著者の所属・活動拠点の国は、ナイジェリアです。
掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
異なる植物から作った粉を混ぜ合わせたものを「複合粉」と呼びます。穀物、豆類、イモ類、果実などの粉を組み合わせることで、食品の栄養面や加工上の性質を高め、地域で手に入りやすい作物の活用にもつながると考えられています。
ナイジェリアの研究チームは、複合粉の原料候補として、トウモロコシ、キマメ(熱帯地域で食べられている豆の一種)、料理用バナナの3種類の粉に注目しました。トウモロコシは主に炭水化物の供給源となる主要穀物です。キマメはたんぱく質を多く含む一方、十分に活用されていない豆類とされています。料理用バナナは、特に未熟な青いうちに粉にするとでんぷんや食物繊維を多く含むことが知られています。
一方で、加工前の粉には、フィチン酸、タンニン、ヘマグルチニン(赤血球を凝集させる性質をもつたんぱく質の一種)といった「抗栄養因子」が含まれることがあります。抗栄養因子は、栄養素の吸収や利用を妨げるおそれのある成分です。著者らは、複合粉に使う前に栄養成分と抗栄養因子の両方を把握しておく必要があると考え、原料選びの基礎となる情報を得るためにこの研究を行いました。
何を調べたか
原料は、ナイジェリア・アニイグバの市場で購入しました。トウモロコシは水を吹きかけてから外皮を除き、粉砕してふるいにかけました。キマメは蒸してから皮をむき、乾燥・粉砕しました。料理用バナナは皮をむいて薄切りにし、湯通し(ブランチング)してから乾燥・粉砕しました。
研究チームはこれらの粉について、水分、たんぱく質、脂質、繊維、灰分(燃やした後に残る部分で、ミネラル量の目安)、炭水化物の割合を測定しました。こうした基本的な成分の分析は「一般成分分析」と呼ばれます。あわせて、フィチン酸、タンニン、ヘマグルチニンの含有量も測りました。測定は各試料3回ずつ行い、試料の間の差が統計的に意味のあるものかどうかを検討しています。
主な結果
論文によると、3種類の粉の成分には統計的に有意な差が見られました。たんぱく質はキマメ粉が7.45%で最も多く、料理用バナナ粉が7.05%、トウモロコシ粉が6.45%でした。灰分もキマメ粉が2.74%で最も高く、料理用バナナ粉は2.35%で最も低い値でした。
炭水化物はトウモロコシ粉が80.82%で最も多く、キマメ粉が78.72%、料理用バナナ粉が77.57%と続きました。料理用バナナ粉は脂質(4.12%)と繊維(2.24%)が3種類の中で最も多くなりました。水分は5.75〜7.23%で、いずれも10%未満でした。著者らは、この程度の低い水分であれば粉の保存に適していると述べています。
抗栄養因子については、フィチン酸が100グラムあたり2.23〜2.35ミリグラムで、トウモロコシ粉が最も低く、料理用バナナ粉が最も高い値でした。タンニンは100グラムあたり2.37〜2.69ミリグラム、ヘマグルチニンは0.74〜0.84 Hiu/mgで、どちらもキマメ粉が最も高い値を示しました。研究チームは、いずれの抗栄養因子も含有量は低く、許容範囲内にあると評価しています。また、浸漬、発酵、加熱といった一般的な調理・加工によって、さらに減らせると考えられるとしています。
研究から分かること
この研究は、3種類の粉がそれぞれ異なる栄養上の特徴をもち、互いに補い合える可能性を示しました。著者らによると、トウモロコシ粉は主なエネルギー源、キマメ粉はたんぱく質とミネラルの補強役、料理用バナナ粉は繊維を補う役割を担えると考えられます。研究チームは、これらを組み合わせることで栄養バランスの改善された複合食品の開発につながると結論づけており、地域の作物を原料として選ぶ際の基礎データになるとしています。
原著論文の著者・所属:Agada Thankgod(Department of Food, Nutrition and Home Sciences, Faculty of Agriculture, Prince Abubakar Audu University, Anyigba, Nigeria.)、Oloniyo Rebecca Olajumoke(Department of Food, Nutrition and Home Sciences, Faculty of Agriculture, Prince Abubakar Audu University, Anyigba, Nigeria.)、Ugwuona Fabian Uchenna
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Agada Thankgod, Oloniyo Rebecca Olajumoke, Ugwuona Fabian Uchenna. Proximate Composition And Anti-Nutritional Properties Of Maize, Pigeon Pea, And Cooking Banana Flours For Composite Food Formulations. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-08-21. DOI: 10.5281/zenodo.22042288. 原著ライセンス:CC BY.