この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Jurnal Ilmiah PANNMED (Pharmacist Analyst Nurse Nutrition Midwivery Environment Dentist)

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

月経のときに起こる下腹部の痛みは「月経困難症」と呼ばれます。このうち、子宮や卵巣などに病気がないのに生じる痛みを「原発性月経困難症」といいます。著者らによれば、この痛みは思春期の女子に多くみられ、日常生活や学校での学習の妨げになることがあります。

著者らは、体格で示される栄養状態と、カルシウム・マグネシウム・鉄という三つのミネラルの摂取量が、この痛みの起こりやすさと関係していると考えられてきた点に着目しました。そこで本研究では、インドネシア・ボンドウォソ県にある公立高校の女子生徒を対象に、栄養状態と三つのミネラルの摂取量が原発性月経困難症の発生とどう関係しているかを分析することを目的としました。あわせて、対象者の栄養状態やミネラル摂取、月経痛の実態を把握することもねらいとしています。

調べ方

調査は2026年4月に行われ、10年生と11年生の女子生徒345人のうち86人が対象となりました。対象者は、学年ごとの人数に応じて無作為に選ばれています。参加の条件は15〜18歳で月経を経験していることとされ、特定の婦人科疾患の既往がある生徒や特別な食事療法を行っている生徒は除かれました。

調査は、ある一時点での状態をまとめて調べる「横断的」な方法です。栄養状態は身体計測から年齢別の体格指数(BMI)として算出し、ミネラル摂取量は連続しない2日間について前日に食べたものを聞き取る「24時間思い出し法」で把握しました。痛みの強さは、0から10の数字で痛みの程度を自己申告してもらう尺度(Numerical Rating Scale)で測っています。

統計解析では、二つの要因のあいだに関連があるかを調べるカイ二乗検定とフィッシャーの正確検定が用いられました。また、ある条件のもとで出来事が起こりやすくなる度合いを示す「オッズ比」もあわせて算出されています。

報告された主な結果

著者らの報告によれば、対象者の69.8%は栄養状態が正常でしたが、ミネラル摂取が不足している生徒が多く、カルシウム不足が90.7%、マグネシウム不足が83.7%、鉄不足が88.4%を占めました。月経痛については、66.3%が中等度から強い痛みを経験していました。

解析の結果、栄養状態(p=0.004、オッズ比5.86)、カルシウム摂取(p=0.016、オッズ比7.17)、鉄摂取(p=0.002、オッズ比10.47)は、いずれも原発性月経困難症の発生と統計的に意味のある関連を示したと報告されています。たとえば鉄の摂取が不足している生徒は、足りている生徒に比べて中等度から強い痛みを経験する見込みが10.47倍大きかった、と論文は述べています。一方、マグネシウム摂取については有意な関連はみられませんでした(p=0.76)。

著者らは、マグネシウムで関連が現れなかった理由について、対象者の83.7%が「不足」の区分に集中して摂取量のばらつきが小さかったこと、「十分」とされた生徒が14人と少なかったことを挙げています。また、体内のマグネシウムの約67%は骨に蓄えられており、食事から摂った量が必ずしも体内で利用できる量を反映しないこと、穀類や豆類に含まれるフィチン酸や、ほうれん草や茶などに含まれるシュウ酸が吸収を妨げうることにも触れています。なお、これらは関連がみられなかったことについての著者らの考察です。

この研究が示すこと

この調査は、一時点で集めたデータにもとづく関連の分析であり、栄養状態やミネラル摂取が痛みを引き起こすと直接証明したものではありません。それでも著者らは、栄養状態を正常に保ち、カルシウムと鉄の必要量を満たすことが、思春期の女子における原発性月経困難症の予防を考えるうえで重要だと結論づけています。

調査対象となった学校では、栄養状態が正常な生徒が多数を占める一方で、三つのミネラルはいずれも多くの生徒で不足していました。体格の数値だけでは見えにくい食事内容の課題があることを、この結果は示しています。

著者:Sylvia Angelina Dwi Widistyanand(Universitas Negeri Surabaya)、Lini Anisfatus Sholihah(Universitas Negeri Surabaya)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sylvia Angelina Dwi Widistyanand, Lini Anisfatus Sholihah. HUBUNGAN STATUS GIZI DAN ASUPAN MINERAL (KALSIUM, MAGNESIUM DAN ZAT BESI) DENGAN DISMENORE PRIMER. Jurnal Ilmiah PANNMED (Pharmacist Analyst Nurse Nutrition Midwivery Environment Dentist) 2026-08-31. DOI: 10.36911/pannmed.v21i2.2635. 原著ライセンス:CC BY.