この研究は、アメリカの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Nutrition Research
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
妊娠中に体重が増えすぎること(過剰な妊娠中体重増加)は、妊娠の経過が良くないことや、母親の肥満が増えることと関連していると報告されています。これまでにも体重増加を抑えるための取り組みは行われてきましたが、研究チームによれば、体重増加をある程度抑えることはできても、母親の健康状態そのものへの効果は限られていました。
食物繊維は、妊娠していない人では体重管理や食事の質を支えることが知られています。しかし妊娠中にどのような効果があるのかは、まだはっきりしていませんでした。そこで著者らは、食物繊維を多く摂る食事(高食物繊維食)の取り組みが、通常の妊婦健診のみの場合と比べて、妊娠中の体重増加を抑え、体脂肪の増え方を小さくし、食事の質を良くするのではないか、という仮説を立てました。
何を、どのように調べたか
この研究は、参加者を無作為に二つのグループに振り分けて比較する「ランダム化比較試験」として行われました。規模を限定して実施可能性などを確かめる「パイロット試験」と位置づけられています。
高食物繊維食のグループは、妊娠12〜20週の時点から18週間にわたる取り組みに参加しました。内容は、食生活についての行動教育と、毎日食べる高食物繊維のおやつの提供です。もう一方のグループは、通常の妊婦健診(標準的な産前ケア)を受けました。
参加者51人が無作為に振り分けられ、最終的な解析には31人(高食物繊維食グループ16人、通常ケアグループ15人)が含まれました。研究チームは、取り組みの開始時と終了時に、妊娠中の体重増加、体の組成(体脂肪など)、食事の摂取内容、食事の質を測定しました。
報告された主な結果
論文によると、妊娠中の体重増加の合計は、高食物繊維食のグループのほうが通常ケアのグループより少なく、平均の差は5.5キログラム少ないと報告されました(p = 0.029)。
体脂肪についても差がみられました。取り組みの終了時点で、体脂肪率の増え方は高食物繊維食グループが1.6%、通常ケアグループが4.5%で(p = 0.033)、脂肪量の増加も平均で2.7キログラム少なかったと報告されています(p = 0.029)。
食物繊維の摂取量は、高食物繊維食グループで1日あたり21.8±7.5グラムから35.1±7.4グラムへ増えた一方、通常ケアグループは1日19グラム前後のままでした。食事の質を点数で評価した指標では、高食物繊維食グループが7.6点上昇したのに対し、通常ケアグループでは低下しました(p=0.003)。
この結果が意味すること
著者らは、高食物繊維のおやつと行動教育を組み合わせた今回の取り組みによって、食物繊維の摂取量が大きく増え、食品を中心とした高食物繊維の食事パターンを続けやすくなったと結論づけています。そのうえで、この方法は実施可能であり、妊娠中の体重増加と体脂肪の増加を抑えるのに役立つ可能性がある、と述べています。
ただし、これは参加者数を限定したパイロット試験であり、最終的に解析されたのは31人です。著者ら自身も「可能性がある」という表現にとどめており、今回の報告はその範囲での知見として受け止める必要があります。
著者:Amy Herman(Department of Dietetics and Nutrition, University of Kansas Medical Center, Kansas City, KS, USA)、Lauren K. Hand(Department of Dietetics and Nutrition, University of Kansas Medical Center, Kansas City, KS, USA)、Devin C. Koestler(Department of Biostatistics & Data Science, University of Kansas Medical Center, Kansas City, KS, USA)、Kelli Krase(Department of Obstetrics and Gynecology, University of Kansas Medical Center, Kansas City, KS, USA)、Matthew K. Taylor(Department of Dietetics and Nutrition, University of Kansas Medical Center, Kansas City, KS, USA)、Debra K. Sullivan(Department of Dietetics and Nutrition, University of Kansas Medical Center, Kansas City, KS, USA)、Jeannine R. Goetz(Department of Dietetics and Nutrition, University of Kansas Medical Center, Kansas City, KS, USA)、Holly R. Hull(Department of Obstetrics and Gynecology, University of Kansas Medical Center, Kansas City, KS, USA)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Amy Herman, Lauren K. Hand, Devin C. Koestler, et al. A diet emphasizing high-fiber foods during pregnancy decreases gestational weight gain and fat accrual: results from a pilot trial. Nutrition Research 2026-09-01. DOI: 10.1016/j.nutres.2026.09.001. 原著ライセンス:CC BY.