著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Frontiers in Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

肝臓や胆のう、胆管からなる「肝胆道系」は、体の代謝のバランスを保つうえで重要な役割を担っています。この領域の病気には、お酒をあまり飲まない人にも起こる脂肪肝である非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や、胆のうなどに石ができる胆石症があります。これまでの研究では、野菜や果物、全粒穀物の多い食事は肝臓の状態がよいことと、精製された炭水化物や加工食品の多い西洋型の食事は脂肪肝や胆石と、それぞれ関連すると報告されてきました。

一方で、NAFLDと胆石症はしばしば同じ人に併発し、共通の代謝的な背景を持つと考えられているにもかかわらず、従来の研究の多くはどちらか一方だけを調べていました。そこで研究チームは、同じ集団の中で、普段の食事のパターンとNAFLD、胆石症、関連する血液検査値との関係をまとめて調べることを目的としました。

何をどう調べたか

研究は、2020年1月から2023年12月に高度医療を担う病院の外来で診察を受けた20〜70歳の成人の診療記録を、さかのぼって分析する「後ろ向き観察研究」として行われました。682人の記録を確認し、過度の飲酒やウイルス性肝炎などに当てはまる人を除いた結果、600人が分析対象となりました。

食事は、過去6か月間に何をどのくらいの頻度で食べたかを答える食物摂取頻度調査票で把握されました。著者らは食品を16のグループにまとめ、食べ方の傾向を統計的に抽出する主成分分析という手法を用いて、二つの食事パターンを見いだしました。果物、野菜、全粒穀物、豆類、魚介類、不飽和脂肪の多い「健康的パターン」と、精製穀物、赤身肉や加工肉、揚げ物、甘い菓子、砂糖入り飲料の多い「西洋型パターン」です。各参加者は、より強く当てはまる方のパターンに分類され、健康的パターンが285人、西洋型パターンが315人でした。

NAFLDと胆石症の有無は腹部超音波検査で判定されました。また、肝臓の細胞の傷みを示す酵素ALT、血糖、中性脂肪、コレステロール、体内の酸化ストレスの目安となるマロンジアルデヒド(MDA)などの血液検査値も比較されました。分析では、年齢、性別、BMI(体格指数)、腹囲、総摂取エネルギー量、運動不足といった要因の影響を段階的に取り除く計算が行われました。

主な結果

西洋型パターンの人たちは、健康的パターンの人たちに比べてBMIや腹囲が大きく、1日の摂取エネルギー量が多く、運動不足の人の割合も58.1%と、健康的パターンの21.8%より高くなっていました。NAFLDがあった人の割合は西洋型で28.9%、健康的パターンで12.3%、胆石症は西洋型で26.3%、健康的パターンで14.4%でした。

病気のなりやすさの目安となる「オッズ比」で見ると、何も調整しない段階では、西洋型パターンの人のNAFLDのオッズは健康的パターンの約2.9倍、胆石症では約2.1倍でした。年齢、性別、BMIを考慮してもこの関連は統計的に意味のある差として残りました。しかし、さらに腹囲、総摂取エネルギー量、運動不足を考慮すると、NAFLDでも胆石症でも関連は弱まり、統計的に意味のある差ではなくなりました。

血液検査では、西洋型パターンの人たちのALT、血糖、中性脂肪、総コレステロールが高く、善玉とされるHDLコレステロールは低い傾向が見られました。MDAは西洋型パターンで40%高く、酸化ストレスが強い状態であることがうかがえると著者らは述べています。

体格別の分析では、腹部肥満のある人たちの間で、西洋型パターンとNAFLDの関連がとくに強く現れ、食事パターンと腹部肥満の組み合わせの影響がNAFLDについて統計的に確認されました。胆石症ではこの組み合わせの影響ははっきりしませんでした。また、食事パターンを二つに分けずに連続的な点数として扱った追加の分析では、NAFLDとの関連は明確ではなかった一方、胆石症については、西洋型の点数が高いほどオッズが高く、健康的パターンの点数が高いほどオッズが低いという関連が統計的に見られました。

研究が示すこと

この研究では、西洋型の食事パターンを持つ人たちに、脂肪肝や胆石、好ましくない血液検査値が多く見られました。ただし、腹囲やエネルギー摂取量、運動不足を考慮すると、食事パターンとNAFLD・胆石症との関連は統計的に意味のある差ではなくなりました。著者らは、観察された関連の多くは、西洋型の食事と一緒に見られやすい肥満や生活習慣に関わる要因で説明される可能性があると解釈しています。

さらに、過去の記録を使った観察研究であるため、食事が病気の原因になったかどうかは判断できません。喫煙、糖尿病、服薬状況などの情報が含まれていないことも限界として挙げられています。食事、体型、生活習慣が互いに絡み合いながら肝臓や胆のうの状態と関わっていることを示しつつ、食事そのものの影響を見極めるには慎重な解釈が必要だという点が、この研究から伝わる要点です。

原著論文の著者・所属:Ziqing Yu(Department of Geriatrics, The First Affiliated Hospital of Sun Yat-Sen University)、Wen He(Department of Geriatrics, The First Affiliated Hospital of Sun Yat-Sen University)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ziqing Yu, Wen He. Dietary patterns and their relationship with hepatobiliary health in patients with nonalcoholic fatty liver disease and gallstone disease. Frontiers in Nutrition 2026-08-11. DOI: 10.3389/fnut.2026.1789238. 原著ライセンス:CC BY.