「しょうがの皮、むいていませんか」。もしそうなら、実はいちばん香り高い部分を捨ててしまっているかもしれません。8月の高知は、初夏に始まった新しょうがの収穫がひと段落し、みずみずしい薄皮のものから少し貫禄のついたものまでが並ぶ、まさに旬のただ中にあります。高知県で育つしょうが 根茎 皮なし 生は、薬味としてだけでなく、この時季の食卓を引き締める名脇役です。
しょうがの魅力は、香り成分のジンゲロールと辛み成分のショウガオールにあります。この2つは皮のすぐ下に集中しているため、皮はむかず、そのまま調理するのがおいしく食べる基本です。皮をこそげ落とさないことが、香りを丸ごと生かすいちばんの近道になります。新しょうがの薄い皮ならなおさら、たわしで軽くこするだけで下ごしらえは十分です。皮ごと刻んで薬味にすれば、あの爽やかな香りをまるごと楽しめます。
なお成分表にはご当地名の「土佐しょうが」としての個別収録はないため、ここでは一般的なしょうがの値で見ています。100gあたりのエネルギーは28kcalと軽やかで、たんぱく質0.9g(女性30〜49歳の推奨量50g/日の2%)、脂質0.3g、炭水化物6.6g、食物繊維総量は2.1gを含みます。さらに、りんごやぶどう(ワイン)などの果実に多い酸味成分として知られるリンゴ酸を0.1g含み、同じ有機酸の仲間であるクエン酸(0.1g)と並んで、しょうがの奥に潜む酸味の輪郭を作っています。爽やかな香りの裏に、果実にも通じる酸味の顔があるというのは、少し意外な発見ではないでしょうか。
そしてもう一つ面白いのが、ジンゲロールは加熱や乾燥によってショウガオールへと変化するという性質です。つまり同じしょうがでも、生のまま使うか、火を通すかで、香りと辛みのバランスが大きく変わってきます。新しょうがの走りの時期は薄切りにして甘酢に漬けたり、刻んで冷奴や素麺の薬味にしたりと、生食でジンゲロールの爽やかな香りを立たせる楽しみ方が向いています。一方で、味噌汁や煮物、炒め物に加えれば、加熱でじんわりと辛みが増し、味わいに満足感が生まれます。1かけの目安は約20gほど。皮ごとすりおろして冷たい麺のつゆに落とせば、香りと辛みの両方をひとかけで味わい尽くせます。
保存も皮ごとが基本
使いきれない分はキッチンペーパーで包みポリ袋に入れて冷蔵・冷凍が定番です。冷凍なら約1カ月、冷蔵なら約2週間、丸ごとであれば常温でも5日ほどもちます。薄切りにして2日ほど天日に干せば香りが凝縮した乾燥しょうがになり、砂糖漬けにして楽しむ方法もあります。どの保存法でも皮を残したまま扱うのが、香りを逃さないコツです。
まとめ
土佐しょうがのおいしさの本体は、実は皮のすぐ下にありました。むいてしまえば、ジンゲロールとショウガオールが宿る香りの層まで一緒に流してしまうことになります。次に土佐しょうがを手に取ったら、皮を洗い流すだけでそのまま使ってみてください。生か加熱かで表情を変えるこの根菜が、8月の食卓にひとさじの発見を運んでくれるはずです。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準