3日後の9月18日、「8」の下に「1」を置くと芽の形になる
3日後の2026年9月18日は「かいわれ大根の日」です。この記念日は1986年9月に、かいわれだいこんの生産者による団体によって制定されたとされています。
日付の理由は二つあるとされています。ひとつは、制定を決めた会合が9月に行われたことです。もうひとつが、「8」の下に「1」を置くと、かいわれ大根の形に見えるということです。8を上に、1を下に。丸くふくらんだ形の下に細い線が一本伸びる並びを、二枚の葉とまっすぐな茎に見立てたわけです。数字を数として読むのではなく、絵として眺めたところから生まれた日付だといえます。
そして、この「かたちになぞらえる」という発想は、日付だけの話ではありません。主役である「かいわれだいこん」という名前そのものが、同じ見方から生まれたとされているのです。
双葉を二枚貝の開いた姿になぞらえた名前
かいわれだいこんは、だいこんの種子が発芽して双葉が出た状態のものです。根を食べるのではなく、種から出てきた芽そのものを、双葉が開いた段階で食べる野菜だということになります。だいこんに限らず、こうして種から出た新芽を食べる野菜はまとめてスプラウトと呼ばれ、かいわれだいこんもそのひとつです。以下で見ていく育て方も、扱い方も、根を太らせる野菜ではなく新芽を食べる野菜だからこその話です。
名前の由来については、発芽した双葉が二枚貝の開いたような形をしているところからの名で、漢字では「貝割れ大根」と書くと説明されています。パックのなかをのぞくと、細い茎の先にハート形に近い葉が二枚、左右に開いています。あの開き方を、殻をひらいた貝に重ねたというわけです。なお、「卵割り」という表記から卵の殻を割った様子に由来するという別の説も紹介されていますが、こちらは俗説と位置づけられています。
8の下に1を置いて芽の形を見る日付の決め方も、開いた双葉に貝の姿を見る名前の付け方も、目の前のかたちを別のかたちに重ねるという同じ発想から来ています。
暗いところで伸ばし、最後に光を当てて緑にする
あの姿は、二段構えの育て方でつくられます。まず種子を密にまき(厚まき)、暗いところに置いて茎をひょろりと長く伸ばさせます。光の少ない環境で茎だけが伸びることを徒長といい、あのまっすぐな白い茎はこうしてつくられます。そして双葉(貝割れ葉)が展開したところで初めて光を当て、葉を緑にする。これを緑化といいます。パックのなかで白い茎がそろって立ち、先端だけが濃い緑になっているのは、この二段構えの結果です。
かいわれだいこんもだいこんの種子から育てられる、だいこんという品目のなかの一つの姿です。その品目全体の主産地を2024年産の収穫量でみると、千葉13.1%、北海道12.3%、青森10.6%、鹿児島8%、神奈川6.4%となっており、関東から北海道、東北、九州まで広い範囲に産地が分かれています。どこか一つの地域に集中する野菜ではないぶん、あのパックは近所の店の棚でも見つけやすいものになっています。
成分表が値を測っているのは、茎基部約1cmを除いたものです。買ってきたパックの根元側、種の殻やスポンジ状の培地が残るあたりを切り落とした、食べる部分を指しています。
扱い方としては、新鮮なものを生で食べると効率よくとれるとされています。かいわれだいこんが含むビタミンには水に溶ける性質のものがあり、ゆでると煮汁のほうへ溶け出しやすいためです。保存するときは、ぬれたキッチンペーパーで包んで冷蔵します。買ったその日のうちに食べきれないときは冷凍してもよく、冷凍しても栄養価は変わらないとされています。
大半が水、それでも葉は緑を蓄えている
双葉が開いたばかりという姿は、成分の数字にもそのまま表れています。可食部100gあたりで水分は93.4g、エネルギーは21kcalです。大半が水で、種から芽が出たばかりの、まだ実をつめこむ前の段階であることがうかがえます。たんぱく質は2.1g、脂質は0.5g、炭水化物は3.3g、食塩相当量は0gです。
一方で、最後に光を当てて緑にするという育て方は、葉の色にかかわる成分として数字に残っています。可食部100gあたりでβ-カロテン当量は1900µg、ビタミンKは200µgです。どちらも緑の濃い葉ものに多く見られる成分で、パックの先端で濃い緑になっている、あの二枚の葉をふくめた芽ばえ全体の値ということになります。水分が大半を占める芽ばえでありながら、緑になった部分がこれらの成分を抱えている、という姿です。
ビタミンKは、正常な血液凝固を維持し、骨の形成にも関わる栄養素とされています。またビタミンCは、可食部100gあたり47mgで、抗酸化やコラーゲンの生成に関わり、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとされる栄養素です。いずれも栄養素一般の性質としてそう説明されるもので、この食品を食べればこうなる、という話ではありません。※特定の食品の効果を示すものではありません。
3日後の9月18日は、店頭でパックを手に取ることがあれば、白い茎の先で左右に開いた二枚の葉を少しだけ眺めてみてください。その開き方が二枚貝に見えたから「貝割れ」であり、8の下に1を置いた並びがその姿に見えたから9月18日なのだ、という二つの見立てが、そこで重なります。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(文部科学省)のデータと食品説明をもとに作成しました。
栄養素のはたらきの記述は厚生労働省 日本人の食事摂取基準に、産地の割合は農林水産省 作物統計に基づきます。
栄養素のはたらきの記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省・農林水産省 作物統計