著者の所属・活動拠点の国は、ナイジェリアです。

掲載誌:Journal of Food and Nutrition Sciences

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的:手間のかかる伝統料理を手軽に

モイモイは、ササゲ(英語でカウピー。ブラックアイドピーとも呼ばれる豆)をすりつぶしたペーストに調味料などを加えて蒸し上げる、ナイジェリアの伝統的な豆のプディングです。日常の食事や軽食として食べられるほか、結婚式や祭りの席、屋台でも親しまれています。

ただし伝統的な作り方では、豆を水に浸し、皮をむき、すりつぶし、葉や袋に包んで蒸すという長く手間のかかる工程が必要です。著者らは、あらかじめ粉にしておき、水で溶いて蒸すだけの「インスタント・モイモイ粉」ができれば、調理時間を大きく短縮できると考えました。一方で、原料とする品種が違うと、出来上がりの性質や味に差が出る懸念もあります。そこで研究チームは、ナイジェリアで開発された4品種(Sampea 6、Sampea 9、Sampea 51、Tchad)からそれぞれインスタント粉を作って性質を比べ、商品化に向く品種を探ることを目的としました。

何を調べたか

各品種の豆を選別・洗浄したあと12時間水に浸し、手で皮をこすり落とし、太陽熱乾燥機を使って60℃で乾燥させてから製粉し、ふるいにかけて粉にしました。伝統的なモイモイに最もよく使われるSampea 6を比較の基準としています。

この粉に、タマネギ粉、クレイフィッシュ(小型の甲殻類)の粉、唐辛子粉、塩、固形スープの素、パーム油などの材料を加えて水で溶き、密閉できる調理用の袋に入れて30分間蒸してモイモイを作りました。

調べた項目は大きく三つです。第一に、蒸し上げたモイモイの水分、灰分(ミネラル分の目安)、粗繊維、脂質、たんぱく質、炭水化物といった基本的な成分。第二に、粉が水や油をどれだけ吸うか、泡立ちやすさ、油と水が混ざった状態を保つ力(乳化性)、かさ密度、膨らみやすさといった、調理や加工のしやすさに関わる性質。第三に、学科の教職員・学生20人からなる、ある程度訓練を受けた評価者による試食で、見た目、風味、味、食感、口当たり、総合的な好ましさを9段階で採点しました。

主な結果

成分では品種間に統計的に意味のある差がみられました。蒸し上げたモイモイの水分は54.40〜58.34%、灰分は1.38〜1.61%の範囲でした。たんぱく質はSampea 9が最も高く15.39%でした。炭水化物は全体に低めで、特にSampea 6(17.69%)とSampea 9(17.68%)で低い値でした。

粉の加工特性も品種によって差がありました。泡立ちやすさと膨らみやすさはSampea 6が最も高く、油を吸う力はSampea 51が最も高く、乳化性はTchadが55%で最も高い値を示したと報告されています。

試食評価では、どの品種のモイモイも各項目でおおむね7.45〜8.40点と、すべて平均を上回る評価でした。論文の表では、各評価項目について品種間で統計的に意味のある差は示されていません。要旨ではSampea 6が総合的に最も好まれたとされる一方、結論部分では、たんぱく質の多さや水を保持する力、試食評価の高さからSampea 9を優れたインスタント粉と位置づけており、論文内で記述に揺れがあります。

この研究が示すこと

著者らは、調べた4品種はいずれもインスタント・モイモイ粉の原料として使える性質をもち、それぞれに異なる長所があると結論づけています。たんぱく質の多さを重視するのか、泡立ちや膨らみ、乳化のしやすさを重視するのかによって、向く品種が変わりうるということです。

この研究は、身近な伝統料理を手軽に作れる形にする際、原料となる豆の品種選びの手がかりとなる情報を、家庭での調理と商業的な加工の双方に向けて示したものといえます。

原著論文の著者・所属:Ojali Usman(Department of Food, Nutrition and Home Sciences, Prince Abubakar Audu University, Anyigba, Nigeria)、Ibrahim Gideon(Department of Food Science and Technology, Taraba State Polytechnic, Jalingo, Nigeria)、Jabiru Alilu(Department of Food, Nutrition and Home Sciences, Prince Abubakar Audu University, Anyigba, Nigeria)、Memunat Idris(Department of Food, Nutrition and Home Sciences, Prince Abubakar Audu University, Anyigba, Nigeria)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ojali Usman, Ibrahim Gideon, Jabiru Alilu, et al. Proximate, Functional, and Sensory Characterization of Instant Moi-moi Flours Produced from Cowpea ( Vigna unguiculata ) Varieties of Nigerian Origin. Journal of Food and Nutrition Sciences 2026-08-06. DOI: 10.11648/j.jfns.20261404.13. 原著ライセンス:CC BY.