著者の所属・活動拠点の国は、バングラデシュです。
掲載誌:Poultry Science
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
エビの加工で出る殻や頭などを乾燥・粉砕した「エビ廃棄物ミール」は、タンパク質を多く含む副産物です。一方で、殻の主成分で消化されにくい「キチン」や、ミネラル分を示す「灰分」が多いため、家畜の飼料として多く使うことが難しいとされてきました。
研究チームは、このミールを有機酸で処理すれば栄養価が高まり、肉用鶏(ブロイラー)の飼料に多く配合できるのではないかと考えました。そこで、クエン酸またはギ酸で処理したエビ廃棄物ミールを与え、35日間の飼育で、成長、栄養の消化のしやすさ、血液中の成分、肉の品質、採算性への影響を調べています。論文の抄録に基づいて紹介します。
二つの飼育試験
一つ目の試験では、ブロイラーの代表的な品種「コブ500」のひな240羽を四つのグループに分けました。トウモロコシと大豆かすを主体とする通常の飼料(対照)、大豆かすの25%を未処理のエビ廃棄物ミールに置き換えた飼料、同じ割合をクエン酸処理ミールに置き換えた飼料、ギ酸処理ミールに置き換えた飼料の四種類です。大豆かすは、大豆から油を搾った後に残るもので、鶏の飼料の主なタンパク源です。
二つ目の試験では、同じ品種のひな300羽を五つのグループに分け、大豆かすをギ酸処理ミールで0%、25%、50%、75%、100%置き換えた飼料を与えて、どこまで置き換えられるかを調べました。
主な結果
一つ目の試験では、ギ酸処理ミールを与えたグループの体重の増え方と飼料要求率(体重を1増やすのに必要な飼料の量で、小さいほど効率がよい)が対照と同程度でした。これに対し、未処理ミールとクエン酸処理ミールのグループでは成績が劣ったと報告されています。クエン酸処理とギ酸処理のグループでは、腹部の脂肪と血液中の中性脂肪が、対照や未処理のグループより少なくなりました。また、ギ酸処理ミールのグループは、飼料の乾物、窒素(タンパク質の指標)、キチンの消化率が、未処理やクエン酸処理のグループより高くなりました。肉の赤みは未処理ミールのグループが最も好ましく、次いでギ酸処理、クエン酸処理の順でした。
二つ目の試験では、置き換え率が25%と50%のグループの成長成績は対照と変わりませんでしたが、75%と100%では低下しました。血液中の中性脂肪は、ギ酸処理ミールの配合が増えるほど直線的に減りました。窒素と灰分の体内への保持は50%までは対照と変わらず、75%と100%では低下し、キチンの消化率も下がりました。肉の赤みは、ギ酸処理ミールを与えたグループで対照より増しました。費用に対する利益の比率も、対照、25%、50%の各グループで同程度で、75%と100%では下がったとされています。
研究が示すこと
著者らは、ギ酸で処理したエビ廃棄物ミールが、未処理やクエン酸処理のものよりブロイラーの飼料として優れていたと結論づけています。さらに、大豆かすの50%までをギ酸処理ミールに置き換えても、成長、消化率、採算性を保ちつつ、肉の品質を高められるとしています。水産加工で出る副産物を、処理の工夫によって飼料原料として生かせる可能性を示した研究といえます。
原著論文の著者・所属:Md. Aliar Rahman(Department of Animal Nutrition, Faculty of Animal Husbandry, Bangladesh Agricultural University, Mymensingh, 2202, Bangladesh)、Shathi Akter(Section of Animal Nutrition and Feed Technology, Department of Animal Sciences, Faculty of Veterinary Medicine and Animal Science, Habiganj Agricultural University, Habiganj, 3300, Bangladesh)、Jesmin Aktar(Department of Animal Nutrition, Faculty of Animal Husbandry, Bangladesh Agricultural University, Mymensingh, 2202, Bangladesh)、Khan Md. Shaiful Islam(Department of Animal Nutrition, Faculty of Animal Husbandry, Bangladesh Agricultural University, Mymensingh, 2202, Bangladesh)、Mohammad Al-Mamun(Department of Animal Nutrition, Faculty of Animal Husbandry, Bangladesh Agricultural University, Mymensingh, 2202, Bangladesh)、Md. Abul Hashem(Department of Animal Science, Faculty of Animal Husbandry, Bangladesh Agricultural University, Mymensingh, 2202, Bangladesh)、Rakhi Chowdhury(Department of Animal Nutrition, Faculty of Animal Husbandry, Bangladesh Agricultural University, Mymensingh, 2202, Bangladesh. Electronic address: [email protected])
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Md. Aliar Rahman, Shathi Akter, Jesmin Aktar, et al. Valorization of shrimp waste meal through organic acid treatment: Impact on broilers performance, serum metabolites, digestibility, meat quality, and economic feasibility. Poultry Science 2026-09-28. DOI: 10.1016/j.psj.2026.107858. 原著ライセンス:CC BY.