枝豆は、実は大豆そのものだと知っているだろうか。まだ青いさやのうちに収穫してしまうから枝豆と呼ばれるのであって、あのまま畑に置いておけば、やがて茶色く乾いた大豆になる。完熟する手前で摘み取るという、その「早採り」の選択があるからこそ、大豆にはない青々しい香りとみずみずしい甘みが生まれる。えだまめ 生は、いわば大豆の「未完成」を楽しむ野菜なのだ。

東京都中央卸売市場の令和6年のデータでは、えだまめは6〜9月に出回りが多く、8月にピークを迎えるという。つまり7月上旬の今は、まだ最盛期には少し早い「走り」の時期にあたる。産地別の出荷量(農畜産業振興機構・令和5年)を見ると、北海道が9040トン、群馬県6080トン、千葉県4770トン、埼玉県4130トンと続き、産地ごとの枝豆が少しずつ食卓に上り始める頃だ。冷凍の枝豆はもちろん一年中おいしいが、旬の走りである6月から7月にかけて出回る生の枝豆は、やはり風味や食感が違う。ゆでたてを頬張ったときのあの弾ける食感は、この時期ならではの楽しみと言える。

豆でありながら野菜らしさも併せ持つ

枝豆は可食部100gあたり125kcalで、たんぱく質を11.7g含む。これは女性30〜49歳の推奨量50g/日の約23%にあたる量で、豆らしい満足感のある一皿になる理由がここにある。脂質は6.2g、炭水化物は8.8g、食物繊維は5gと、枝豆はたんぱく質源でありながら食物繊維もしっかり持つ、豆と野菜の両方の顔を持つ食材だ。加えて枝豆はビタミンB1やカリウムも多く含むとされ、夏の食卓に彩りを添える。

特筆すべきは葉酸の量で、可食部100gあたり320µgと、女性30〜49歳の推奨量240µg/日の133%に達する。葉酸は核酸の生合成に関わり、赤血球の形成や胎児の発育に関わる栄養素とされる。他のビタミン類と組み合わせた献立にすると献立の幅も広がる。ちなみに枝豆にはα-カロテンも可食部100gあたり42µg含まれており、これは体内でビタミンAに変わる成分の一つだ。なお、葉酸には食事摂取基準上、耐容上限量が設けられており、30〜49歳では男女とも1000µg/日とされている。通常の食事からとる分には心配は少ないが、サプリメントを併用する場合は上限量を意識するとよい。

枝豆ならではの旬の楽しみ方

枝豆を選ぶときの目安は、さやつき10さやでおよそ30gという計算になる。ビールのお供の定番だが、塩ゆでにしてそのまま食べるシンプルな調理法こそ、この時期の枝豆の味を一番引き立てる。さやの厚みと豆の弾力、そして青い香りを楽しむなら、余計な味付けはむしろ邪魔になる。

買ったらすぐゆでて、冷凍で走りの味を閉じ込める

枝豆は鮮度が落ちやすいため、買ったらできるだけ早くゆでてしまうのがコツだ。生のまま冷凍すると甘みが落ちてしまうので、必ずゆでてから水けをふき取って冷凍する。冷蔵なら2〜3日、冷凍なら1カ月ほどが保存の目安になる。冷凍した枝豆は解凍せず、そのまま炒め物や煮物に使えるので、忙しい日にも重宝する一品だ。

大豆になる一歩手前で収穫される枝豆だからこそ味わえる、この時期だけの香りと食感がある。8月の最盛期に向けてこれからますます味が乗ってくるはずで、産地ごとの枝豆の食べ比べも、この先の楽しみとして取っておきたい。

※特定の食品の効果を示すものではありません。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」(厚生労働省)