著者の所属・活動拠点の国は、ルーマニアです。

掲載誌:Beverages

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

乳糖不耐症や牛乳たんぱく質へのアレルギーへの配慮、菜食志向の広がりを背景に、牛乳の代わりとなる植物性飲料の開発が進んでいます。著者らは、ゴマを原料とする飲料は研究例がまだ少ないことに注目し、白ゴマの種子から植物性飲料をつくる工程について新たな知見を得ることを目指しました。

研究チームが特に調べたのは、種子を熱湯で加熱する「湯通し(ブランチング)」の時間が、生のゴマと焙煎したゴマそれぞれからつくった飲料の品質にどう影響するかです。飲料はカフェやバーなど飲食店での利用を想定しており、あわせてオンラインのアンケートで消費者側の関心も探りました。

どのように調べたか

原料には皮をむいた白ゴマを使い、そのまま使う「生」と、145℃で20分焙煎したものの2種類を用意しました。どちらも水に浸してから、90〜95℃で10分、20分、30分の3通りの時間で湯通しし、水を加えて粉砕・ろ過したのち、85℃で15分殺菌しました。こうしてできた計6種類の飲料を瓶に詰め、4℃で30日間保存しました。

論文は、脂質やたんぱく質などの成分、エネルギー量、保存中の酸性度(pH)の変化、液体が上下の層に分かれる度合い、植物由来の成分であるポリフェノール類やフラボノイド類の量、試験管内で測る抗酸化活性の指標、そして色合いを測定したと報告しています。安定剤などの添加物は使っていません。

主な結果

飲料は水分が94〜95%を占め、脂質は100gあたり3.3〜3.7g、たんぱく質は0.7〜1.0g、エネルギーは100mLあたり35〜40kcalでした。著者らは、このエネルギー量はほかの植物性飲料、とくに豆乳に近い水準だとしています。たんぱく質は焙煎したゴマより生のゴマからつくった飲料で多く、湯通し時間が長いほど多くなる傾向が見られました。

ポリフェノール類の量は湯通し時間が長くなるほど、また焙煎したゴマを使うほど増え、乾燥重量1gあたり約30mg(生・10分)から約59mg(焙煎・30分)の範囲でした。フラボノイド類も湯通し時間とともに増える傾向を示しました。抗酸化活性の指標はおおむね33〜79%の範囲で、これらの成分量と正の相関がありました。研究チームは、湯通しで細胞組織がやわらかくなり、成分が水に溶け出しやすくなったことなどを理由として挙げています。

保存中のpHはわずかに下がっただけで、30日後もおよそ6.5〜6.7でした。著者らは、安定剤を加えなくてもすべての飲料が良好な保存安定性を示し、湯通しが安定性に良い影響を与えたと報告しています。色については、生のゴマの飲料は白っぽく、焙煎したゴマの飲料は褐色や黄色みが強くなりました。

アンケートには50人が回答し、66%がゴマ飲料を知っていると答えました。一方、ゴマ飲料を知ったきっかけとして飲食店を挙げた人は22%にとどまりました。植物性飲料を選ぶ理由では「より健康的だと感じる」が40%で最も多くなりました。ただし回答者は18〜25歳が半数以上を占め、著者ら自身もこの調査は予備的なもので、結果を広く一般化するには限りがあるとしています。

研究が示すこと

この研究は、白ゴマの焙煎の有無と湯通し時間という工程上の選択によって、飲料の成分や色合い、保存中の安定性が変わることを示しました。とくに湯通しの時間が、飲料の安定性や植物由来成分の量を左右する重要な工程であることが、論文の中心的な報告となっています。

原著論文の著者・所属:Oana-Viorela Nistor(Faculty of Food Science and Engineering, “Dunarea de Jos” University of Galati, 111 Domneasca Street, 800201 Galati, Romania)、Doina-Georgeta Andronoiu(Faculty of Food Science and Engineering, “Dunarea de Jos” University of Galati, 111 Domneasca Street, 800201 Galati, Romania)、Silviu Măntăilă(Faculty of Food Science and Engineering, “Dunarea de Jos” University of Galati, 111 Domneasca Street, 800201 Galati, Romania)、Nicoleta Balan(Faculty of Food Science and Engineering, “Dunarea de Jos” University of Galati, 111 Domneasca Street, 800201 Galati, Romania)、Ioana-Otilia Ghinea(Faculty of Sciences and Environment, “Dunarea de Jos” University of Galati, 111 Domneasca Street, 800201 Galati, Romania)、Gabriel-Dănuț Mocanu(Faculty of Food Science and Engineering, “Dunarea de Jos” University of Galati, 111 Domneasca Street, 800201 Galati, Romania)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Oana-Viorela Nistor, Doina-Georgeta Andronoiu, Silviu Măntăilă, et al. Application of White Sesame (Sesamum indicum L.) Seeds in Plant-Based Beverage Production. Beverages 2026-08-14. DOI: 10.3390/beverages12080095. 原著ライセンス:CC BY.