順位を点数化して合計する方法で最も良い配合を選び、その配合について外部の検査機関で栄養成分を分析しました。
主な結果:好みの差は小さく、選ばれた配合は食物繊維が豊富
試食評価の平均点は、どの配合・どの項目もおおむね「まあまあ好き」から「好き」の範囲に収まりました。配合による違いは、どの項目でも統計的に意味のある差とは認められませんでした。著者らは、配合の変化幅が比較的小さかったことや、ポラン芋粉自体の味や香りがあまり目立たないことを理由として挙げています。
そのうえで、順位を点数化した総合評価ではF3(ポラン芋粉40、赤米粉60)が最も良い成績となり、最良の配合に選ばれました。
F3の成分分析では、100グラムあたりのエネルギーが498キロカロリーと報告されています。たんぱく質は4%、脂質は22%、炭水化物は70%、食物繊維は21.4%でした。インドネシアの食品表示の基準では、固形食品で100グラムあたり6グラム以上の食物繊維を含めば「高食物繊維」と表示できます。F3はこの基準を満たしていました。1回分の量とされる40グラムには食物繊維が約8.7グラム含まれ、表示用の1日あたりの参考量の29%に当たると論文は示しています。水分は1.5%で、シリアル製品の国家規格の上限である3%を下回っていました。
エネルギーが高めになった理由として、著者らはマーガリン、砂糖、赤米粉、タピオカ粉といったエネルギーの多い材料の使用を挙げています。また脂質については、量が多いと酸化による風味の劣化を招きやすく、保存中の品質に注意が必要だと述べています。
研究が示すこと
この研究は、地元で手に入るポラン芋と赤米を組み合わせることで、食物繊維の表示基準を満たすシリアルフレークを試作できたことを示しています。試食した学生たちの好みは配合によって大きくは変わらず、いずれもおおむね好意的に受け止められました。著者らは、選ばれた配合のフレークが食物繊維の多い朝食の選択肢になりうる製品だと結論づけています。
原著論文の著者・所属:Mila Putri Apriliana(Institut Pertanian Bogor)、Rosyda Dianah(Institut Pertanian Bogor)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mila Putri Apriliana, Rosyda Dianah. Pengembangan Produk Flakes Cereal Berbasis Tepung Porang dan Beras Merah sebagai Alternatif Sarapan Tinggi Serat. INSOLOGI Jurnal Sains dan Teknologi 2026-08-07. DOI: 10.55123/insologi.v5i4.9092. 原著ライセンス:CC BY.