著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Pandawa Pusat Publikasi Hasil Pengabdian Masyarakat

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

取り組みの目的

インドネシア・バンテン州セラン県チナンカ村では、メリンジョという木の実を薄くたたきのばして作る伝統的なスナック「エンピン」の製造が、数十年にわたって地域の生業になってきました。作業の担い手は主に地域の女性たちで、家計を補う収入源にもなっています。

国立開発大学ヴェテラン・ジャカルタ校(UPN Veteran Jakarta)の著者らは、村が運営する企業「BUMDes(村営企業)ビナ・ウサハ」を通じて、エンピンを作る零細・中小事業者を支援する社会貢献活動を行い、その報告をまとめました。活動は、シンプルな機械を製造工程に取り入れる「革新的な技術」と、地元に限られていた販路を海外へ広げる「持続的なマーケティング」の二つを柱としています。海外市場としてはマレーシアを想定しました。活動期間は2026年6月から10月で、セランとマレーシアのクアラルンプールの両方で実施されました。

何を調べたか

著者らは、外部で用意した解決策を一方的に持ち込むのではなく、地域の人々を主役として、現場の状況に合った解決策を一緒に探る「参加型の質的アプローチ」を採りました。

情報収集の方法は二つです。一つは現地での直接観察で、エンピン事業者の作業場、原料と製品の保管場所に加え、クアラルンプールの大学キャンパスやインドネシア料理店などを訪れ、設備や作業の流れを記録しました。もう一つは詳しい聞き取り調査で、大まかなテーマだけを決めておき、相手の答えに応じて話題を柔軟に深める形で、エンピン事業者やマレーシアの事業者、現地のインドネシア料理店の関係者などに話を聞きました。

主な報告結果

著者らによると、エンピンの製造と保管はいずれも手作業で行われており、加熱のためのスペースや保管場所、働き手の作業量の限界から、生産能力が制約されていました。原料のメリンジョは季節によって収穫量が大きく変わる作物で、天候の影響も受けやすいため、収穫量に合わせて保管や生産を柔軟に調整する必要があることも課題として挙げられています。

販売面では、売り先の多くが仲買人で、生産量は仲買人の注文に大きく左右されていました。仲買人は原料購入のための運転資金を貸し付けてもいるため、事業者はそこに依存し、自ら市場を開拓する計画を立てにくい状況にあったと報告されています。経営も家計を支えるための家内的なものにとどまり、記帳や資金管理、設備投資や販路拡大の計画は見られませんでした。

一方、マレーシア市場については可能性が示されました。両国ではエンピンが祝祭日、とくに断食明けの祭りの際に食べられる特別なおやつやおかずとして位置づけられており、消費の習慣に共通点があります。ただし著者らは、マレーシアの消費者はメリンジョ特有の苦みを好まない傾向があり、黒砂糖のカラメルと唐辛子をからめた甘辛い味付けが人気だという既存の研究も紹介しています。クアラルンプールのインドネシア料理店での聞き取りでは、エンピンは客に求められているのに、生のものも揚げたものも仕入れ先がないことが分かりました。同時に、マレーシアではメリンジョの入手が難しいため、価格が高くなるのではないかという懸念も聞かれました。

この報告が伝えること

著者らは、生産と販売を切り離して支援することの危うさを強調しています。機械を提供して生産能力を上げても、新たな販路がなければ売れ残りの在庫が増え、かえって事業者の運転資金を圧迫しかねないというのです。そのため、生産技術の向上と需要の見通し、市場開拓を一体として進める必要があると論じています。

結論として著者らは、チナンカ村のエンピン事業には競争力を高める余地が大きく残されており、文化的な近さとインドネシア系住民の多さから、クアラルンプールでの販売の見通しも有望だと評価しています。地域の小さな事業を持続させるには、作る力と売る力を同時に育てる視点が欠かせない――それがこの報告の中心的なメッセージです。

原著論文の著者・所属:Guntur Syahputra Saragih(Universitas Pembangunan Nasional Veteran Jakarta)、Jubaedah Jubaedah(Universitas Pembangunan Nasional Veteran Jakarta)、Heni Nastiti(Universitas Pembangunan Nasional Veteran Jakarta)、Agus Kusmana(Universitas Pembangunan Nasional Veteran Jakarta)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Guntur Syahputra Saragih, Jubaedah Jubaedah, Heni Nastiti, Agus Kusmana Penguatan Ekosistem Ekonomi Desa melalui Optimalisasi BumDes “Bina Usaha” Berbasis Teknologi Inovatif dan Manajemen Pemasaran Produk Berkelanjutan di Desa/Kecamatan Cinangka, Kabupaten Serang. Pandawa Pusat Publikasi Hasil Pengabdian Masyarakat 2026-10-10. DOI: 10.61132/pandawa.v4i4.3117. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。