さやの表面に茶色いうぶ毛をまとい、ゆでるととうもろこしにも似た香りが立ちます。山形県鶴岡市特産の えだまめ 生 のブランド品種、だだちゃ豆の個性は、まずその香りと濃厚な甘みにあります。えだまめ全体は東京都中央卸売市場の令和6年データで6〜9月に出回り8月がピークとされますが、だだちゃ豆の旬はもう少し遅く、8月中旬から9月上旬にあたります。つまり7月末の今はまだ本格シーズンの手前、これから香りと甘みが増していく「走り」の時季です。店先に並び始めたひとさやを見つけたら、盛りを待たずに味わってみたくなる頃合いです。
成分表にだだちゃ豆は個別に収録されていないため、ここでは一般的な「えだまめ 生」の値で見ていきます。100gあたりで際立つのが葉酸で、320µg。これは女性30〜49歳の推奨量240µg/日の133%にあたります(詳しくは日本人の食事摂取基準を参照)。葉酸は核酸の生合成に関わり、赤血球の形成や胎児の発育にも関わるとされる栄養素です。なおこの割合は推奨量に対するもので、通常の食事から摂る葉酸は耐容上限量(サプリメントなど食品以外の形態が対象)の心配はほとんどありません。さやつき10さやで約30gという目安量なら、可食部は約16g、葉酸は約53µg摂れる計算です(廃棄率45%換算)。たんぱく質も11.7gと、野菜としては珍しく豊富で(女性30〜49歳の推奨量50g/日の23%)、食物繊維5g、エネルギー125kcalと、枝豆はおつまみの一皿ながら栄養の下支えもしっかりしています。
買ってきたら、まず食べるタイミングを考えたいところです。えだまめは生のまま冷蔵すると甘みとうま味が落ちやすいので、保存の基本は「買ったらすぐゆでて水けをふき冷凍」。冷凍なら1カ月、冷蔵なら2〜3日が目安です。ゆでたてを塩でそのまま頬張るのが香りを一番楽しめる食べ方ですが、まとめてゆでて冷凍しておけば、解凍せずそのまま炒め物や煮物にも使えます。だだちゃ豆ならではの濃い風味は、シンプルな塩ゆでからずんだ和えまで幅広く生きます。
栄養面で見れば、この一皿の主役は葉酸の高さで、野菜としては珍しいたんぱく質の豊富さも見逃せません。走りの時季のひとさやには、盛りに向けて濃くなっていく香りと甘みの伸びしろがまだ残っています。九月に向けてさらに味が乗っていくと思うと、今のうちから食べ比べてみたくなります。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準・e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」(厚生労働省)