著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Jurnal Riset Keperawatan dan Kesehatan

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

思春期の女子にとって、栄養状態は体の成長だけでなく、月経を含む生殖機能とも関わりうる大切な要素とされています。研究チームは論文の背景で、栄養不足や栄養過多があると、月経周期に関わるホルモンのバランスに理論上影響しうると説明しています。一方で、これまでの研究では栄養状態と月経周期の関係が集団によって異なる結果になっており、地域や学校ごとに実態を確かめる必要があるとしています。

そこで著者らは、高校SMA YAPIM MEREKに通う女子生徒を対象に、栄養状態と月経周期のあいだに関連があるかを分析しました。

何をどのように調べたか

研究は、ある一時点のデータを集めて変数どうしの関係を見る「横断研究」として2026年に行われました。基準を満たし、データがそろった女子生徒93人全員を対象としています。参加者の年齢は14〜19歳、平均は約16.3歳でした。

栄養状態は、体重と身長から計算する体格指数(BMI)をもとに判定しました。「非常にやせ」「やせ」「普通」「過体重」「肥満」の5区分に分けたうえで、分析では「普通」と「普通以外」の2群にまとめています。月経周期は、ある月経の初日から次の月経の初日までの間隔として定義し、質問票への回答から、研究で定めた基準に沿って「正常」と「正常でない」に分類しました。

両者の関係は、集計表の一部の区分で見込まれる人数が少なく、一般的なカイ二乗検定の前提を満たさなかったため、そうした場合にも使える統計手法(フィッシャーの正確検定)で調べました。関連の強さは、2つの分類のあいだの結びつきの度合いを示す指標である分割表係数(コンティンジェンシー係数)で評価しています。

主な結果

栄養状態が「普通」だった生徒は71人(76.3%)で、「普通以外」は22人(23.7%)でした。「普通以外」の内訳は、やせが10人、肥満が8人、過体重が3人、非常にやせが1人です。

月経周期については、76人(81.7%)が「正常でない」に分類され、「正常」は17人(18.3%)にとどまりました。

栄養状態別に見ると、「普通」の群では83.1%、「普通以外」の群では77.3%が「正常でない」月経周期に該当し、どちらの群でも月経周期が正常でない生徒が多数を占めていました。統計的な検定の結果、p値は0.539で、論文は栄養状態と月経周期のあいだに統計的に意味のある関連は認められなかったと報告しています。関連の強さを示す分割表係数も0.064で、著者らは「非常に弱い」関係と評価しました。

この研究が示すこと

今回の対象者では、BMIで見た栄養状態と月経周期が正常かどうかとのあいだに有意な関連は見られなかった、というのが研究チームの結論です。著者らは、月経周期は多くの要因が関わるものであり、心理的ストレス、運動量、睡眠、食習慣、初経の年齢、ホルモンの状態など、この研究では分析していない要因が影響している可能性を挙げています。

また論文は、参加者の多くが「普通」の栄養状態に集中していたため群間の差が限られ、関連が見えにくかった可能性にも触れています。一つの学校の女子生徒を対象とした結果ではありますが、月経周期が正常でない生徒が栄養状態の違いにかかわらず多く見られたことは、思春期の月経の状態を栄養以外の面も含めて捉える必要性を示すものといえます。

原著論文の著者・所属:Delfriana Ayu Astuty(Fakultas Kesehatan Masyarakat, Universitas Islam Negeri Sumatera Utara, Medan, Indonesia)、Aginta Nur Amelia Sipahutar(Fakultas Kesehatan Masyarakat, Universitas Islam Negeri Sumatera Utara, Medan, Indonesia)、Sarah Haq Azzahrah(Fakultas Kesehatan Masyarakat, Universitas Islam Negeri Sumatera Utara, Medan, Indonesia)、Fadilah Annisa(Fakultas Kesehatan Masyarakat, Universitas Islam Negeri Sumatera Utara, Medan, Indonesia)、Fitria Revalina(Fakultas Kesehatan Masyarakat, Universitas Islam Negeri Sumatera Utara, Medan, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Delfriana Ayu Astuty, Aginta Nur Amelia Sipahutar, Sarah Haq Azzahrah, et al. Status Gizi dan Siklus Menstruasi Pada Remaja Putri. Jurnal Riset Keperawatan dan Kesehatan 2026-10-31. DOI: 10.71203/jrkk.v3i5.237. 原著ライセンス:CC BY.