著者の所属・活動拠点の国は、スウェーデン、ナイジェリア、イギリスです。

掲載誌:Frontiers in Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

アフリカでは食生活の変化に伴い、調理の手間がかからない包装食品の消費が広がっています。ナイジェリアも例外ではありません。こうした食品の多くは、脂肪、糖類、塩分(ナトリウム)が多いことが懸念されています。食事に関連する病気が増えるなか、市販の包装食品が実際にどのような栄養特性を持っているかを把握することが、政策づくりの土台になります。

ナイジェリアでは2022年に、主要な栄養成分の表示が任意から義務へと移行しました。しかし、表示が実際にどの程度行われているか、また含まれる栄養素が推奨される基準をどの程度上回っているかについては、これまでの国内研究では対象の製品や栄養素が限られていました。研究チームは、ナイジェリアの食環境を調べるNigeFE研究の一環として、包装食品の栄養の質をより包括的に評価することを目指しました。

何を調べたか

栄養学と食品表示の専門知識を持つ調査員が、エボニ州、オグン州、デルタ州など9州の主要都市のスーパーマーケットや小売店で、複数の地域で広く流通している包装食品を選びました。こうして集めた883品目について、パッケージ裏面の栄養表示を記録し、全面の写真を使って入力内容を確認しました。同じ製品で容量だけが異なるものは重複として除外しています。

製品は、食品分類の国際的な調査手順に沿って、菓子類、パン・焼き菓子、穀類製品、乳製品、食用油、清涼飲料、酒類などに分けられました。ナイジェリアの食生活ではヤム芋粉やキャッサバ製品が重要なため、「加工いも製品」という区分も追加されています。

分析では、各栄養素がどれだけの製品で表示されているかを集計しました。さらに、100gまたは100mlあたりの含有量を比べています。基準との比較には、世界保健機関(WHO)のアフリカ地域向け「栄養プロファイルモデル」を用いました。これは食品の栄養成分から健康上の好ましさを判定する仕組みで、子ども向けの不健康な食品の宣伝を制限するための基準値を食品群ごとに定めています。研究チームは、この基準値を超える製品の割合を調べました。

主な結果

表示の状況は、食品群と栄養素の種類によって大きく異なりました。ソース・スプレッド類、肉製品、酒類を除く多くの食品群では、エネルギー、脂質、たんぱく質、炭水化物は大半の製品で表示されていました。一方、酒類でエネルギーを表示していた製品は7.8%にとどまりました。コレステロールや脂肪の内訳(トランス脂肪など)の表示は少なく、添加糖類は全ての食品群で9割を超える製品が表示していませんでした。

含有量をみると、食用油が脂質と各種脂肪酸で最も多くなりました。スナック菓子はエネルギーとナトリウムが高い傾向でした。炭水化物と糖類はパン・焼き菓子やスナック菓子で多く、糖類が最も多かったのは菓子類でした。加工魚製品は、たんぱく質とコレステロールが比較的多い食品群でした。ただし、同じ食品群の中でも製品ごとのばらつきが大きく、平均値と中央値が大きく異なる場合もありました。たとえばスナック菓子のナトリウムは、一部の極端に高い製品が平均値を押し上げていました。

WHOの基準との比較では、多くの食品群で基準を超える製品が大半を占めました。少なくとも一つの栄養素で基準を超えた割合は、スナック菓子と肉製品で100%でした。パン・焼き菓子では92.9%、乳製品は92.8%、菓子類は87.8%、果物・野菜製品は84.7%でした。ナトリウムについては、加工魚、スナック菓子、パン・焼き菓子、食用油、肉製品で9割以上の製品が基準を超えていました。糖類の基準も、清涼飲料、乳製品、菓子類、パン・焼き菓子の8割以上で超えていました。なお、酒類、加工いも製品などは、基準が設定されていないか、必要な栄養素が表示されていなかったため、この評価の対象外となりました。

研究が示すこと

著者らは、ナイジェリアで広く流通する包装食品の多くが、脂質、糖類、ナトリウム、エネルギーについて推奨基準を上回っていると報告しています。また、栄養表示には大きな抜けがあると指摘しています。そのうえで、表示義務の徹底、有害な栄養素の国内上限の設定、製品の配合見直しの目標づくりなどの規制強化が必要だと述べています。

この研究は表示された情報だけに基づいており、化学分析で実際の含有量を確かめたものではありません。また、含有量がゼロのために表示されなかった栄養素と、単に記載がなかった栄養素は区別できていません。こうした限界はあるものの、複数の州で流通する多数の包装食品を同じ基準で比べた結果は、ナイジェリアの食環境の現状を示す手がかりとなります。

原著論文の著者・所属:Gideon Onyedikachi Iheme(Department of Food Studies, Nutrition and Dietetics, Uppsala University; Department of Human Nutrition and Dietetics, Michael Okpara University of Agriculture)、Barbara Adimchinobi Onyeonu(Department of Nutrition and Dietetics, Federal University of Agriculture, Mubi, Nigeria)、Favour Chiamaka Kalu(Department of Human Nutrition and Dietetics, Michael Okpara University of Agriculture)、Uju Maryanne Onuorah(Department of Nutrition and Dietetics, University of Nigeria Nsukka; Department of Pharmacy and Health and Nutrition Sciences, University of Calabria)、Favour Chinonyerem Ogu(Department of Human Nutrition and Dietetics, Michael Okpara University of Agriculture)、Chinwe Adaugo Uzokwe(Nutritional Epidemiology Group, School of Food Science and Nutrition, University of Leeds)、Chinyere Ikejiofor(Nutrition Unit, National Agency for Food and Drug Administration and Control)、Folake Olukemi Samuel(Department of Nutrition and Dietetics, University of Ibadan)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Gideon Onyedikachi Iheme, Barbara Adimchinobi Onyeonu, Favour Chiamaka Kalu, et al. Nutritional quality of pre-packaged foods in Nigeria: findings from the NigeFE study. Frontiers in Nutrition 2026-08-13. DOI: 10.3389/fnut.2026.1873374. 原著ライセンス:CC BY.