植物油の100gあたりのエネルギーを見比べると、上位5品はいずれも894〜899kcalの範囲にひしめいています。エネルギーとは、体を動かしたり体温を保ったりするために体が使う熱量のことで、油に多く含まれる脂質はこの熱量を生み出す主な栄養素の一つです。ただし今回の5品はその値がほぼ同じで、「エネルギーが多いか少ないか」では選び分けができません。実はこの5品、たどっていくと含まれる脂肪酸の中身で三つの系統に分かれていることが見えてきます。

上位5品はすべて894〜899kcal

ひまわり油 ハイオレイックひまわり油 ハイリノールが899kcalで並び、あまに油えごま油が897kcalで同程度、オリーブ油が894kcalとわずかに続きます。5kcal程度の差は実質的には横並びと言ってよい数字です。植物油は原料も採油方法も異なりますが、脂質を高い割合で含む食品という共通点があるため、エネルギーの数字だけを見ても個性は見えてきません。個性が現れるのは、その脂質を構成する脂肪酸の内訳を見たときです。

リノール酸が主役の油(n-6系)

ひまわり油 ハイリノールは、リノール酸が58000mg(100gあたり)と際立って多い油です。リノール酸は体内で作れないn-6系の必須脂肪酸で、この5品のなかではハイリノールが群を抜いてリノール酸に寄った油になっています。同じヒマワリの種子から採れる油でも、登熟期の温度や品種によって脂肪酸の顔つきが変わり、「ハイリノール」はその名の通りリノール酸の割合が高いタイプとして収載されています。

オレイン酸が主役の油(n-9系)

ひまわり油 ハイオレイックはリノール酸が6600mgにとどまる一方、オレイン酸を80000mg(100gあたり)含む、オレイン酸に寄せて品種改良されたタイプです。オリーブ油もオレイン酸73000mg・リノール酸6600mgと同じ並びで、ハイオレイックと同じ系統に入ります。一価不飽和脂肪酸の合計はそれぞれ79.9g・74.0gで、その大半をオレイン酸が占めます。同じヒマワリでも、ハイリノールのオレイン酸は27000mgにとどまります。オリーブ油はオリーブの果肉から搾ったバージンオイルと呼ばれる輸入品を収載した数値です。

α-リノレン酸が主役の油(n-3系)

三つめの系統があまに油えごま油です。あまに油はアマの種子、えごま油はエゴマの種子からそれぞれ採油された油で、どちらもα-リノレン酸を多く含む油として位置づけられています。実際の数値でもあまに油が57000mg、えごま油が58000mgとほぼ同水準で、これはリノール酸と同じく体内で作れないn-3系の必須脂肪酸です。エネルギーの数字だけを見れば先の3品と区別がつきませんが、脂肪酸の中身で見ると、この2品はもう一つの系統に属していることがはっきりします。

使う量に直しても、熱量の差は出ない

小さじ1が約4.6gにあたるひまわり油2品とオリーブ油は、1杯でいずれも約41kcalです。5品は100gあたり894〜899kcalとほぼ横並びなので、同じ量を使うかぎり熱量の差はほとんど出ません。つまり植物油を選ぶ際の実質的な分かれ目は、エネルギーの大小ではなく「リノール酸中心のn-6系か、オレイン酸中心のn-9系か、α-リノレン酸中心のn-3系か」という脂肪酸の系統にあります。普段の油をどれか一つに偏らせず使い分けてみると、同じ「植物油」という括りの中にある個性の違いに気づけるはずです。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準e-ヘルスネット「エネルギー産生栄養素」(厚生労働省)