著者の所属・活動拠点の国は、ドイツです。

掲載誌:Poultry Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

採卵養鶏では、1羽の鶏が卵を産む期間を延ばすことが重要な目標とされています。産卵期間が長くなれば、資源の使用を減らし、経済的な効率を高められるためです。一方、産卵を始める前の若い雌鶏(育成鶏)をどのように育てるかは、その後の福祉や生産成績に長く影響しうると考えられています。

しかし、実際の現場で取り入れやすい具体的な育成方法が、長い産卵期間を通じて持続的な影響を残すのか、またその影響が項目ごとに異なるのかについては、あまり分かっていませんでした。研究チームは、育成期の飼料に含まれる繊維の量と、多段式の鶏舎(エイビアリー)で上の段へ出入りできるようにする時期という二つの条件に注目し、84週齢までの長い産卵期間における福祉と生産成績への長期的な影響を調べました。

どのように調べたか

研究では、くちばしの先端を切る処置(ビークトリミング)を受けていないローマン・ブラウン・クラシック種の育成鶏を用い、二つの条件を組み合わせた4通りの育て方を比較しました。飼料は標準的な繊維量のものか、繊維量を適度に増やしたもののどちらかを与えました。また、エイビアリーの上の段を開放する時期を、早い群(14日目または17日目)と遅い群(28日目または31日目)に分けました。

育成期の実験が終わった後、1,520羽の雌鶏を16の区画に分け、すべて同じエイビアリー条件で84週齢まで飼育しました。こうすることで、産卵期に入ってからの環境の違いではなく、育成期の条件の違いが後々まで残るかどうかを評価できるようにしています。

産卵期間中には4回の時点で、羽毛の損傷、皮膚の傷、胸骨の一部である竜骨の変形と骨折を調べました。あわせて、産卵成績、飼料の摂取量、死亡、卵の品質も記録しました。

主な結果

上の段を早く開放した群では、遅く開放した群に比べて、羽毛の損傷、皮膚の傷、竜骨の変形がみられる割合が低いと報告されています。

育成期に繊維を増やした飼料は、竜骨の変形が少ないことと関連していた一方で、羽毛の損傷は多いことと関連していました。

産卵成績と飼料の摂取量には、どちらの条件も影響を示しませんでした。ただし卵の品質のうち、卵白の性状(卵白のしっかりした度合い)については、80週齢の時点で早期開放群の値が遅期開放群より高かったとされています。

生存についての分析では、上の段を開放する時期による違いはみられませんでしたが、飼料による違いがあり、標準的な繊維量の飼料で育てた群のほうが、繊維を増やした群より生存する確率が高かったと報告されています。

研究が示すこと

著者らは、エイビアリーの上の段を早く開放することが、羽毛や皮膚の状態、竜骨の状態に長く続く良い効果をもたらした一方、育成期に飼料の繊維を増やすことには、長期的に一貫した利点はみられなかったとまとめています。

この研究は、育成期のちょっとした管理の違いが、長い産卵期間にまで持ち越される影響をもちうること、そしてその影響は項目によって異なり、ある面では良く別の面では良くない場合もあることを示しています。

原著論文の著者・所属:R. Schreiter(Martin Luther University Halle-Wittenberg, Theodor-Lieser-Straße 11, Halle, 06120, Germany. Electronic address: [email protected])、S. Becker(Chamber of Agriculture of North Rhine-Westphalia, Bad Sassendorf, Germany)、L. Fitz(Bavarian State Research Center for Agriculture, Kitzingen, Germany)、J. Krieg(Chamber of Agriculture of North Rhine-Westphalia, Bad Sassendorf, Germany)、P. Schulte-Huxel(Chamber of Agriculture of North Rhine-Westphalia, Bad Sassendorf, Germany)、A. Schröder(University of Rostock, Rostock, Germany)、J. Slama(University of Rostock, Rostock, Germany)、H. Louton(Ludwig Maximilian University Munich, Munich, Germany)、P. Hofmann(Bavarian State Research Center for Agriculture, Kitzingen, Germany)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):R. Schreiter, S. Becker, L. Fitz, et al. Long-term effects of aviary management and dietary fiber during pullet rearing on performance, egg quality, integument, and keel bone condition in extended laying cycles. Poultry Science 2026-09-29. DOI: 10.1016/j.psj.2026.107859. 原著ライセンス:CC BY.