著者の所属・活動拠点の国は、エジプト、サウジアラビアです。

掲載誌:Animals

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ウサギは成長が早く、飼料を効率よく肉に変えられる家畜です。一方で、腸の不調や体内の酸化ストレスなどが成長を妨げることがあります。著者らによると、抗生物質を成長促進のために日常的に使うことを減らす動きが世界的に広がり、それに代わる飼料面の工夫に関心が高まっています。その候補の一つが、腸内の有用な細菌を支えるとされる「プレバイオティクス」です。

研究チームが注目したのは、二つのプレバイオティクスです。一つはアカシアの樹液から得られるアラビアガム(GA)です。GAは消化されにくい水溶性の食物繊維で、大腸側で腸内細菌に発酵されると考えられています。もう一つは、酵母の細胞壁に由来するマンナンオリゴ糖(MOS)です。MOSは、大腸菌などの病原性細菌が腸に付着するのを妨げる働きで知られています。二つは作用の仕方が異なると考えられていますが、育成期のウサギで両者を組み合わせた研究は十分ではありませんでした。そこで本研究は、GAとMOSを単独または組み合わせて与えたときに、ウサギの成長、体の状態、肉質、腸内細菌がどう変わるかを調べました。

どのように調べたか

実験は、生後5週齢の健康なニュージーランドホワイト種の雄ウサギ80匹を対象に行われました。ウサギは無作為に4群(各20匹)に分けられました。基本の飼料だけを与える対照群、飼料1kgあたりGAを2g加えた群、同じくMOSを2g加えた群、GAとMOSを2gずつ加えた群です。飼育期間は13週齢までの8週間で、各ウサギは個別のケージで自由に餌と水をとれるようにしました。

研究チームは、体重の増え方と飼料の利用効率、と体(食肉として処理した体)の特徴、血液の成分、抗酸化や免疫に関わる指標、肉の成分や色・保水性などの品質を測定しました。あわせて、盲腸の内容物で一部の細菌の数を培養法で数えました。

主な結果

4群の摂食量には差がありませんでしたが、成長には差が出ました。最終体重と増体量が最も大きかったのはGAとMOSの併用群で、それぞれ2304.5gと1524.75gでした。この値は単独群よりも有意に高く、対照群(1710.45gと936.05g)を大きく上回りました。飼料要求率(体重を1増やすのに必要な飼料の量で、低いほど効率がよい)は、すべての添加群で対照群より改善しました。値は併用群3.89、MOS群4.14、GA群4.23、対照群6.33でした。

と体については、添加群で処理前の体重と枝肉の歩留まりが高くなりました。ただし歩留まりでは、併用群と単独群の間に有意な差はありませんでした。また添加群では、体重に対する肝臓・腎臓・腹部脂肪などの割合が低くなりました。

血液検査では、添加群で総たんぱく質とアルブミンが増えました。尿素、クレアチニン、肝臓に関わる酵素(ALT・AST)は低い値を示しました。コレステロール、中性脂肪、LDLなどは低く、HDLは高くなりました。抗酸化酵素SODの活性は上がり、酸化による傷害の目安となるMDAは下がりました。免疫グロブリンのIgGとIgMは増えました。

肉質では、添加群で水分とたんぱく質が多く、脂肪が少なくなりました。保水性は併用群が最も高く(70.63%)、保存中にしみ出る水分(1.59%)と加熱による減量(18.78%)は最も少ない結果でした。盲腸の細菌では、乳酸菌の一種であるラクトバチルス属が添加によって増え、併用群で最も多くなりました。大腸菌が有意に少なかったのは併用群だけでした。総細菌数とサルモネラ属の数には、統計的に有意な差がありませんでした。

研究から分かること

著者らは、GAとMOSを単独でも組み合わせても、今回の条件では育成期のウサギの成長、体の状態、肉質、腸内細菌の一部に好ましい変化が見られたと結論しています。併用は多くの項目で最もよい数値を示しましたが、すべての項目で単独使用を一貫して上回ったわけではありません。

著者らはまた、解釈の限界も示しています。腸内細菌は培養法で一部の菌群を数えただけで、腸内細菌全体の姿は捉えていません。成長を説明しうる短鎖脂肪酸の産生などの仕組みは、実際には測定されていません。血液の指標や臓器重量の変化も、それだけで肝臓や腎臓の機能が改善したことを示すものではないとしています。この研究は、二つのプレバイオティクスを飼料に加えたときに測定値がどう変化するかを示したものです。その背景にある仕組みは、まだ確かめられていません。

原著論文の著者・所属:Islam M. Youssef(Animal Production Systems Research Department, Animal Production Research Institute, Agricultural Research Center, Giza 12618, Egypt)、Yasser Alrauji(Department of Animal and Poultry Production, College of Agriculture and Food, Qassim University, Buraydah 51452, Saudi Arabia)、Mohamed Shehab-El-Deen(Animal Production Department, Faculty of Agriculture, Suez Canal University, Ismailia 41522, Egypt; Department of Animal and Poultry Production, College of Agriculture and Food, Qassim University, Buraydah 51452, Saudi Arabia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Islam M. Youssef, Yasser Alrauji, Mohamed Shehab-El-Deen. Combined Effects of Dietary Gum Arabic and Mannan Oligosaccharides on Growth Performance, Physiological Responses, Meat Quality, and Selected Cecal Bacteria in Growing New Zealand White Rabbits. Animals 2026-08-27. DOI: 10.3390/ani16172680. 原著ライセンス:CC BY.