この研究は、パキスタン、バングラデシュの研究機関の研究論文です。

掲載誌:TAJ Journal of Teachers Association

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、お酒をほとんど飲まない人の肝臓に脂肪が多くたまる状態で、現在では世界で最も多い慢性の肝臓の病気の一つだと著者らは説明しています。肥満や2型糖尿病、脂質異常、メタボリックシンドロームと深く関係することが知られています。

著者らは、南アジアでは精白した白米が主食で、1日に何度も食べられることが多い点に注目しました。そこで、ある医療機関を受診した成人患者を対象に、食事のパターン、とくに1日あたりのご飯を食べる回数が、血液中の脂質の異常や、超音波検査で判定した脂肪肝の程度とどう関係しているかを調べることを目的としました。論文では、少数の対象者が南アジアの人々全体を代表するという主張はしておらず、炭水化物中心の食習慣が一般的な病院受診者の集団を評価したものだと明記されています。

何をどのように調べたか

この研究は、2024年6月から2026年2月にかけてバングラデシュの一施設で行われた、横断的な観察研究です。腹部の超音波検査と血液検査を受けた18歳以上の患者152人が対象になりました。お酒を多く飲む人、ウイルス性肝炎がわかっている人、ほかの原因による肝硬変がある人、肝臓に負担をかける薬を使っている人、妊娠中の人、検査記録や食事の聞き取りが不十分な人は除かれています。

食事のパターンは、ご飯を1日1回、2回、3回食べるかという頻度で分類されました。脂肪肝の程度は超音波画像の見え方にもとづいて3段階に分けられています。肝臓の明るさ(エコー輝度)がわずかに増していて、肝臓内の血管の壁や横隔膜がはっきり見える状態をグレード1(軽度)、明るさが中程度に増して血管や横隔膜が一部見えにくくなった状態をグレード2(中等度)、明るさが著しく増して血管・横隔膜・肝臓の奥がよく見えない状態をグレード3(重度)としています。あわせて、脂質の検査値、空腹時血糖、肝臓の酵素であるSGPT、糖尿病や高血圧の有無も記録されました。関連の検討にはカイ二乗検定とスピアマンの順位相関が用いられ、p値が0.05未満を統計的に有意と判断しています。

超音波検査は、体を傷つけず、どこでも受けやすく費用も抑えられるため脂肪肝の検査に広く使われていますが、脂肪の量を正確に測ることはできず、軽い脂肪肝を見つける力は弱いと著者らは述べています。

報告された主な結果

152人のうち男性が96人(63.2%)、女性が56人(36.8%)で、年齢は21〜70歳でした。脂肪肝の程度は、グレード1が84人(55.3%)、グレード2が49人(32.2%)、グレード3が19人(12.5%)で、軽度がもっとも多く見られました。

ご飯を食べる回数別に見ると、1日3回食べる群では中等度から重度の脂肪肝の割合が、1日1回や2回の群より高くなっていました。1日1回の群(33人)ではグレード1が75.8%、グレード3は3.0%でしたが、1日3回の群(67人)ではグレード1が37.3%に減り、グレード2が40.3%、グレード3が22.4%を占めていました。ご飯を食べる回数と脂肪肝の程度の関連は統計的に有意で(カイ二乗=19.65、p=0.0006)、スピアマン相関でも正の相関が示されました(rho=0.349、p<0.001)。

血液検査では、中性脂肪(トリグリセリド)が高い人が80人(52.6%)いました。その割合は脂肪肝が重いほど高く、グレード1で38.1%(84人中32人)、グレード2で63.3%(49人中31人)、グレード3で89.5%(19人中17人)と報告されており、この関連も統計的に有意でした(p<0.001)。空腹時血糖の高さ(p=0.0045)やSGPTの高さ(p=0.0002)も脂肪肝が重いほど多く見られ、有意な関連が示されています。一方、高血圧と脂肪肝の程度の関連は統計的に有意ではありませんでした(p=0.184)。

著者らは、炭水化物の多い食事を頻繁にとると食後の血糖とインスリンにさらされる機会が増え、体質によってはインスリン抵抗性や肝臓での脂肪の新たな合成が進んで肝臓に中性脂肪がたまりやすくなる、という既に知られている仕組みから見て、この結果は生物学的に納得できると論じています。

ただし著者らは複数の限界も挙げています。病院を受診した人を対象としているため選択バイアスがありうること、食事は米を食べる回数だけで分類し、総摂取エネルギーや一回量、砂糖・油・たんぱく質の摂取量、身体活動は十分に数値化していないこと、超音波検査は検査者によって結果が左右され、MRIや肝生検ほど正確に肝臓の脂肪を測れないこと、そして横断的な研究デザインであるため因果関係は確定できないことです。

この研究が示すこと

この研究は、ご飯を食べる回数が多いことが超音波でみた脂肪肝の重さと関係し、中性脂肪の高さが進んだ脂肪肝と結びついていたことを、一施設の患者集団で報告したものです。あくまで同じ時点での関連を示した観察研究であり、食習慣が脂肪肝を引き起こすと証明したわけではありません。

それでも著者らは、超音波検査を脂質や代謝の検査とあわせて読み解くことで、リスクの高い人を早めに見つけ、食事や生活習慣についての助言につなげる手がかりになりうると結論づけています。炭水化物中心の食習慣が一般的な地域で、身近な検査から何が見えてくるかを示した事例といえます。

著者:Md Javed Mahfuz Khan(Department of Radiology & Imaging, Combined Military Hospital (CMH), Jashore)、Farhana Rahman(Department of Physiology, Army Medical College, Jashore)、Wahida Rahman(Senior Medical Officer, Medical Squadron, BAF Base Bir Uttam AK Khandker, Dhaka)、Jamal Pasha Chowdhury(Department of Pathology, Armed Forces Institute of Pathology (AFIP), Dhaka)、Md Mohimanul Hoque(Department of Medicine, Rajshahi Medical College, Rajshahi)、Amena Akter(Department of Blood Transfusion, Rajshahi Medical College, Rajshahi)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Md Javed Mahfuz Khan, Farhana Rahman, Wahida Rahman, et al. Correlation of Dietary Patterns with Lipid Profile and Ultrasonographic Fatty Liver Changes. TAJ Journal of Teachers Association 2026-09-01. DOI: 10.70818/taj.v39i03.0797. 原著ライセンス:CC BY.