著者の所属・活動拠点の国は、イタリアです。
掲載誌:Food Frontiers
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
イチジクの葉は、果実の栽培や加工にともなって大量に生じる副産物です。しかし、植物に含まれるさまざまな化学成分(フィトケミカル)を豊富に含み、生物学的な働きが期待される成分をもつにもかかわらず、多くはほとんど利用されていません。
この論文は、新しい実験を行った研究ではなく、これまでに報告された研究をまとめた総説(レビュー)です。著者らは、イチジクの葉を食品や栄養補助食品などに役立つ資源として活用(バリュー化)できる可能性を検討しました。抄録によると、特に葉の化学組成、報告されている生物活性、有用な成分を取り出す抽出方法の3点に焦点を当てています。
葉に含まれる成分と報告されている働き
著者らによると、イチジクの葉には、炭水化物、有機酸、タンパク質、脂肪酸、トコフェロール(ビタミンEの仲間)といった、生物の基本的な代謝に関わる成分(一次代謝産物)が含まれます。さらに、植物が独自に作り出す多様な成分(二次代謝産物)も含まれており、その中心はフェノール酸、フラボノイド、フラノクマリン、テルペノイドです。
具体的な成分としては、クロロゲン酸、カフェオイルリンゴ酸、ルチン、ケルセチン誘導体、ソラレン、ベルガプテンが、この葉の技術的・生物学的な重要性に関わる成分として挙げられています。
これまでの研究では、抗酸化、抗菌、抗炎症、血糖上昇の抑制、肝臓の保護、神経の保護、細胞増殖の抑制といった活性が報告されています。ただし著者らは、根拠の強さは用途によって異なり、多くは試験管内の実験(in vitro)や、人を対象とする前の段階の研究(前臨床モデル)に基づいていると指摘しています。つまり、これらはヒトでの効果が確かめられたことを意味するものではありません。
成分を取り出す方法の比較
総説では、従来の抽出方法と、環境負荷の小さい「グリーン」な新しい抽出技術も比較されています。新しい技術として挙げられているのは、超音波を利用する抽出、マイクロ波を利用する抽出、天然の成分を混ぜ合わせて作る溶媒(天然深共晶溶媒)を使う方法、高温・高圧の水を使う亜臨界水抽出、蒸気で原料を処理する蒸気爆砕、そしてこれらを組み合わせた方法です。
著者らは、これらの方法によって成分の回収効率が高まり、同時に溶媒の使用量や処理時間、環境への影響を減らせる可能性があるとしています。
活用に向けて考慮すべき点
一方で、著者らは食品に関連した利用にあたっての重要な課題も挙げています。品種によって葉の成分にばらつきがあること、光に当たると皮膚などに有害な作用を起こしうる成分(光毒性をもつフラノクマリン)が含まれること、そして規制上の要件を満たす必要があることです。
総説は、抽出工程、安全性の評価、成分の標準化に慎重に取り組むことを前提として、イチジクの葉は活用が進んでいない植物由来の有望な素材源であると結論づけています。捨てられがちな副産物に価値を見いだす可能性と、その実現に向けて残る課題の両方を整理した論文といえます。
原著論文の著者・所属:Tamara Cilia Attard(Department of Pharmaceutical Sciences Università del Piemonte Orientale Novara Italy)、Chiara Carini(Department of Pharmaceutical Sciences Università del Piemonte Orientale Novara Italy)、Monica Locatelli(Department of Pharmaceutical Sciences Università del Piemonte Orientale Novara Italy)、Vincenzo Disca(Department of Pharmaceutical Sciences Università del Piemonte Orientale Novara Italy; nutractiva Srl Novara Italy)、Marco Arlorio(Department of Pharmaceutical Sciences Università del Piemonte Orientale Novara Italy; nutractiva Srl Novara Italy)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Tamara Cilia Attard, Chiara Carini, Monica Locatelli, et al. Exploring the Potential of Fig Leaves ( Ficus carica L.): A Review of Their Valorization as Valuable Bioresources. Food Frontiers 2026-09-01. DOI: 10.1002/fft2.70366. 原著ライセンス:CC BY.