この研究は、ナイジェリアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Asian Food Science Journal
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
何を目的とした研究か
西アフリカなどで見られるマメ科植物、馬目豆(Mucuna urens、英名ホースアイビーン)は、一般にはあまり食用として広まっていない豆です。この豆を食品素材として活かせるかどうかを見極めるには、調理や加工の前に行う下処理が、含まれる栄養成分にどう影響するかを知る必要があります。
研究チームは、馬目豆を粉にしたものについて、生のまま、焙煎(炒る)、煮沸(茹でる)、浸漬(水に漬ける)という四通りの下処理を行い、それぞれの成分を比べました。目的は、この豆の栄養面・機能面での可能性を評価することです。
調べた内容と主な結果
調べられたのは、一般成分(タンパク質、脂質、灰分、食物繊維、炭水化物)、ミネラル、アミノ酸、脂肪酸の組成、そして粉としての機能的な性質です。ここでいう灰分とは、試料を燃やした後に残る無機質の量で、ミネラル全体のおおよその指標になります。著者らによれば、測定したすべての項目で下処理による統計的に意味のある差(p < 0.05)が認められました。
一般成分では、焙煎した粉がタンパク質28.46%、脂質10.44%、灰分4.37%といずれも最も高い値を示しました。一方、生の粉は食物繊維5.49%、炭水化物50.88%が最高でした。ミネラルでは焙煎した粉がリン73.62 mg/100 g、マグネシウム48.65 mg/100 g、鉄16.66 mg/100 gで最も高く、カルシウムについては浸漬した粉が36.52 mg/100 gで最高でした。
アミノ酸では、焙煎した粉がリシン6.44 g/100 g、イソロイシン4.73 g/100 g、バリン4.89 g/100 g、アスパラギン酸10.25 g/100 g、グルタミン酸14.45 g/100 gで最も高く、ロイシンについては浸漬した粉が7.92 g/100 gで最高でした。脂肪酸についても、パルミチン酸12.68%、ステアリン酸7.75%、オレイン酸22.78%、リノール酸46.78%、リノレン酸6.99%と、焙煎した粉がいずれも最も高い値を示したと報告されています。
これに対して煮沸は、すべての項目で最も大きな栄養素の損失を招きました。著者らはその理由として、成分が茹で汁に溶け出すこと(浸出)と、熱による分解を挙げています。また粉としての性質では、生の粉が水の吸収量6.95 g/g、油の吸収量6.89 g/gで最も高く、焙煎した粉は泡立ちやすさ(起泡性)13.85%が最も高くなりました。
この研究が示すこと
著者らは、タンパク質・ミネラル・アミノ酸・脂肪酸を保つうえで最も効果的な下処理は焙煎であると結論づけています。そのうえで、焙煎した馬目豆粉は栄養価の高い食品への利用に、生の粉は水や油を結びつける用途に適していると述べています。
下処理の選び方ひとつで、同じ豆から得られる粉の栄養組成も扱いやすさも変わる——この研究は、あまり利用されてこなかった豆を食品素材として位置づけるための、基礎的な手がかりを示したものといえます。
著者:T. K. Adebayo(Department of Food Science and Technology, School of Applied Sciences, Federal Polytechnic, Offa, Kwara State, Nigeria)、F. M. Oladipo(Department of Food Science and Technology, School of Agriculture and Agricultural Technology, Federal University of Technology Minna, Niger State, Nigeria)、K. A. Jimoh(Department of Food Science and Technology, School of Applied Sciences, Federal Polytechnic, Offa, Kwara State, Nigeria)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):T. K. Adebayo, F. M. Oladipo, K. A. Jimoh. Comparative Evaluation of Selected Nutritional, Amino Acid, and Fatty Acid Profiles of Horse Eye Bean (Mucuna urens) Flour under Varied Pre-Treatment Methods. Asian Food Science Journal 2026-09-26. DOI: 10.9734/afsj/2026/v25i10924. 原著ライセンス:CC BY.