著者の所属・活動拠点の国は、イラクです。

掲載誌:Misan Journal of Agricultural and Environmental Sciences

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

捨てられてきたバナナの皮を飼料に使えるか

バナナは世界で最も多く生産・消費される果物の一つで、論文によると世界の年間生産量は1億1500万トンを超えます。皮は果実全体の重さの約30〜40%を占め、生産国では大量の廃棄物になっています。かつては経済的価値がないとみなされていましたが、近年はポリフェノールなどの抗酸化成分や、カルシウム・カリウムなどのミネラルを含む資源として注目されています。

一方、ほかの果物の廃棄物と比べると、バナナの皮を家禽の飼料に使う例はまだ多くありません。そこで著者は、量を変えたバナナの皮の粉末を産卵鶏の飼料に加え、産卵成績や卵の質、血液中の成分にどのような違いが出るかを調べました。

4つの飼料で産卵鶏を比較

実験は2023年10月から12月にかけて、イラク・バビロン県の採卵養鶏場で行われました。対象は80週齢の採卵用品種ISA Brownの雌鶏です。鶏を4つのグループに分け、各グループをさらに3つの小グループに分けて飼育しました。

グループごとの違いは飼料に加えるバナナの皮の粉末の量で、加えないグループ(対照)と、1%、2%、3%を加えるグループを設けました。56日間にわたり、産卵率、卵の重さ、卵殻や卵白・卵黄の重さの割合などを毎週記録しました。実験の終わりには血液を調べ、コレステロールや中性脂肪、肝臓の状態を示す酵素、体内の代表的な抗酸化物質であるグルタチオンの量を測りました。

3%添加で産卵成績が向上し、血中脂質が低下

論文によると、飼育した鶏の数に対して1日に産まれた卵の割合を示す産卵率は、2%と3%のグループでそれぞれ68.55%と67.10%となり、対照の64.65%を統計的に有意に上回りました。卵1個の平均重量は3%のグループが64.83グラムと最も重く、対照は61.23グラムでした。卵全体に占める卵殻の重さの割合も、3%のグループで6.46%と、対照の6.12%より高い値でした。卵殻の厚さには差がありませんでした。

卵の中身については、卵白や卵黄の高さにはグループ間の差が見られませんでした。一方で、卵全体に占める卵白と卵黄の重さの割合は、3%のグループで最も高かったと報告されています。

血液の分析では、バナナの皮を加えたすべてのグループで、鶏の血中コレステロールと中性脂肪が対照より有意に低くなりました。肝臓の状態を示す酵素(ALTとAST)にはグループ間で差がありませんでした。抗酸化物質のグルタチオンは、粉末を加えたすべてのグループで対照より増え、3%のグループが最も高い値を示しました。

著者は、こうした変化の背景として、バナナの皮に含まれるポリフェノールやフラボノイドなどの成分が抗酸化や脂質の代謝に働いた可能性を論じています。ただし、論文中で紹介されているほかの研究には、バナナの皮を加えても産卵率や卵の重さ、コレステロールに影響が見られなかったという報告もあり、結果は研究によって分かれています。

廃棄物を飼料資源として生かす手がかり

著者は、今回の実験条件では3%のバナナの皮の粉末を加えた飼料が産卵成績、鶏の血中脂質、抗酸化物質の量に好ましい変化をもたらしたとして、産卵鶏の飼料への3%添加を推奨しています。廃棄されがちなバナナの皮を、家禽の飼料原料として活用できる可能性を示した報告といえます。

原著論文の著者・所属:Saad Mohammed(Department of Animal Production, College of Agriculture, University of Al-Qasim Green, 51013, Iraq)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Saad Mohammed. Impact of banana shell powder on productive and physiological traits of laying hens. Misan Journal of Agricultural and Environmental Sciences 2026-09-30. DOI: 10.64333/mjae.26.3.1. 原著ライセンス:CC BY.