「一価不飽和脂肪酸」と聞いて、オリーブ油を思い浮かべた方は多いはずです。ところが食品成分表の実測値を100gあたりで並べてみると、頂点に立っていたのはオリーブ油ではありませんでした。
一価不飽和脂肪酸は、油脂に多く含まれる脂肪酸のひとつです。食品から摂るだけでなく、体の中でΔ9不飽和化酵素というはたらきによって飽和脂肪酸からも作られる、摂取と合成の両方の経路を持った成分で、日本人の食事摂取基準にも推奨量や目安量は定められていません。基準がないぶん、実際の数字がそのまま手がかりになります。
王座は入れ替わった、それも僅差で
1位はひまわり油 ハイオレイックの79.9gでした。「ハイオレイック」とは、一価不飽和脂肪酸の代表格であるオレイン酸を多く含むよう改良された品種のひまわりから搾った油のことです。
2位がオリーブ油で74.04g。差はおよそ5.9gしかありません。3位のサフラワー油 ハイオレイック73.24gまで含めると、上位3つは73g台から79g台にひとかたまりになっています。「オリーブ油こそ代表格」というイメージほどには、突出した差はついていないということです。
ひまわり油にはα-トコフェロール(ビタミンEの一種)も100gあたり39mg含まれます。3位のサフラワー油も27mgと多く、これは抗酸化により脂質の酸化を防ぎ、細胞膜の機能維持に関わるとされる成分です。ひまわり油を大さじ1杯(13.7g)に置き換えると5mg強で、女性30〜49歳の目安量6mg/日に近い量になります。
4位・5位には、順位表では測れない個性がある
4位はなたね油の60.09g。上位3つとはここで差が開きます。ただしなたね油には、体内で作れない必須脂肪酸のα-リノレン酸が7500mg含まれています。いわゆるオメガ3(n-3系)の一種です。オリーブ油600mg、ひまわり油230mg、サフラワー油210mgと比べれば桁がひとつ違い、一価不飽和脂肪酸の順位だけでは見えない持ち味がここにあります。
5位に食い込んだのは、油脂類ではなくマカダミアナッツ いり 味付けの59.23g。目安量は10粒で約20gとされ、油のようにかけるのではなく、つまんで食べる形でこの脂肪酸を含む食品です。
ところが、大さじ1杯にすると話が変わる
ここまではすべて100gあたりの数字です。油の目安量は小さじ1が4.6g、大さじ1が13.7g。1位のひまわり油を大さじ1杯使ったとして、そこから摂れる一価不飽和脂肪酸は10g強にとどまります。
一方、平成30・令和元年の国民健康・栄養調査(日本人の食事摂取基準が参照)によれば、日本人成人(18歳以上)の一価不飽和脂肪酸摂取量の中央値は男性25.3g/日、女性20.7g/日となっています。大さじ1杯をかけたところで、1日に実際に摂っている量の半分前後にしかなりません。私たちが口にしている一価不飽和脂肪酸は、油だけでなく肉や魚を含めた食事全体の積み重ねでできている、ということです。
そもそもこの成分に目標量が置かれていないのも、体内で合成できて必須脂肪酸ではなく、主要な生活習慣病への量的な影響もまだ明らかでないためとされています。とはいえエネルギーを産生する成分ではあるので、肥満予防の観点からは摂りすぎに注意すべきとされます。
まとめ 順位よりも、油の個性で選ぶ
一価不飽和脂肪酸の1位は、オリーブ油ではなくひまわり油(ハイオレイック)でした。ただし僅差でオリーブ油とサフラワー油(ハイオレイック)が続き、しかも大さじ1杯で摂れる量は1日の摂取量のごく一部です。順位を追いかけるより、なたね油ならα-リノレン酸、ひまわり油やサフラワー油ならビタミンEというように、それぞれの油が抱えている個性を知って料理に合わせる。そのほうが、毎日の食卓ではずっと役に立ちそうです。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準