5月の青空の下、魚屋の店頭に「初がつお」の文字が並ぶ季節がやってきました。「目には青葉、山ほととぎす、初がつお」と詠まれたように、この時期のかつおは日本人にとって特別な存在です。実はこの初がつお、大人だけでなく成長期の子どもにとっても、脳・骨・体づくりを支える心強い味方として注目されています。今回は、家族みんなで食卓に取り入れたい初がつおの栄養的な魅力をデータとともにひも解きます。

この時期に注目したい栄養素

子どもの成長において特に重視されるのが、たんぱく質・鉄・ビタミンD・DHA(ドコサヘキサエン酸)の4つです。

たんぱく質は骨や筋肉の材料となるだけでなく、脳内の神経伝達物質の原料にもなります。最新の「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」によれば、学童期(6〜11歳)のたんぱく質推奨量は1日あたり男女ともに30g台後半〜50g台とされており、魚から良質なたんぱく質を補うことは理にかなった選択です(詳細は厚生労働省の最新資料をご確認ください)。

鉄は、血液中の赤血球がつくられるために欠かせないミネラルで、不足すると集中力や学習意欲の低下につながるとされています。また、DHA(オメガ3系脂肪酸)は脳や目の網膜に多く含まれる成分で、子どもの認知発達への関与が研究されています。

おすすめ食品とその数値データ

今月の主役は、旬の「初がつお」です。初がつおは春に黒潮に乗って北上する若いかつおで、さっぱりとした味わいが特徴です。成分表での区分ではかつお(秋獲り)と区別されますが、かつお類のたんぱく質・鉄の豊富さはシーズンを問わず共通した強みです。

データベースに収録されているかつお(秋獲り)生(100gあたり)の数値をご覧ください。

  • エネルギー:150 kcal
  • たんぱく質:25.0 g
  • 脂質:6.2 g
  • 鉄:1.9 mg

たんぱく質25.0 g(100gあたり)という数値は、肉類に匹敵する高さです。鉄も1.9 mg(100gあたり)と赤身魚ならではの含有量で、非ヘム鉄(植物性)より吸収されやすいヘム鉄として摂取できる点も見逃せません。秋獲りのかつおは脂がのっていますが、初がつおは脂質が控えめでさっぱりしているのが特徴です。

比較として、同じかつお類のそうだがつお(生)も注目です。たんぱく質25.7 g、鉄2.6 mg(いずれも100gあたり)と非常に優秀な数値を示しており、そうだがつおかつお節の原料にもなる、日本人に身近な魚です。鉄の多さは特筆もので、成長期の子どもに積極的に取り入れたい食材といえます。

また、かつお類にはDHAやEPA(エイコサペンタエン酸)といったオメガ3系脂肪酸が含まれています。文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)脂肪酸成分表編」では、かつおの脂肪酸組成としてDHAが収録されており、その存在が確認されています(出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)脂肪酸成分表編」)。DHAは脳の神経細胞膜の構成成分として知られており、子どもの脳発達を支える可能性が研究されています。

毎日の食事への取り入れ方

初がつおを子どもにおいしく食べてもらうには、いくつかのコツがあります。

  • たたきにして薬味たっぷりでわけぎ生姜ごまと合わせたかつおのたたきは、鉄・たんぱく質を手軽に摂れる定番メニューです。酢橘レモンを絞ると、ビタミンCが鉄の吸収を助けてくれる相乗効果も期待できます。
  • みそ汁やアラ汁に:だし用のかつお節を使うのではなく、生のかつおを切り身にして汁物に入れると、たんぱく質と鉄をまるごと摂取できます。味噌との相性も抜群です。
  • 手巻き寿司で子どもと楽しく:5月の連休や休日に、手巻き寿司の具材としてかつおを並べると、子どもが自分で選んで食べる楽しさも生まれます。アボカドと合わせるとDHAと一緒に良質な脂質も補えます。
  • 週に2〜3回を目安に:魚料理が苦手な子には、最初はかつおの竜田揚げなど揚げ物アレンジから始めてみましょう。油で揚げることでカリッとした食感になり、魚の青臭さも和らぎます。

まとめ

5月に旬を迎える初がつおは、豊富なたんぱく質・鉄・DHAを兼ね備えた、子どもの成長・骨形成・脳の働きを多角的にサポートしてくれる頼もしい食材です。旬の食材を家族の食卓に取り入れることは、季節を体で感じる食育にもなります。この5月、初がつおを囲む食卓で、子どもの体と心をしっかり後押ししてあげましょう。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。